あらゆる音楽・耳にベストフィット!? 最新イヤホン「Beats Fit Pro」を試す
●国内でもいよいよ発売へ。Beats最新イヤホンの実力に迫る
Beats by Dr. Dreが、新しい左右独立型の完全ワイヤレスイヤホン「Beats Fit Pro」(24,800円)を1月28日に発売します。心地よい装着感と多彩な機能、パワフルな“Beatsらしさ”が炸裂するサウンドなど、気になる実力に迫ります。
○Beats完全ワイヤレスイヤホンの“決定版”
Beats Fit Proは、Beats by Dr. Dre(以下:ビーツ)の完全ワイヤレスイヤホンの第3弾です。価格順に並べると、2019年に発売したイヤーフックスタイルの「Powerbeats Pro」(27,280円)と、2021年夏発売の「Beats Studio Buds」(17,800円)の中間に位置付けられます。
Beats Fit Proは、Appleの立体音楽体験「空間オーディオ」にフル対応しており、3機種の中では最先端を走るテクノロジーにも注目したいワイヤレスイヤホンです。価格が近いAppleの第3世代「AirPods」(23,800円)と比べると、「アクティブノイズキャンセリング」(NC)機能を備え、専用アプリによってAndroidスマホともスムーズに連携できるところが大きな魅力。なお、NCと「外部音取り込み」の機能を搭載するビーツの完全ワイヤレスイヤホンは、既存のBeats Studio Budsに続く第2弾となります。
製品名の「Fit」の由来は、ひとつには優れたフィット感を実現しているためと考えられます。外耳のくぼみに固定するウィングチップと、耳に挿入するシリコン製のイヤーチップにより、体を激しく動かしても微動だにしない安定した装着感は要チェック。装着感を高めるための各パーツは、ビーツのエンジニアが時間を掛けて作り込みました。性別や耳のサイズを問わず、誰でも自然で心地よいフィット感が得られるのは、ビーツが長年に渡って集めてきた耳型のサンプルデータを元に各パーツを設計しているためです。
イヤーチップはS/M/Lの3サイズを同梱しており、4色のバリエーションがそろうイヤホンの本体と色を合わせています。一般的に、イヤホンはユーザーの耳のサイズに最適なイヤーチップを選ぶことで、最良の音質と遮音効果が得られるものです。Beats Fit Proの場合、ペアリングしたスマホから「イヤーチップ装着状態テスト」を行うことで、左右それぞれの耳に最適なイヤーチップのサイズを調べることもできます。
イヤホンは片側の重さが約5.6g。ウィングチップとイヤーチップを使って正しく耳に着ければ、耳にイヤホンを着けていることを忘れそうになるほど軽やかな装着感です。充電器を兼ねる専用ケースは、従来のPowerbeats Proのケースに比べてだいぶ小さくなりました。バッグやジャケットのポケットに入れて無理なく持ち歩けそうです。
○iPhoneとAndroidスマホ、どちらでも相性がいい
Beats Fit Proは、Appleが開発するBluetoothオーディオ向けのシステムICチップ「Apple H1」を搭載しています。このチップがあることで、特にiPhoneなどAppleのデバイスにBeats Fit Proをペアリングして使うときの利便性が向上します。
ひとつ例を挙げると、iPhoneやiPad、MacなどすべてのAppleのデバイスとワンタッチペアリングが可能です。AirPodsシリーズのユーザーにはお馴染みかもしれません。
1台のデバイスとペアリングが完了すると、ユーザーのiCloudアカウントに紐づく他のAppleデバイス間で「自動デバイス切り替え」が使えるようになります。たとえばMacでビデオ会議をこなした後、iPhoneで少し音楽を聴いてリラックスしたいときに、毎度Bluetooth設定からイヤホンを選び直さなくても、次に使いたいデバイスでコンテンツを再生するだけで自動的に接続先が切り替わります。
ほかにも、たとえば「オーディオ共有」機能を使うと、1台のiPhoneにBeats Fit ProとほかのビーツやAppleのイヤホン/ヘッドホンを同時にペアリング可能。家族と一緒にジョギングやウォーキングをしながらペアリスニングが楽しめます。イヤホンを紛失してしまったときにAppleデバイスから探せる「探す」アプリ、iPhoneへの着信通知をSiriが音声で読み上げてくれる機能にも対応します。
○空間オーディオにフル対応! その魅力を満喫する方法
