ロッテの選手たち (C) Kyodo News

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○ 楽天 10 − 1 ロッテ ●

<17回戦・楽天生命パーク>

 ロッテは楽天に1−10で敗れ、2カード連続で負け越し、首位・西武とのゲーム差は「5.5」に広がってしまった。

 3日の試合前に坂本光士郎、小野郁、ロベルト・オスナ、角中勝也、郄部瑛斗、和田康士朗が新型コロナウイルス陽性判定を受けたが、この日も試合前に球団から田村龍弘が新型コロナウイルス陽性判定を受けたとの発表があった。さらにゲレーロも特例2022で一軍登録抹消。

 試合前からかなり厳しい戦いが予想されたなかで、先発・本前郁也が3回9失点、打線も先発・岸孝之を捉えることができず1−10の大敗。普段ならば勝ちパターンの投手を休ませることができ、そこまで気にすることのない1敗といえるような試合だったが、新型コロナウイルス陽性判定で選手が大量離脱しているなか、投打ともに今後に不安が残る試合となってしまった。

 投手陣を中心にした守り勝つ野球で白星を重ねてきたロッテにとって、先発陣の出来不出来が勝敗を大きく左右する。その中で、オールスター明けの6試合、QS(6回以上3自責点以内)を達成した投手が誰もいないのは心配なところ。

 特にリリーフ陣が新型コロナウイルスで大量離脱しているなかで、先発陣には1イニング長く投げて欲しいところで、石川歩、佐々木朗希、ロメロ、小島和哉といった後半戦先発ローテーションの軸で投げていかなければいけない投手たちも、ピリッとしない投球内容というのは今後に向けて不安材料のひとつといえる。

 打線は楽天投手陣の前に3安打に抑え込まれ、代替指名選手でこの日昇格した平沢大河が第1打席にライト前に安打を放ったものの、前日に昇格した藤原恭大と途中出場した福田秀平が無安打。後半戦に入ってある程度打線全体が打てるようになってきたとはいっても、チーム打率はリーグワーストの.226、代替指名選手で昇格した選手にとっては最大のアピールのチャンスだったが、“結果”という部分においては正直物足りなかった。5日の西武戦以降での意地に期待したい。

 投打ともにマイナスな部分ばかり挙げてしまったが、ポジティブな部分はある。4日の楽天戦でいえば、0−10の5回に岡大海が左中間の当たりでレフトの緩慢な動きを見て、スピードを緩めることなく三塁を陥れ、続くエチェバリアの犠飛につなげた。守備では4回にセカンドの中村奨吾が、岡島豪郎が二塁ベース付近に放った打球を逆シングルでキャッチし、ジャンピングスローでアウトにする好捕。点差関係なく、気合いの入ったプレーでチームを鼓舞した。

 投げては特例2022で昇格した田中靖洋が2回・無失点、国吉佑樹も1回・11球、三者凡退に抑えたことは今後に向けて明るい材料だ。国吉と3日の楽天戦で1回・無失点に抑えた唐川は昨年勝利の方程式で投げていた投手で、彼らが昨年のような投球ができるメドが立てば、東條大樹、小野郁、オスナ、ゲレーロ、坂本光士郎が戻ってきたときに救援陣はより強固なものになる。

 だからこそ、なんとしても勝率5割前後の戦いをキープしていきたい。新型コロナによる主力選手の離脱はロッテに限らず、他球団でもあったこと。そのなかで、上位4球団はなんとかやり繰りし、勝率5割以上の戦いをしてきている。

 ロッテは、首位・西武とのゲーム差は「5.5」。これ以上離されると、リーグ優勝がかなり厳しくなる。ただ、これまで何度も記してきたようにロッテというチームは好不調の波が大きく、1つの勝利をきっかけに大型連勝をしたり、突然チーム状況が悪くなったりとこの先の戦いが全く読めないチーム。

 5日からはベルーナドームで首位・西武との3連戦。後半戦始まってからの試合内容、現状のチーム状況を考えれば、かなり苦しい戦いが予想されるが、いい意味で期待を裏切って欲しい。

文=岩下雄太