来春もう開通!? 埼玉〜千葉の新橋「三郷流山橋」超速工事のワケ 流山橋の猛烈渋滞に光
埼玉・千葉県境の江戸川に架かる新しい橋「三郷流山橋」の工事が進んでいます。既存の「流山橋」の猛烈な渋滞緩和につながることが期待されていますが、特筆すべきは工事の早さ。「え、もう開通?」の声も上がるほどです。
橋梁部はもう完成近い
埼玉県三郷市と千葉県流山市を隔てる江戸川に、新しい橋「三郷流山橋」が建設中です。2022年7月、三郷市側の現地では周辺道路が切り回され、新しい橋へのアプローチ部などが建設中。堤防に上がってみると、橋桁は対岸まで架設されており、完成が近いと思える光景でした。
建設中の三郷流山橋。2022年7月(乗りものニュース編集部撮影)。
この橋は、同じく流山と三郷の市街地を結ぶ下流の「流山橋」周辺で発生している渋滞を緩和するために計画されました。
江戸川に架かる無料の橋は、南の上葛飾橋(三郷市〜松戸市)まで約6km、もしくは北の玉葉橋(吉川市〜野田市)まで約9km離れているため、流山橋に交通が集中。その渋滞は慢性的で、両市街地側に延びて周辺道路にノロノロ状態を発生させ、ときには“400mの橋を渡るだけで1時間かかる”と言われるほど深刻なものになっています。
SNSなどでは、「この橋(三郷流山橋)があるだけでだいぶ違う」など、新橋に期待する声が見られます。と同時に、「え、もう開通?」といった声も。地元の人も驚くほど、工事が早く進んでいるようです。
三郷流山橋が事業化されたのは2018年度。事業主体である埼玉県道路公社によると、もともと埼玉県が橋脚を一部施工していたものの、「本格的な工事が始まったのは令和に入ってから」だといいます。開通は2023年春が予定されています。
この橋は埼玉県道路公社の有料道路になり、通行料金は普通車で150円、軽自動車で100円に設定されます。「有料なの?」とがっかりする向きもあるようですが、実はこれこそ、橋を最も早く建設できるとして選択された手法でした。
「有料道路事業として道路公社が担当することで、県が担当するよりも制限が小さくなるのがメリットです。国や銀行の貸付も得やすくなり、一度に多くの工事を発注できます」(埼玉県道路公社)
なお、料金徴収期間は開通から30年が予定されているそうです。
「三郷流山橋」どこに接続? どんなルートに?
三郷流山橋を有料にしてでも建設を急いだのは、それだけ流山橋の渋滞が深刻化しているからだといえます。
流山側は近年、つくばエクスプレスが開通したことで人口が増えているほか、三郷側ではJR武蔵野線の新三郷駅周辺にIKEA、ららぽーと、コストコといった大型商業施設が相次いでオープンしており、周辺の急速な変化に道路整備が追い付いついていないのが現状です。
こうしたなか三郷流山橋が完成すると、そこを中心として、千葉側のつくばエクスプレス流山おおたかの森駅周辺と、埼玉側の新三郷駅周辺を結ぶような東西軸が形成され、両駅間の所要時間は流山橋経由と比べて約10分短縮されるといいます。三郷流山橋は流山橋から2.5kmほど北に離れているものの、新興住宅地と大型商業施設群を直結するルートが新たにできることで、わざわざ市街地にある流山橋を通らなくて済むようになります。
ただ、千葉側では4車線の「都市軸道路」に接続し、三郷流山橋も4車線であるものの、埼玉側で接続する県道52号(常磐道 三郷料金所スマートIC付近)は2車線、「昔ながらの県道」(埼玉県道路公社)なのがネックになる可能性があります。加えて、そこから新三郷方面にかけても、まさに農業地帯の広いとはいえない道路を通らなければなりません。
三郷流山橋からの4車線道路をさらに新三郷方面へ延伸する構想はあるものの、常磐道と交差させる必要があり、費用面から事業化には至っていないといいます。
埼玉県側の取付部。2018年との比較(画像:埼玉県道路公社)。
ちなみに現状でも、流山橋の渋滞を回避するルートとして、常磐道の三郷料金所スマートIC〜流山ICの1区間だけ利用するといった方法もあります。普通車料金は230円です。三郷料金所スマートICが三郷流山橋の接続部と近接することから、こちらのルートも知られるようになるかもしれません。