Beats Fit ProはAppleの空間オーディオに完全対応しています。同製品の発売時点で、AirPodsシリーズ以外に完全対応する他社製ワイヤレスイヤホンは他にありません。
特に注目したいのは「ダイナミックヘッドトラッキング」の機能が使えることです。ダイナミックヘッドトラッキングとは、iPhone/iPad、またはApple TV 4Kで空間オーディオに対応するコンテンツを再生しながら、顔の向きを変えても、デバイスで再生するコンテンツの音が元のあるべき位置に定位して聞こえる技術です。空間オーディオにより音の広がりが生まれて、ダイナミックヘッドトラッキングが加わるとさらに臨場感が豊かになります。
空間オーディオ対応のコンテンツは、代表的な所ではApple TV+やApple Music、Netflixなどのアプリサービスで充実しつつあります。さらに、Beats Fit ProをiPhone/iPadと組み合わせると、元がステレオ音声で製作されているコンテンツの音声も“空間オーディオ化”(空間化)して、ダイナミックヘッドトラッキングを効かせて楽しめるようになります。CDからiPhoneに取り込んだ楽曲やYouTubeの動画など、コンテンツの音声に全周囲から包まれるような体験はぜひ味わっておくべきです。
ビーツのイヤホンは、Appleのデバイスとだけ相性が良いわけではありません。Google Playストアから「Beats」アプリをAndroidスマホにインストールしてペアリングすると、接続したイヤホンのバッテリー残量や、NCなどリスニングモードのステータスがアプリ上で確認できるようになります。
また、Google Fast Pair機能によるスマホとイヤホンのワンタッチペアリングにも対応します。使い心地がとてもスムーズなので、Androidスマホユーザーにも初めての完全ワイヤレスイヤホンとして、Beats Fit Proがおすすめです。
●Beats Fit Proの魅力を引き出す、オススメの楽曲を聴く
○Beats Fit Proの魅力が最も活かせる!オススメのサウンドをセレクト
Beats Fit Proのサウンドを、iPhone 13 Proにペアリングした状態で、Apple Musicで配信されている楽曲を聴きながらチェックしました。
Beats Fit Proの音の心臓部は、ビーツの独自開発による9.5mmのダイナミック型ドライバーです。振動板中心のドーム部と周囲は素材の硬さや形状を変えて、再生する音楽ソースに合わせた柔軟なピストンモーションを引き出します。小さなイヤホンが迫力に満ちたサウンドを鳴らせる理由がここにあります。
ユーザーの鼓膜に最も効率よく音を届けられるように、ドライバーの装着位置や向きを最適化。小音量再生時にもメリハリの効いたサウンドを響かせます。さらに、ドライバーの背面には音のエネルギーを増幅するための音響室があります。ハウジングの構造は密閉型ですが、一部に小さな空気の通り道となるポートを設けて、音の切れ味を作り出しています。クリアな中高域、スピード感あふれる低音の源です。
先に筆者のリスニング感を総括してしまうと、上品でありながら、かつ明朗で鮮度の高いBeats Fit Proのサウンドにとても好感を持ちました。これまでのPowerbeats Pro、Beats Studio Budsに比べると、中低音域の情報量が増して、全体のバランスが一段と整った感じがします。あえてBeats Fit Proと最も相性の良い音楽のタイプを3つ挙げるとすれば、次の通りです。
ひとつはアップテンポでノリの良い楽曲。たとえばマハラージャンの楽曲『セーラ☆ムン太郎』のように、グルーヴィーなベースラインの熱気がビシビシッと伝わってきます。ドラムスのハイハット、シンバルの高音は音像がぼやけず、鋭い切れ味のリズムに鼓膜が心地よく刺激されます。低音の足下がとてもしっかりとしているので、ボーカルやピアノの情感豊かなメロディラインがいっそう立体的に引き立ちます。
もうひとつはボーカル系の楽曲。上白石萌音のカバーアルバム「あの歌-1-」から『君は薔薇より美しい』を聴くと、ボーカリストの声の質感がとても生々しく伝わってきて、思わず背中がゾクっとしました。ペパーミントのように爽やかな余韻を残す、彼女のボーカルと絶妙にマッチするイヤホンです。ホーンセクションの温かみ漂う音色とのコントラスト感も極まっています。
