【▲特異銀河「Arp 94」の2つの銀河「NGC 3227」と「NGC 3226」(Credit: NASA, ESA, and H. Ford (Johns Hopkins University); Image Processing: G. Kober (NASA Goddard/Catholic University of America))】


この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「しし座」の方向に位置する相互作用銀河です。相互作用銀河とは、すれ違ったり衝突したりすることで互いに重力の影響を及ぼし合っている複数の銀河のことをいいます。


左側の渦巻銀河は「NGC 3227」で、右側のぼんやりした銀河は矮小楕円銀河「NGC 3226」と呼ばれており、1966年に天文学者のホルトン・アープがまとめた「特異銀河」(特異な形態を持つ銀河)のカタログ「アープ・アトラス」では、この2つの銀河を「Arp 94」として収録しています。


Arp 94は、この画像において他の特異銀河の様な大きな歪みは見られません。しかし、誘発された星形成活動の形跡やガスと塵の流れから、2つの銀河が相互作用関係にあることがわかります。この様に影響し合う銀河の関係(銀河の衝突、合体、すれ違いなど)は珍しいものではなく、銀河が進化する過程の一つだと考えられています。


【▲左上はデジタル・スカイ・サーベイ撮影の画像。左下と右側はハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像(Credit: NASA, ESA, H. Ford (Johns Hopkins University), and DSS; Image Processing: G. Kober (NASA Goddard/Catholic University of America))】


NASAによると、NGC 3227は活動銀河の一種であるセイファート銀河に分類されており、その中心には狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核(AGN:Active Galactic Nucleus)が存在しているといいます。その原動力は超大質量ブラックホールだと考えられており、この画像は銀河の中心のガスの動きを分析し、ブラックホールの質量調査を目的としたものとのことです。


(2022年5月25日 NASA公開)


 


Source


Image Credit: NASA, ESA, and H. Ford (Johns Hopkins University); Image Processing: G. Kober (NASA Goddard/Catholic University of America)NASA - Hubble Captures a Galactic Dance

sorae編集部