「目の前にパトカー」追い越しても問題ない!? “赤いランプ”には要注意! 元警察官に聞いた

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目の前に「パトカー」追い越しても平気?

 街中をクルマで走っていると、たびたび警察のパトカーを見かけることがあります。
 
 何かをしたわけではなくても、見かけるとついドキッとしてしまう人もいるでしょう。
 
 なかにはパトカーが自車の前を走っていたら、追い越したくてもなかなか追い越しづらいという人もいるかもしれません。
 
 では、パトカーを追い越すことで何か問題が生じることはあるのでしょうか。またパトカーが近くを走行している際に気をつける点などはあるのでしょうか。

パトカーは追い越しても平気?(画像はイメージ)

 パトカーの追い越しについて、交番6年、生活安全部門2年の勤務経験を持つ元警察官のBさんは以下のように教えてくれました。

【画像】これが見えたら注意! どんな覆面パトカーがいるか画像で見る(29枚)

「 結論からいうと、パトカーを追い越すこと自体は問題ありません。

 パトカーに乗っている警察官は、交通取り締まりはもちろんですが、同時に不審者への職務質問や犯罪者の追跡など、さまざまな業務をおこなっています。

 近くにいるクルマや人だけではなく、広く周りを見渡しているので、近くにパトカーが来たからといって心配し過ぎる必要はありません。

 ただしパトカーが道路を走るときは制限速度を守って運転しているため、パトカーを追い越すことで制限速度を超えてしまう可能性があります。

 制限速度から時速1kmでも超えれば速度違反状態であるといえますが、ただちに交通切符を切られる可能性は低いでしょう」

 これはクルマのスピードメーターの機能性が関係しており、メーターに表示されている値と実際の値に若干の誤差があり、そのズレに許容範囲があります。

 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条第1項第2号では、計測した速度が次式に適合するものであるとしています。

10(V1−6)/11≦V2≦(100/94)V1
V1は、自動車に備える速度計の指示速度(単位km/h)
V2は、速度計試験機を用いて計測した速度(単位km/h)

 速度によっても異なりますが、プラスマイナスおよそ時速10km程度の範囲内に収まるように速度計は製造されています。

 このため、例えばメーターが時速60kmを指していても、実際は時速50km程度だったということもあり得ます。

 こうした許容範囲が設定されていることから、明らかに飛ばしてない限り追い越した際のスピード違反で取り締まりを受ける可能性は低いといえます。

 しかしだからといってパトカーを追い越した後にスピードを出し続けて走れば、当然交通取り締まりを受ける可能性はあるため、十分注意して運転しましょう。

 そのほか、パトカーを追い越す際に注意したいのは、走っている場所が追い越し禁止場所に当たらないかどうか、禁止されている追い越し方法ではないかということです。

 追い越しを禁止する場所は道路交通法第30条で定められており、道路標識などで示されている場所、道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近、勾配の急な下り坂、交差点及びその手前30m以内の場所などです。

 加えて、道路交通法第29条では二重追い越し、つまり前のクルマがその前のクルマを追い越そうとしている時には追い越しを始めてはいけないとされています。

 このため、パトカーを追い越す際には、上記のような場所や方法に注意することも必要です。

※ ※ ※

 では、パトカーが近づいてきた際に注意しなければいけない状況の時はあるのでしょうか。

 パトカーが近づいてきた場合で特に注意をしなければならないのは、赤色の警光灯を付け、サイレンを鳴らしながら走ってきた時です。

 これは事件や事故の現場に向かうなど、緊急の用務のために走行している状況であるため、一般車両は道を譲らなければなりません。

 緊急自動車を優先することについては、道路交通法第40条第1項および第2項で、交差点またはその付近で緊急自動車が近づいてきた場合は、交差点を避けて道路の左側に寄って一時停止することなどが定められています。

 パトカー、救急車などの緊急車両はマイクを使って道を譲るように促す場合が多いですが、サイレンやマイクの音が聞こえず結果的に進路を妨げてしまうことがないよう、車外の音が聞こえる状態にしておくことは大切といえます。