最後に、オトナのジャズもぜひBeats Fit Proで聴いて欲しいです。上原ひろみのアルバム「Silver Lining Suite」から『フォーティチュード』では、Beats Fit Proがプレイヤーの熱量をガッツリと引き出し、ライブホールのように熱い音楽空間を目の前に描いてみせました。元はステレオ収録の楽曲ですが、iPhoneやiPadで聴く機会があればぜひ“空間化”して、演奏空間がグンと広がる体験を味わってみてください。
○メリハリの効いたNCと外部音取り込み。自然なモードシフト
Beats Fit Proは、本体側面のロゴがリモコンボタンになっています。ノイズキャンセリング(NC)と外部音取り込み、それぞれの機能をオフにする「3つのリスニングモード」は、本体のリモコンやスマホから選択可能です。ビーツではこの操作機能を「ノイズコントロール」と呼んでいます。
NCモードの消音効果はしっかりと感じられ、特定の帯域に偏らずに、バランス良く消音されます。耳に適したサイズのイヤーチップを選んで装着するだけで、いわゆるパッシブな消音効果も十分に得られます。バスのエンジン音など、持続的に響く低音のノイズも違和感なく自然に消せるので、通勤や旅行の移動時に頼りになります。
遮音効果がとても高いことから、屋外で使うときなどには周りの音が聞こえづらくならないかと、不安に感じるかもしれません。ノイズコントロールを「外部音取り込み」にスイッチすると、まるでイヤホンを外したように、周囲の環境音がクリアに聞こえるようになります。リスニングモードを変えても、音楽の聞こえ方が影響を受けてブレることはなく、(サウンドの)力感も失われません。
AppleのAirPods Proを使ったことがある方であれば、外部音取り込みのクリアな聞こえ方は「Beats Fit Proも同等のレベル」と言えばわかりやすいでしょうか。NC搭載の完全ワイヤレスイヤホンの中でもトップクラスだと思います。
ノイズコントロールをオフにすると、アダプティブイコライゼーション機能が有効になります。ユーザーの耳の形に合わせて、再生中の音楽の中低域を自動で調整し、どのモードを選んだ場合も一貫したサウンドが楽しめるように設計された機能です。
アダプティブイコライゼーションを選ぶと、イヤホンのノズル内に配置したマイクが、ユーザーが聴く音と同じ音を常時モニタリングして、音楽のバランスを自動的に最適化します。Apple H1チップの優れた演算処理能力が実現する「コンピュテーショナルオーディオ」のパワーを実感します。
○長時間のビデオ通話も十分にこなせる、クリアな音質と長持ちバッテリー
Beats Fit Proは心地よい装着感が得られるワイヤレスイヤホンなので、音楽リスニングだけでなく、ビデオ会議などハンズフリー通話でも多用したくなります。内蔵するビームフォーミングマイクの性能にこだわり、さらに不要な外部音を排除する音声感知加速度センサーを載せて通話性能をブラッシュアップしています。聴く方だけでなく、伝える方の音声も力強く明瞭です。
Beats Fit Proは、イヤホンの着脱に音楽の再生と一時停止が連動する「自動装着検出」機能を搭載しています。人間の耳の肌をより正確に検出するセンサーにより、ポケットの中に裸でイヤホンを入れているときに起こりがちな誤作動を防ぎます。
iPhoneと一緒に使う場合は、Siriによるメッセージ着信の読み上げや、常時待機の“Hey Siri”の呼びかけにも対応します。最先端の技術を網羅すると、使用時に多くのバッテリーを消費しそうですが、Beats Fit Proはスタミナも十分。NCオン時で最大6時間、ケースによる充電を繰り返せば最大27時間の連続リスニングが可能です(NCオフ時は単体7時間、ケース込みで最大30時間)。ハンズフリー通話を中心に使っても最大5時間。片側だけで通話もできるので、左右を交換しながら使えば1日中リモートワークに使い倒せます。ケースのワイヤレス充電は非対応ですが、高速充電機能のFast Fuelがあるので安心です。
○最新の「ビーツの集大成」、誕生
サイズを超えた低音の迫力、音の広がり感は「iPad miniで楽しむミニシアター」との相性がバツグンに良いと思いました。また、お気に入りの音楽を入れたApple Watchとペアリングして、Beats Fit Proと一緒に出かけるエクササイズでは気分がアガります。
製品の発表当初は“フィット感重視”で、耐汗耐水対応がウリのスポーツイヤホンなのかと思っていましたが、Beats Fit Proはさまざまな音楽を聴くシーンにフィットするオールラウンダーと呼ぶべきワイヤレスイヤホンでした。
コンパクトで可搬性が高く、混雑する交通機関での移動時にも、Beats Fit Proのように落としてなくす心配が少ない設計の完全ワイヤレスイヤホンはとても貴重です。音質・機能・装着性能。あらゆる視点から「ビーツの集大成」と呼ぶべきニューフェイスの誕生です。
