福原遥

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 福原遥(23)がNHK―Eテレの子ども向け料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』で司会役の柊まいんちゃんを務め始めてから13年が過ぎた。「ネクストブレイク女優」と長らく呼ばれてきた福原が、いよいよ大ブレイクしそうだ。

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 山下智久(37)主演の連続ドラマ『正直不動産』(NHK)での誠実な不動産営業ウーマン役が好評を博している一方、秋からは次期連続テレビ小説『舞いあがれ!』でヒロイン・岩倉舞役を演じることが決まっているからだ。

親世代も“まいんちゃん”に夢中に

 『正直不動産』は4月期の連続ドラマの中で屈指の出来映え。山下が演じる不動産営業マン・永瀬財地は客を騙して好成績を上げていたが、ホコラをぶっ壊した祟りによって、なぜかバカ正直になってしまう。

 途端に成績の落ちた永瀬は真っ青になるものの、やがて正直な営業にやりがいを感じ始める。一方、福原は永瀬から教えを受ける新入社員・月下咲良役。こちらは最初から真っ正直で、客の幸せを願って全力で不動産を仲介する。

 大学を出たばかりの咲良は青臭いことばかり言い、ドン臭く、酒を飲むとグチが多い。世間にいたら間違いなく敬遠されるタイプだ。けれど咲良は不思議と応援したくなる。福原の持つキャラからだろう。爽やかな笑顔と清潔感、ハキハキした話し方が武器だ。

 福原のデビューは小学1年生だった2005年。黒木瞳(61)が主演した『日曜劇場 恋の時間』に子役の1人として出た。ほんの少しだったから、おぼえている人はいないのではないか。

 子役としてブレイクしたのは何と言っても2009年から4年間の『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』だった。歌って踊れる司会者・まいんちゃんとして大人気を得た。ブッ飛んだ子ども向け番組だった。

 福原が底抜けに明るく、スラリとした美少女だったことから、視聴者ターゲットの子どもたちはトリコになり、その母親や父親までファンになった。スポーツ新聞や週刊誌が次々と「まいんちゃん特集」を組んだ。

 子役出身の俳優や女優の中には過去を“黒歴史”扱いする人もいるが、福原は違う。まいんちゃん時代に触れられると喜ぶ。インタビューでは「あのころの私をおぼえてくださっている方がいてうれしい」と口にする。

やっぱり応援したくなる

 一般の女優として活動を始めたのは16歳のころから。転機となったのはテレビ朝日での初主演連ドラ『声ガール』(2018年)だった。

 19歳だった福原はスーパーの店頭販売員から声優に目指す菊池真琴を演じた。失敗しても折れず、努力を続ける女性だった。『正直不動産』の咲良と同じく、なんだか不思議と応援したくなる存在だった。これも福原のキャラのせいだ。

 一方、昨秋の主演連ドラ『アンラッキーガール!』(日本テレビ)で演じた福良幸はとことんツイていない女性。次から次へと災難に襲われる。銀行強盗と鉢合わせになってしまうこともあった。それでも前向きに生きているので、福原がやると、やっぱり応援したくなった。

 朝ドラ『舞いあがれ!』で演じるヒロインの岩倉舞役もハマるに違いない。朝ドラはヒロインの成長記なので、応援したくなるキャラの持ち主のほうが断然向くのである。

 福原は2011年度前期の朝ドラ『おひさま』のヒロイン・井上真央(35)に憧れているため、自分もヒロインになるのが夢だった。だが、3作品のオーディションで落ち、今回は4回目の挑戦だった。2545人の中から選ばれた。

 昨年11月の制作発表で福原は「憧れの場所に立つことができて、本当にうれしい」と涙ぐんだ。このとき、取材に出向いたスポーツ紙記者の中にもらい泣きしそうになった人がいるという。

 花嫁の父親じゃあるまいしと思うが、自分の子どもと一緒に見ていたまいんちゃんが、夢をかなえたので、グッときたのだそうだ。

 この朝ドラは工場の街・東大阪市で育った舞が、パイロットを目指す物語。現在の朝ドラ『ちむどんどん』のストーリーには暗さが付きまとっているが、こちらは明るくて分かりやすい話になりそう。

 福原は応援される役柄が似合うものの、もちろん違った役も出来る。昨年の『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ)に出ていたのをご記憶だろうか。主人公の小説家・水無瀬碧(菅野美穂)の担当編集者・橘漱石(川上洋平)と付き合っていた伊藤沙織役だ。

 化粧が濃く、うるさいくらいに賑やかな女性で、碧が漱石と接近すると「人の男に何してくれるねん!」と凄んだ。まいんちゃんの面影はゼロ。それでも憎めない女性で、やがて碧と親しい熟年男の小田俊一郎(中村雅俊)と結ばれる。福原は演技の幅も広いのだ。

 素顔はどうなのだろう。これは公式YouTube「福原遥とふくはらはるか」(チャンネル登録者数44万8000人)で、3月に公開された「女優『福原遥』のトリセツを作ってみた!」で垣間見れる。福原の仕事仲間たちが福原の実像を証言し、それを本人が読み上げたのだ。

 それによると、仕事を離れた福原はこう。「とにかく寝る、よく寝る、どこでも寝る」、「会話中に寝ます」、「朝弱い」、「お肉が好き」、「焼き肉を食べていれば幸せを感じてくれます」、「ご飯を頼むとき、自分の胃袋を過信しているフシがある」、「よくモノをこぼします」、「人の悪口を言わない」、「裏表がない」、「下品な会話をすると怒る」、「超人見知り」、「おおざっぱなところ、よくあります」、「意外と運転が上手」……。

 若いせいか寝ることと食べることが大好きらしい。「料理好き」という証言も。さすが、まいんちゃんである。

高堀冬彦(放送コラムニスト、ジャーナリスト)
1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立