2022年6月、東北・上越新幹線に「200系カラー」のE2系が登場しました。これは同線開業当時に使用された200系の登場時の車体カラーを復刻したもの。長年にわたって北の新幹線の顔だった200系は、どんな車両だったのでしょうか。現役当時を振り返ります。

アルミ製の車体を採用、なぜ?

 東北・上越新幹線に2022年6月、かつての200系電車のカラーリングを施したE2系電車が登場しました。現行のE2系は、上半分が飛雲ホワイト、下半分が紫苑ブルーという配色ですが、「200系カラー」では窓周りを中心にモスグリーンとなっています。

 往年の電車を復刻した形ですが、これは東北新幹線開業40周年を記念してのこと。ではかつての200系とは、どんな車両だったのでしょうか。


「200系カラー」で復刻された東北・上越新幹線のE2系電車(画像:写真AC)。

 200系は1982(昭和57)年、東北・上越新幹線開業に際して登場しました。寒冷地を走る同線では、冬季の寒さや雪へ対策が特に強化され、200系は先頭部のスノープロウ(雪かき)を大きくして雪を跳ね飛ばす仕組みを備えたことが大きな特徴です。

 また、東海道・山陽新幹線に次ぐ新幹線として車体色を一新しています。東海道・山陽新幹線では、アイボリーホワイトにブライトブルーと呼ばれる青色を使用していましたが、東北・上越新幹線の200系ではアイボリーホワイトはそのままに、青色の部分はモスグリーンにしてイメージを一新しています。

 東北・上越新幹線は、東海道・山陽新幹線と比べて駅間が短いほか、勾配やトンネルが多い上に冬季は雪かきをしながら走行することに配慮し、車両はパワーアップされました。これに伴い装備品が増えて重くなるため、200系ではアルミ製の車体を採用して重量の増加を抑えています。さらに、ボディーマウントと呼ばれる車体構造を採用し、車体の床下を覆う構造とすることで、床下に備えた機器に雪が付かないように配慮されていたのです。

2種類のデザインがあった200系

 車内設備では、食堂車こそなかったものの、ビュフェ付の車両を連結して軽食の提供を行えました。また、座席はグリーン車と普通車の2種類がありましたが、普通車では通路を挟んで2人がけと3人がけの座席が並んでいました。

 200系では当初、3人がけの座席が固定式で、客室の中央部に向かって背中を向ける形で座席が配置され、“集団離反型”とも呼ばれていました。この結果、進行方向と逆向きになる座席が出てしまいましたが、2人がけの座席は回転して向きを変えることができる仕組みで、全体の7割の座席は進行方向を向くように配慮されていました。


1987年に登場したデザイン(画像:payless images)。

 200系は丸いヘッドライトを備えたデザインで登場しましたが、1987(昭和62)年には新しいデザインの車両が加わりました。当時、東海道・山陽新幹線で導入が進んでいた100系電車と同じデザインの車両が作られたのです。特徴は、長くなった先頭部の鼻先と細長いヘッドライト。なお、初めは新車として製造されましたが、1988(昭和63)年から1992(平成4)年かけて追加された車両は、中間車を先頭車に改造したものでした。なお、新デザインの車両では3人がけの座席も回転できました。

 1990年代になると、200系には2階建て車両も登場しました。2階建て車両は2種類あり、1990(平成2)年に登場した車両は2階部分がグリーン車で、1階部分は個室でした。個室は1人用と2人用に加え、4人用がありました。1人用と2人用はグリーン個室で、通路に扉が付いた完全な個室でしたが、4人用は普通車の個室で、仕切りはあっても扉がない簡易なものでした。

青い200系 登場

 次いで登場した2階建て車両は、2階部分は同じくグリーン車でしたが、1階部分はカフェテリアと呼ばれる売店を備えていました。こちらは1991(平成3)年に営業運転を開始。東北新幹線では、ひとつの編成に2種類の2階建て車両を連結した16両編成が登場したわけです。なお16両編成の200系では、先頭車が新デザインの車両で揃えられたほか、車体の塗り分けを変え、窓の下に緑色のラインを添えていました。


E2系(左)とリニューアルされた200系(右)。リニューアルに際して、前面ガラスの周りを丸みのある形状に変更している(2008年2月、柴田東吾撮影)。

 1999(平成11)年には、200系のリニューアル車両が登場します。外観では先頭部の窓の形状を変更したほか、車体色は上半分が飛雲ホワイト、下半分が紫苑ブルーとされました。同時期に作られたJR東日本の新幹線車両と色を揃えたのですが、200系ではグリーンのラインを添えて個性を出していました。このほか、内装を一新して3人がけの座席も回転できるように改良されています。

 また、外観はそのままに仕様が異なる車両もありました。1990(平成2)年から始まった上越新幹線での275km/h運転に対応した編成のほか、1998(平成10)年に開催された長野オリンピックの輸送に対応すべく、長野新幹線(現在の北陸新幹線)も走行可能な編成も改造により1編成だけ登場しました。

 さて、後継車両の登場により、200系は順次引退。2004(平成16)年には2階建て車両が、2006(平成18)年には新デザインの車両も引退しました。アイボリーホワイトとモスグリーンの車両は2007(平成19)年に一度引退しましたが、リニューアルされた200系でその車体色を復刻し、200系登場当時の車体色が維持されたのです。

 最後の200系は2013(平成25)年に引退しましたが、今回「200系カラー」のE2系が登場したことで、アイボリーホワイトとモスグリーンの車体カラーが9年ぶりに復活。復刻編成の運行時刻は、JR東日本の専用ウェブサイト「200系カラー新幹線運行情報」で確認できます。