Beats by Dr. Dreが、新しい左右独立型の完全ワイヤレスイヤホン「Beats Fit Pro」(24,800円)を1月28日に発売します。心地よい装着感と多彩な機能、パワフルな“Beatsらしさ”が炸裂するサウンドなど、気になる実力に迫ります。
Beats Fit Proは、Beats by Dr. Dre(以下:ビーツ)の完全ワイヤレスイヤホンの第3弾です。価格順に並べると、2019年に発売したイヤーフックスタイルの「Powerbeats Pro」(27,280円)と、2021年夏発売の「Beats Studio Buds」(17,800円)の中間に位置付けられます。
Beats Fit Proは、Appleの立体音楽体験「空間オーディオ」にフル対応しており、3機種の中では最先端を走るテクノロジーにも注目したいワイヤレスイヤホンです。価格が近いAppleの第3世代「AirPods」(23,800円)と比べると、「アクティブノイズキャンセリング」(NC)機能を備え、専用アプリによってAndroidスマホともスムーズに連携できるところが大きな魅力。なお、NCと「外部音取り込み」の機能を搭載するビーツの完全ワイヤレスイヤホンは、既存のBeats Studio Budsに続く第2弾となります。
製品名の「Fit」の由来は、ひとつには優れたフィット感を実現しているためと考えられます。外耳のくぼみに固定するウィングチップと、耳に挿入するシリコン製のイヤーチップにより、体を激しく動かしても微動だにしない安定した装着感は要チェック。装着感を高めるための各パーツは、ビーツのエンジニアが時間を掛けて作り込みました。性別や耳のサイズを問わず、誰でも自然で心地よいフィット感が得られるのは、ビーツが長年に渡って集めてきた耳型のサンプルデータを元に各パーツを設計しているためです。
イヤーチップはS/M/Lの3サイズを同梱しており、4色のバリエーションがそろうイヤホンの本体と色を合わせています。一般的に、イヤホンはユーザーの耳のサイズに最適なイヤーチップを選ぶことで、最良の音質と遮音効果が得られるものです。Beats Fit Proの場合、ペアリングしたスマホから「イヤーチップ装着状態テスト」を行うことで、左右それぞれの耳に最適なイヤーチップのサイズを調べることもできます。
イヤホンは片側の重さが約5.6g。ウィングチップとイヤーチップを使って正しく耳に着ければ、耳にイヤホンを着けていることを忘れそうになるほど軽やかな装着感です。充電器を兼ねる専用ケースは、従来のPowerbeats Proのケースに比べてだいぶ小さくなりました。バッグやジャケットのポケットに入れて無理なく持ち歩けそうです。
○iPhoneとAndroidスマホ、どちらでも相性がいい
Beats Fit Proは、Appleが開発するBluetoothオーディオ向けのシステムICチップ「Apple H1」を搭載しています。このチップがあることで、特にiPhoneなどAppleのデバイスにBeats Fit Proをペアリングして使うときの利便性が向上します。
ひとつ例を挙げると、iPhoneやiPad、MacなどすべてのAppleのデバイスとワンタッチペアリングが可能です。AirPodsシリーズのユーザーにはお馴染みかもしれません。
1台のデバイスとペアリングが完了すると、ユーザーのiCloudアカウントに紐づく他のAppleデバイス間で「自動デバイス切り替え」が使えるようになります。たとえばMacでビデオ会議をこなした後、iPhoneで少し音楽を聴いてリラックスしたいときに、毎度Bluetooth設定からイヤホンを選び直さなくても、次に使いたいデバイスでコンテンツを再生するだけで自動的に接続先が切り替わります。
ほかにも、たとえば「オーディオ共有」機能を使うと、1台のiPhoneにBeats Fit ProとほかのビーツやAppleのイヤホン/ヘッドホンを同時にペアリング可能。家族と一緒にジョギングやウォーキングをしながらペアリスニングが楽しめます。イヤホンを紛失してしまったときにAppleデバイスから探せる「探す」アプリ、iPhoneへの着信通知をSiriが音声で読み上げてくれる機能にも対応します。
○空間オーディオにフル対応! その魅力を満喫する方法
Beats Fit ProはAppleの空間オーディオに完全対応しています。同製品の発売時点で、AirPodsシリーズ以外に完全対応する他社製ワイヤレスイヤホンは他にありません。
