餅が麺に!? 野菜たっぷり「沢煮汁」で感動の新食感【野永シェフ考案】

餅がヌードルに!たっぷり野菜の沢煮汁【有名シェフがお助け!お餅のアレンジ術 #3】

1月も残り5日となりました。お正月に準備したお餅をなんとかしたい。でも、お雑煮もお汁粉も、焼いて食べるのにも飽きちゃった!そんな方のために、1月第4週の連載「有名シェフのお助けレシピ」では、和洋中の3人のシェフ考案の“お餅レスキュー料理”をご紹介します。

第3回は和食の匠、野永喜三夫シェフが登場!教えてくださるのは、体がほっこり温まる「沢煮汁」です。たくさんの具材が入った汁に、スライスされた薄い餅を合わせますよ。

調理時間:20分

「僕はとろみをつけたスープが大好き。沢煮汁は千切り野菜と豚肉や鶏肉で作るものですが、今回はお正月太りやコロナ太りの解消のために、肉を抜いて、餅を入れるヘルシーレシピにアレンジしました。野菜それぞれからだしが出て、肉が入っていなくても満足できますよ。

野菜の千切りさえがんばれば、調味料は白だしだけ、調理器具はフライパンだけ、そして野菜を煮混むだけの簡単レシピです。餅はすぐに溶けて消えちゃうから、お椀に盛り付けてからあと入れしましょう。

スープの熱でとろりととけた餅を細切り野菜と一緒に食べれば、体の芯から温まりますよ」

材料(2~4人分)

・餅(スライス)……5枚
・にんじん……40g
・ごぼう……40g
・えのきだけ……40g
・しいたけ……40g(2本)
・大根……40g
・長ねぎ……40g(白い部分30g、青い部分10g)
・水……900cc
・白だし……70cc
・片栗粉……大さじ1杯

作り方

1. 片栗粉、水、白だしを鍋に入れる

鍋もしくは大きくて深めのフライパンに片栗粉、水、白だしの順に入れます。

「なるべく洗い物を減らしたいので、フライパンごと計量しちゃいましょう。まずは片栗粉を入れ、そのあとに水と白だしを加えるといいですよ。あ、まだ火はつけないでくださいね!加熱するのは千切り野菜を加えてからです」

1. 大根を切る

大根は皮をむかずに千切りし、切り終えたら鍋に入れます。

「長さは1寸(3cm)を目安に。真ん中で二等分して、薄く半月切りしてから千切りしましょう。

怪我しないように、必ず指を添えてくださいね。こんなふうに切りそろえるのは面倒だけど、包丁使いの練習になります。面倒くさかったら薄切りのいちょう切りにしてもOK。薄く切ることがポイントです」

2. にんじんを切る

にんじんは皮付きのまま半分に割ったあと、薄切りして、幅2mmほどの千切りにします。切り終わったら鍋に投入します。

「皮はむかずにそのまま食べちゃいましょう。薄切りにしたにんじんを横に倒して少しスライドさせると千切りしやすいですよ。これはごぼうも同じです」

3. ごぼうを切る

ごぼうも皮をむかずに、縦に半分に切り、斜めに薄切りしてから千切りします。切り終えたら、鍋に加えます。

「ごぼうは水にさらさないで!香りが抜けちゃいますよ。今回はどの野菜も、できるだけ細くを心がけてくださいね。細いと火が入りやすいし、シャキシャキしておいしいんです」

4. えのきだけを切る

えのきだけは上下半分に切り、石づき側を手でこまかくほぐします。ほぐし終えたら、鍋に加えます。

5. しいたけを切る

しいたけの軸の部分を切り落とし、傘の部分を千切りし、鍋に入れます。

「どんこのような厚みのあるしいたけを使う場合は、まずは傘を2枚に下ろして厚みをそろえてから千切りしましょう。仰向けに置くと、包丁を入れる位置が確認しやすいですよ」

