東京メトロ日比谷線の車両基地など鉄道施設を見学できる親子向けツアーが開催。メトロでは初となる「旅行商品」としての現場公開、どのような背景があったのでしょうか。

東京メトロの在籍車両数は「2736両です」 子供たち恐るべし

 東京メトロが2022年7月27日、地下鉄の車両基地や鉄道関係の学校へ体験入場するイベント「親子で社会科見学!千住検車区〜鉄道学校 鉄道三昧ツアー」を開催しました。


東京メトロ千住検車区で行われた特別見学会の様子(乗りものニュース編集部撮影)。

 東京メトロとしては初めて、車両基地見学を旅行ツアー商品として公開することになった今回のイベント。先着20組40名で応募したところ、即日完売となったそうです。

 特別公開となった東京メトロ千住検車区は南千住駅に隣接し、日比谷線の車両を担当しています。

 親子ペアたちは検車場まで入場し、普段見ることのできない「裏方」を思い思いに見学。自分でデザインしたヘッドマークを実車に取り付けて記念撮影も行いました。昼前という時間もあり、ラッシュ時に総動員された車両たちが見学中に次々と帰ってきます。子どもたちはそのたびに歓声を上げ、カメラやタブレットなどを向けていました。

 検車区の作業員は子どもに取り囲まれて、「その赤い旗はなに?」「この中でどれが一番古い電車なの?」と質問攻めに。「長野電鉄に譲渡する車両は、どうやって運んでいくの?」という”玄人”な質問に対しても、動じず答えてあげていました。

 事務所内では車両検査の流れについて説明をうけ、実際に点検に使われる道具に触れる体験も。最初に担当職員からクイズが出され、「東京メトロの正式名称は?」「営団地下鉄!」と積極的に手を上げて回答する子どもたち。在籍車両数はどれだけかというクイズに、「2736両です」と即答があった場面では、その博識ぶりに、周囲にいた社員たちからもどよめきが上がっていました。

鉄道の名門「岩倉高校」へ!

 今回はもうひとつのコラボ先として、台東区の岩倉高校の生徒も付き添いで参加。全国的に珍しい鉄道関係のカリキュラムを持つことから、集まった保護者たちも興味津々で話題にしている様子が伺えました。

 検車区の見学のあとは全員で上野駅へ向かい、岩倉高校を特別に校内見学。昼ごはんは同区内のレストランによるお弁当が提供されますが、そのラッピングも岩倉高校の生徒たちの手でデザインされたといいます。

 今回のイベントは、台東区と旅行会社「クラブツーリズム」が連携協定で「地域資源を活かした観光振興」をめざす施策の一環として、東京メトロとの協働で開催されたものです。この施策は今年秋にも、東武鉄道との協働で「浅草駅探検ツアー」として行われる予定。JRメトロでも初の試みとなった有料での見学会という形ですが、担当者は「主催側も、参加者も、じっくりゆとりを持って動けたことが大きいです。一般公開に比べて、『殺気立った雰囲気』がありませんでした」と、手ごたえを感じているようです。今後の展開については、今回の結果をふまえて検討していくとしています。

 企画に携わった東京メトロ需要創出マーケティング部 課長の板倉さんは「子どもたちの夏休みの思い出になるために、当社が持つ資源として何か提供できないかと考え、このイベントの企画となりました。本当はもっとたくさんの人を呼びたかったのですが、この情勢の中で、ひとまず実現できてよかったです」と話しました。