特に注目したいのは「ダイナミックヘッドトラッキング」の機能が使えることです。ダイナミックヘッドトラッキングとは、iPhone/iPad、またはApple TV 4Kで空間オーディオに対応するコンテンツを再生しながら、顔の向きを変えても、デバイスで再生するコンテンツの音が元のあるべき位置に定位して聞こえる技術です。空間オーディオにより音の広がりが生まれて、ダイナミックヘッドトラッキングが加わるとさらに臨場感が豊かになります。
空間オーディオ対応のコンテンツは、代表的な所ではApple TV+やApple Music、Netflixなどのアプリサービスで充実しつつあります。さらに、Beats Fit ProをiPhone/iPadと組み合わせると、元がステレオ音声で製作されているコンテンツの音声も“空間オーディオ化”(空間化)して、ダイナミックヘッドトラッキングを効かせて楽しめるようになります。CDからiPhoneに取り込んだ楽曲やYouTubeの動画など、コンテンツの音声に全周囲から包まれるような体験はぜひ味わっておくべきです。
ビーツのイヤホンは、Appleのデバイスとだけ相性が良いわけではありません。Google Playストアから「Beats」アプリをAndroidスマホにインストールしてペアリングすると、接続したイヤホンのバッテリー残量や、NCなどリスニングモードのステータスがアプリ上で確認できるようになります。
また、Google Fast Pair機能によるスマホとイヤホンのワンタッチペアリングにも対応します。使い心地がとてもスムーズなので、Androidスマホユーザーにも初めての完全ワイヤレスイヤホンとして、Beats Fit Proがおすすめです。
●Beats Fit Proの魅力を引き出す、オススメの楽曲を聴く
○Beats Fit Proの魅力が最も活かせる!オススメのサウンドをセレクト
Beats Fit Proのサウンドを、iPhone 13 Proにペアリングした状態で、Apple Musicで配信されている楽曲を聴きながらチェックしました。
Beats Fit Proの音の心臓部は、ビーツの独自開発による9.5mmのダイナミック型ドライバーです。振動板中心のドーム部と周囲は素材の硬さや形状を変えて、再生する音楽ソースに合わせた柔軟なピストンモーションを引き出します。小さなイヤホンが迫力に満ちたサウンドを鳴らせる理由がここにあります。
ユーザーの鼓膜に最も効率よく音を届けられるように、ドライバーの装着位置や向きを最適化。小音量再生時にもメリハリの効いたサウンドを響かせます。さらに、ドライバーの背面には音のエネルギーを増幅するための音響室があります。ハウジングの構造は密閉型ですが、一部に小さな空気の通り道となるポートを設けて、音の切れ味を作り出しています。クリアな中高域、スピード感あふれる低音の源です。
先に筆者のリスニング感を総括してしまうと、上品でありながら、かつ明朗で鮮度の高いBeats Fit Proのサウンドにとても好感を持ちました。これまでのPowerbeats Pro、Beats Studio Budsに比べると、中低音域の情報量が増して、全体のバランスが一段と整った感じがします。あえてBeats Fit Proと最も相性の良い音楽のタイプを3つ挙げるとすれば、次の通りです。
ひとつはアップテンポでノリの良い楽曲。たとえばマハラージャンの楽曲『セーラ☆ムン太郎』のように、グルーヴィーなベースラインの熱気がビシビシッと伝わってきます。ドラムスのハイハット、シンバルの高音は音像がぼやけず、鋭い切れ味のリズムに鼓膜が心地よく刺激されます。低音の足下がとてもしっかりとしているので、ボーカルやピアノの情感豊かなメロディラインがいっそう立体的に引き立ちます。
もうひとつはボーカル系の楽曲。上白石萌音のカバーアルバム「あの歌-1-」から『君は薔薇より美しい』を聴くと、ボーカリストの声の質感がとても生々しく伝わってきて、思わず背中がゾクっとしました。ペパーミントのように爽やかな余韻を残す、彼女のボーカルと絶妙にマッチするイヤホンです。ホーンセクションの温かみ漂う音色とのコントラスト感も極まっています。
最後に、オトナのジャズもぜひBeats Fit Proで聴いて欲しいです。上原ひろみのアルバム「Silver Lining Suite」から『フォーティチュード』では、Beats Fit Proがプレイヤーの熱量をガッツリと引き出し、ライブホールのように熱い音楽空間を目の前に描いてみせました。元はステレオ収録の楽曲ですが、iPhoneやiPadで聴く機会があればぜひ“空間化”して、演奏空間がグンと広がる体験を味わってみてください。
