オリックス、25年ぶり日本一のポイントは? 専門家が分析する“不安要素”とは…
シーズンを無傷の15連勝で終え、CSも4安打完封で死角なし
ヤクルトとオリックスが対戦する「SMBC日本シリーズ2021」が20日に京セラドームで開幕する。25年ぶりに日本シリーズ進出を果たしたオリックスは、6年ぶりのヤクルトを相手にどう戦うのか。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として21年間活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析した。
今シリーズは4年ぶりに予告先発なしで行われることに。オリックスはエースの山本由伸投手の第1戦先発が確実。それほど山本への信頼は絶対的だ。何しろレギュラーシーズンでは5月28日のヤクルト戦以降、無傷の15連勝。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦でもロッテを4安打完封し、付け入る隙を見せなかった。日本シリーズへ向けても、死角は見当たらない。
だからこそ、万が一、山本で敗れた場合チームに与えるショックは甚大だ。「オリックスが無難に第1戦を取れば日本一になる可能性が極めて高いが、逆に星を落とした場合、ヤクルトへ流れが一気に傾くと思います」と野口氏は展開を読む。
宮城がCSファイナルステージで第4戦先発へ回ったのはなぜか?
本来なら、第2戦の先発は弱冠20歳の左腕、宮城大弥投手だろう。今季13勝、防御率2.51、勝率.765は、いずれも山本に次いでリーグ2位だった。ただ、9月以降にやや失速。CSファイナルステージでは第4戦先発予定に回り、第3戦で決着したため出番なしに終わった。野口氏は「CSで第4戦先発になった理由が単純にロッテとの相性の悪さ(今季5試合1勝1敗、防御率4.88)にあるのなら問題はない。ただ調子自体が悪いとすると、オリックスの先発投手陣に不安が生じる」と言う。
そんな中、6月に1軍の戦列を離れ9月に右肘のクリーニング手術を受けた山岡泰輔投手が“滑り込み”で日本シリーズ出場資格者名簿に名を連ねたことは朗報だ。野口氏は「山岡が第3〜5戦のどこかで先発する可能性はある」と見ている。2019、20年に2年連続で開幕投手を務めた実力者。「右肘の手術に追い込まれた原因は、ウエスタン・リーグ戦での慣れないリリーフ登板にあったと聞いています。とすれば、日本シリーズでもリリーフは考えにくい。それでもわざわざ出場資格者名簿に入れた以上、先発させるつもりではないか。僕も見てみたい」と野口氏は語る。
山岡が先発する場合、CSファイナルステージ第3戦に先発した山崎颯一郎投手は「球に力があるので、先発が早い回に崩れた時の“第2先発”やリリーフで起用しても面白い」(野口氏)という見立てだ。その他、先発要員としては田嶋、山崎福の両左腕が控えている。
攻撃面では、指名打者制のない第3〜5戦(東京ドーム)が課題となる。主軸の吉田正尚外野手は、右尺骨骨折から奇跡的な復活を遂げ、CSに指名打者として出場したが、日本シリーズで守備に就けるかどうかは微妙なところ。野口氏は「仮に吉田正が守れたとしても、指名打者がいなくなる分、打線の破壊力はダウンする。吉田正、杉本の後を打つ5番が鍵になると思う」と分析し、「16年目で初めて優勝を味わったT-岡田に注目したい」と指名した。
山本の圧倒的な投球でここまで勝ち上がってきたオリックスだが、意外な“シリーズ男”が現れるかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)