クアルコムのアモンCEO、メタバースや自動車へのSnapdragon拡大を宣言 - CES 2022
米ラスベガスで開幕したエレクトロニクスショー「CES 2022」の会場では、米クアルコムがプレスカンファレンスを開催。ステージに登壇した社長兼CEOのクリスティアーノ・アモン氏は、モバイルPCやXRデバイスによるメタバース、コネクテッドカーといった各カテゴリー向けにラインナップをそろえるクアルコムのプラットフォームについて、現状を語りました。
○Snapdragon搭載のモバイルPCに追い風
クアルコムは毎年CESに出展する常連ですが、近年は特にモバイルPCとオートモーティブに関連するソリューションに注力しています。その理由についてアモン氏は、「CES自体がコネクテッドカーの展示会・見本市としても重要なイベントになったから」と述べています。
2021年12月に開催したSnapdragonの技術セミナーにおいては、ARM版プロセッサを搭載するWindows PC向けの新しいプラットフォーム、「Snapdragon 8cx Gen 3」「Snapdragon 7c+ Gen 3」を発表しました。
アモン氏は、「Snapdragon Compute Platformは次世代のモバイルPCに対して、高度なAI機能、カメラとオーディオなどのマルチメディア体験、高速な5GおよびWi-Fi通信を提供できる」としています。
これらは電力効率が高いSoCでもあることから、モバイルPCの薄型化・軽量化にも貢献するプラットフォームとして特徴を発揮します。アモン氏は「発表以来、多くのエコシステムパートナーから信頼を勝ち取ってきた。信じ難いことかもしれないが、今や業界では従来のプロセッサからARMベースのモバイルPCへの移行が進んでいる」とし、「PC向けのSnapdragon」に追い風が吹いていることを繰り返し強調しました。
アモン氏は、既にクアルコムのプラットフォームを搭載するモバイルPCを商品化しているASUS、HP、レノボ、Acerをはじめとする大手メーカー、およびWindows OSを展開するマイクロソフトが重要なパートナーの代表格とし、今後も協力関係を深めていく考えを述べています。また、SnapdragonとWindowsを搭載したモバイルPCや2in1デバイスを試験的、あるいは本格導入している企業顧客が200以上に上り、それぞれクアルコム・プラットフォームの特徴「強固なセキュリティ」を提供していることについてもアピールしました。
○マイクロソフトやMetaとの協業によりXR事業を拡大
先に触れたSnapdragonの技術セミナーにて、クアルコムはXR(eXtended Reality)デバイス向けの5G対応専用プラットフォーム「Snapdragon XR2 5G Platform」も発表しています。
AR(拡張現実)型のユーザー体験を提供するデバイスにも応用できる最新のSoCと、開発者向けSDKの「Snapdragon Spaces」については、今後マイクロソフトとさらにパートナーシップを深め、協業の領域を拡大する方針です。アモン氏はその協業領域がコンシューマとエンタープライズの両方に広くまたがるものだとコメントしています。
今後は、AR体験のためにカスタマイズされたクアルコムのSnapdragonチップと、マイクロソフトのソフトウェア「Microsoft Mesh」の高度な連携を目指して、両社は開発体制の構築を進めます。Microsoft Meshは、メタバース空間の体験を複数のユーザーが共有できるようにするソフトウェアです。
クアルコムとマイクロソフトの協業製品がいつ、どのような形で発表されるのかは、アモン氏は明言しませんでした。その一方で、クアルコムとMeta(旧:Facebook)とのパートナーシップ、並びにシャオミやOPPOなどXRデバイスの開発に積極的なOEMメーカーとの連携については、「XR向けSnapdragonの大きな推進力になっている」と語っています。ちなみに、Shiftallが発表したVRスマートグラス「MenageX」も、SnapdragonのXRデバイス向けSoCを採用しています。
○Snapdragon搭載のコネクテッドカーが世界の街を走る
2022年のCESでは、ソニーがEV(自動運転車)市場への本格参入を宣言して話題を呼んでいます。クアルコムは、ソニーのコネクテッドカーやモビリティ向けのプラットフォーム開発により注力する考えを述べながら、次のようにコメントしています。
「21世紀の自動車は、クラウドと通信しながら安全走行サポートやエンターテインメント配信と連携するコネクテッドカーが主流になる。テックカンパニーに進化を遂げようとしている自動車メーカーのために、あるいは異業種からコネクテッドカーの市場に参入を目指す企業のために、クアルコムが提供できる豊富なノウハウと多彩なソリューションがある」
クアルコムには、自動車のデジタル化を可能にする包括的パッケージ「Snapdragon Digital Chassis」があります。それを構成するプラットフォームは、運転者支援(ADAS)・自動運転向け「Snapdragon Ride Platform」、車内体験を変革するフルデジタルのインタフェース向け「Snapdragon Cockpit Platform」、無線通信によるコネクティビティを提供する「Snapdragon Auto Connectivity Platform」、OTAアップデートを可能にする「Snapdragon Car-to-Cloud Services」といった内容。
自動車メーカーは、それぞれに必要とするプラットフォームを選択するか、または仏ルノーのように、Snapdragon Digital Chassisをフルセットで活用して次世代のコネクテッドカーを開発する企業もあります。2022年のCESでは、ホンダ、ボルボ、Desay SVなどの自動車メーカーが、今後のコネクテッドカー開発にクアルコムのプラットフォームを採用することを発表しました。