○メリハリの効いたNCと外部音取り込み。自然なモードシフト
Beats Fit Proは、本体側面のロゴがリモコンボタンになっています。ノイズキャンセリング(NC)と外部音取り込み、それぞれの機能をオフにする「3つのリスニングモード」は、本体のリモコンやスマホから選択可能です。ビーツではこの操作機能を「ノイズコントロール」と呼んでいます。
NCモードの消音効果はしっかりと感じられ、特定の帯域に偏らずに、バランス良く消音されます。耳に適したサイズのイヤーチップを選んで装着するだけで、いわゆるパッシブな消音効果も十分に得られます。バスのエンジン音など、持続的に響く低音のノイズも違和感なく自然に消せるので、通勤や旅行の移動時に頼りになります。
遮音効果がとても高いことから、屋外で使うときなどには周りの音が聞こえづらくならないかと、不安に感じるかもしれません。ノイズコントロールを「外部音取り込み」にスイッチすると、まるでイヤホンを外したように、周囲の環境音がクリアに聞こえるようになります。リスニングモードを変えても、音楽の聞こえ方が影響を受けてブレることはなく、(サウンドの)力感も失われません。
AppleのAirPods Proを使ったことがある方であれば、外部音取り込みのクリアな聞こえ方は「Beats Fit Proも同等のレベル」と言えばわかりやすいでしょうか。NC搭載の完全ワイヤレスイヤホンの中でもトップクラスだと思います。
ノイズコントロールをオフにすると、アダプティブイコライゼーション機能が有効になります。ユーザーの耳の形に合わせて、再生中の音楽の中低域を自動で調整し、どのモードを選んだ場合も一貫したサウンドが楽しめるように設計された機能です。
アダプティブイコライゼーションを選ぶと、イヤホンのノズル内に配置したマイクが、ユーザーが聴く音と同じ音を常時モニタリングして、音楽のバランスを自動的に最適化します。Apple H1チップの優れた演算処理能力が実現する「コンピュテーショナルオーディオ」のパワーを実感します。
○長時間のビデオ通話も十分にこなせる、クリアな音質と長持ちバッテリー
Beats Fit Proは心地よい装着感が得られるワイヤレスイヤホンなので、音楽リスニングだけでなく、ビデオ会議などハンズフリー通話でも多用したくなります。内蔵するビームフォーミングマイクの性能にこだわり、さらに不要な外部音を排除する音声感知加速度センサーを載せて通話性能をブラッシュアップしています。聴く方だけでなく、伝える方の音声も力強く明瞭です。
Beats Fit Proは、イヤホンの着脱に音楽の再生と一時停止が連動する「自動装着検出」機能を搭載しています。人間の耳の肌をより正確に検出するセンサーにより、ポケットの中に裸でイヤホンを入れているときに起こりがちな誤作動を防ぎます。
iPhoneと一緒に使う場合は、Siriによるメッセージ着信の読み上げや、常時待機の“Hey Siri”の呼びかけにも対応します。最先端の技術を網羅すると、使用時に多くのバッテリーを消費しそうですが、Beats Fit Proはスタミナも十分。NCオン時で最大6時間、ケースによる充電を繰り返せば最大27時間の連続リスニングが可能です(NCオフ時は単体7時間、ケース込みで最大30時間)。ハンズフリー通話を中心に使っても最大5時間。片側だけで通話もできるので、左右を交換しながら使えば1日中リモートワークに使い倒せます。ケースのワイヤレス充電は非対応ですが、高速充電機能のFast Fuelがあるので安心です。
○最新の「ビーツの集大成」、誕生
サイズを超えた低音の迫力、音の広がり感は「iPad miniで楽しむミニシアター」との相性がバツグンに良いと思いました。また、お気に入りの音楽を入れたApple Watchとペアリングして、Beats Fit Proと一緒に出かけるエクササイズでは気分がアガります。
製品の発表当初は“フィット感重視”で、耐汗耐水対応がウリのスポーツイヤホンなのかと思っていましたが、Beats Fit Proはさまざまな音楽を聴くシーンにフィットするオールラウンダーと呼ぶべきワイヤレスイヤホンでした。
コンパクトで可搬性が高く、混雑する交通機関での移動時にも、Beats Fit Proのように落としてなくす心配が少ない設計の完全ワイヤレスイヤホンはとても貴重です。音質・機能・装着性能。あらゆる視点から「ビーツの集大成」と呼ぶべきニューフェイスの誕生です。