小マゼラン雲の大半の大質量星が散らばる星団
画像中央の輝く星々は南天の「きょしちょう座(巨嘴鳥座:Tucana)」にある散開星団「NGC 346」です。散開星団とは、数十〜数百個の恒星がまばらに緩く集まっている天体を言います。
NGC 346は、約21万光年先の不規則銀河「小マゼラン雲」に位置しており、力強い輝きを放っている短命な大質量星が散らばっています。アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、小マゼラン雲にある青く高温な大質量星全体のうち、その半分以上にあたる数十個がNGC 346に存在しているといいます。一方で、NGC 346には大質量星以外にも、太陽質量の半分ほどの恒星も含まれているようです。
画像の多くを占めるピンク(赤)の箇所は、ガスや塵でできたHII領域(えいちつーりょういき)という新しい星が誕生する星形成領域で「N66」と呼ばれています。N66は、NGC 346を包む様な形をしており、中心付近には色が薄い空洞の様な箇所があります。これは、若く高温の大質量星による放射によって吹き飛ばされて作られたと考えられています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡のデータから作成された疑似カラーの画像で、NASAの今日の一枚「Young Stars of NGC 346」として2022年5月13日付で紹介されました。
【▲2005年1月に公開された「NGC 345」。ハッブル宇宙望遠鏡のACSで撮影。Hαの波長を除いているので冒頭の画像とは色が違い、角度も異なる(NASA, ESA and A. Nota (STScI/ESA))】
関連:大マゼラン雲のクモの中にある散開星団。巨星と超巨星の煌めき
Source
Image Credit: NASA, ESA - acknowledgement: Antonella Nota (ESA/STScI) et al.,APOD / hubble
sorae編集部