クアルコムはSnapdragon Digital Chassisの事業をさらに拡大するため、世界の主要な自動車メーカーの拠点である欧州を視野に、新しいソフトウェアエンジニアリングオフィスをベルリンに開設します。オートモーティブ事業のエンジニアリング・研究開発・製品マーケティング拠点のオフィスは、ドイツ・フランス・イタリア・イギリスにも展開しており、今後ますます多くの「Snapdragon搭載のコネクテッドカー」が世界中の街を走ることになりそうです。
クアルコムは毎年CESに出展する常連ですが、近年は特にモバイルPCとオートモーティブに関連するソリューションに注力しています。その理由についてアモン氏は、「CES自体がコネクテッドカーの展示会・見本市としても重要なイベントになったから」と述べています。
2021年12月に開催したSnapdragonの技術セミナーにおいては、ARM版プロセッサを搭載するWindows PC向けの新しいプラットフォーム、「Snapdragon 8cx Gen 3」「Snapdragon 7c+ Gen 3」を発表しました。
アモン氏は、「Snapdragon Compute Platformは次世代のモバイルPCに対して、高度なAI機能、カメラとオーディオなどのマルチメディア体験、高速な5GおよびWi-Fi通信を提供できる」としています。
これらは電力効率が高いSoCでもあることから、モバイルPCの薄型化・軽量化にも貢献するプラットフォームとして特徴を発揮します。アモン氏は「発表以来、多くのエコシステムパートナーから信頼を勝ち取ってきた。信じ難いことかもしれないが、今や業界では従来のプロセッサからARMベースのモバイルPCへの移行が進んでいる」とし、「PC向けのSnapdragon」に追い風が吹いていることを繰り返し強調しました。
アモン氏は、既にクアルコムのプラットフォームを搭載するモバイルPCを商品化しているASUS、HP、レノボ、Acerをはじめとする大手メーカー、およびWindows OSを展開するマイクロソフトが重要なパートナーの代表格とし、今後も協力関係を深めていく考えを述べています。また、SnapdragonとWindowsを搭載したモバイルPCや2in1デバイスを試験的、あるいは本格導入している企業顧客が200以上に上り、それぞれクアルコム・プラットフォームの特徴「強固なセキュリティ」を提供していることについてもアピールしました。
○マイクロソフトやMetaとの協業によりXR事業を拡大
先に触れたSnapdragonの技術セミナーにて、クアルコムはXR(eXtended Reality)デバイス向けの5G対応専用プラットフォーム「Snapdragon XR2 5G Platform」も発表しています。
AR(拡張現実)型のユーザー体験を提供するデバイスにも応用できる最新のSoCと、開発者向けSDKの「Snapdragon Spaces」については、今後マイクロソフトとさらにパートナーシップを深め、協業の領域を拡大する方針です。アモン氏はその協業領域がコンシューマとエンタープライズの両方に広くまたがるものだとコメントしています。
今後は、AR体験のためにカスタマイズされたクアルコムのSnapdragonチップと、マイクロソフトのソフトウェア「Microsoft Mesh」の高度な連携を目指して、両社は開発体制の構築を進めます。Microsoft Meshは、メタバース空間の体験を複数のユーザーが共有できるようにするソフトウェアです。
クアルコムとマイクロソフトの協業製品がいつ、どのような形で発表されるのかは、アモン氏は明言しませんでした。その一方で、クアルコムとMeta(旧:Facebook)とのパートナーシップ、並びにシャオミやOPPOなどXRデバイスの開発に積極的なOEMメーカーとの連携については、「XR向けSnapdragonの大きな推進力になっている」と語っています。ちなみに、Shiftallが発表したVRスマートグラス「MenageX」も、SnapdragonのXRデバイス向けSoCを採用しています。
○Snapdragon搭載のコネクテッドカーが世界の街を走る
2022年のCESでは、ソニーがEV(自動運転車)市場への本格参入を宣言して話題を呼んでいます。クアルコムは、ソニーのコネクテッドカーやモビリティ向けのプラットフォーム開発により注力する考えを述べながら、次のようにコメントしています。
「21世紀の自動車は、クラウドと通信しながら安全走行サポートやエンターテインメント配信と連携するコネクテッドカーが主流になる。テックカンパニーに進化を遂げようとしている自動車メーカーのために、あるいは異業種からコネクテッドカーの市場に参入を目指す企業のために、クアルコムが提供できる豊富なノウハウと多彩なソリューションがある」
クアルコムには、自動車のデジタル化を可能にする包括的パッケージ「Snapdragon Digital Chassis」があります。それを構成するプラットフォームは、運転者支援(ADAS)・自動運転向け「Snapdragon Ride Platform」、車内体験を変革するフルデジタルのインタフェース向け「Snapdragon Cockpit Platform」、無線通信によるコネクティビティを提供する「Snapdragon Auto Connectivity Platform」、OTAアップデートを可能にする「Snapdragon Car-to-Cloud Services」といった内容。
自動車メーカーは、それぞれに必要とするプラットフォームを選択するか、または仏ルノーのように、Snapdragon Digital Chassisをフルセットで活用して次世代のコネクテッドカーを開発する企業もあります。2022年のCESでは、ホンダ、ボルボ、Desay SVなどの自動車メーカーが、今後のコネクテッドカー開発にクアルコムのプラットフォームを採用することを発表しました。
クアルコムはSnapdragon Digital Chassisの事業をさらに拡大するため、世界の主要な自動車メーカーの拠点である欧州を視野に、新しいソフトウェアエンジニアリングオフィスをベルリンに開設します。オートモーティブ事業のエンジニアリング・研究開発・製品マーケティング拠点のオフィスは、ドイツ・フランス・イタリア・イギリスにも展開しており、今後ますます多くの「Snapdragon搭載のコネクテッドカー」が世界中の街を走ることになりそうです。