軸の部分は手で縦に割きます。

「しいたけの軸は硬いけど食べられるんだから、捨てちゃダメ!『さけるチーズ』みたいに縦に割きましょう。割いて干しておけば長期間の保存ができて、カレーライスや鍋の隠し味に使えますよ」

6. 長ねぎを切る

長ねぎは白い部分を細切りし、鍋に加えます。

「縦半分に切って切り口を上に置き、奥から手前に引き切りします。包丁を入れるラインがまな板に接するように長ねぎを傾けながら切るとスムーズです」

ねぎの青い部分は横に包丁を入れ、2枚にスライスしてから引き切りし、真ん中で半分の長さにカットします。

「青い部分は色や香りが飛ばさないように最後に入れるので、別に取っておいてくださいね。さやえんどうを添えるレシピが多いけれど、わざわざ買う必要はないですよ!ねぎの青い部分を生かしちゃいましょう」

水分が見えないほどたくさんの野菜が、たっぷりと入りました。

7. 餅を切る

餅を数枚重ねてまずは半分に、そしてさらに半分に切り、1枚を縦に4等分します。切った餅は長ねぎの青い部分と一緒に取り分けておきます。

「カットせずにそのまま入れてもいいけど、細長くすると麺みたいになって食べやすいですよ。切り餅を薄切りするのは大変だから、スライスされた鍋用の餅がおすすめです」

8. 全体をよく混ぜ、中火にかける

全体的によくかき混ぜ、底に沈んだ片栗粉を水に溶かしてから、中火にかけます。片栗粉の塊ができるのを防ぐために、白濁していたスープが透明になるまでおたまでかき混ぜます。

「スープが透明になったらかき混ぜなくてOK。冷たいところから火を入れるから、旨味が引き出せるし、香りと食感が一定した仕上がりになりますよ」

「スープが沸騰したら完成です。白かった大根も透明になっているでしょ。野菜ができあがりを合図してくれるので、見逃さないでくださいね。

アクはごぼうから出るもの。取ってもそのまま残してもどちらでもいいけれど、気になる方は真ん中に集まってきたものを1回だけすくってください」

9. 青ねぎを加えて盛り付け、餅を添える

スープが沸騰したら火を弱め、長ねぎの青い部分を入れます。この日の煮込み時間は10分ほどでした。

「スープに加えた途端、青ねぎが発色してきれいなグリーンになります。加熱することでシャキシャキとした食感に加えて、甘味も引き出せるんです」

沢煮汁を器に注いだら、餅を加えます。

「お餅はすぐに溶けちゃうから、お椀に盛り付けたあとに入れましょう。お餅はみるみるやわらかくなりますが、ちょっと固めのアルデンテ風もおいしいですよ!」

餅とすまし汁の2種のとろみ。体にうれしい沢煮汁

野菜とスープをかき混ぜながら加熱するだけで、旨味たっぷりで、かつ味わい深い汁物が完成しました!シャキシャキ野菜と一緒にヌードルのようにすすりながら食べるお餅の食感は、くせになりそうです。

「スープの分量はきっちり守ってほしいけど、野菜の量は多少増減してもOK。ニラやエリンギ、まいたけなんかを加えてもいいですよ。

まずはそのままで食べてもらって、途中で粗挽き黒こしょうとごま油を足して、味変を楽しんでください。お好みでおろししょうがを入れるのもおすすめ。沢煮汁はうどんやそば、雑炊にしたり揚げ餅にかけたりと、いろいろな方法で味わっていただけますよ」

ごぼうの香り高いスープがしっかり絡んだ、麺のようなスライス餅の食感。感動ものの味わいをぜひご体験ください!

明日は、餅で作る「なんちゃって角煮」を紹介

次回も野永さんが登場!豚バラ肉の代わりに餅で作る「なんちゃって角煮」を教えていただきます。お楽しみに!

教えてくれた人

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