「たかが頭痛」ではない!慢性頭痛はこんなにつらい

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 皆さんは、「慢性頭痛」という言葉をご存知ですか?

頭痛に悩まされている方は多いですよね。今回は前回に引き続き、「寝てもとれない疲れをとる 神マッサージ」(アスコム刊)から頭痛のしくみ、メカニズムをひもといていきます。

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慢性頭痛とは、「繰り返し起こる頭痛」のことで、風邪や二日酔いなどによる一過性の頭痛や、くも膜下出血や脳出血などの病気によって引き起こされる頭痛とは異なります。

慢性頭痛に悩まされている人はかなり多く、日本人の3〜4人に1人は「頭痛持ち」であると言われています。

なお、その慢性頭痛は、大きく「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3つに分けられます。

このうち、緊張型頭痛は、年齢や性別に関係なく発症し、頭のまわりを締めつけられるような、鈍い痛みに襲われます。

時々発作が起こる「反復性緊張型頭痛」と、3ヶ月以上にわたり、毎日のように発作が起こる「慢性緊張型頭痛」があり、肩や首のこり、眼精疲労、吐き気、めまい、ふらつき、全身のだるさなどを伴うこともあります。

一方、片頭痛は、20〜40代の女性に多いと言われています。

頭の片側もしくは両側に脈打つようなズキズキとした痛みが生じ、吐き気がしたり、光や音、臭いまでに敏感になったり、といった症状を伴うこともあります。

発作は週に1〜2回、月に1〜2回といった具合に間欠的に起こり、痛みは4時間から数日間続きます。また、緊張型頭痛と片頭痛を併せ持つ人もいます。

群発頭痛については、従来は20〜30代の男性が発症することが多いと言われていましたが、最近では幅広い世代の女性にもみられるようになっているそうです。

発作は、季節の変わり目などに1〜2ヶ月間、群発的に起こり、片方の目の奥をえぐられるような痛みに襲われます。

痛みは明け方に起こることが多く、1〜2時間続き、目が充血する、涙や鼻水が出る、などの症状を伴うこともあります。

緊張型頭痛や片頭痛に比べ、患者数ははるかに少ないのですが、痛みの度合いは心筋梗塞、尿管結石と共に、「三大激痛」と称されるほど激しく、仕事を長期にわたって休んだり、辞めたりするケースも多いようです。

頭や首などの筋肉の緊張が、緊張型頭痛の原因となっている

そんな数ある慢性頭痛のうち、中でも緊張型頭痛は、頭から背中にかけての筋肉が緊張することによって起こるといわれています。

猫背の人や、長時間デスクワークをしている人は、どうしても頭や首、肩、背中などの筋肉に余計な負担がかかります。
すると、筋肉が緊張し、筋肉中の血管が収縮して血行が悪くなり、乳酸などの老廃物が排出されにくくなって、筋肉中に溜まっていきます。

それが神経を刺激し、痛みを引き起こすと考えられているのです。

姿勢の悪さだけでなく、精神的なストレスもまた、緊張型頭痛を引き起こします。

ストレスを感じている状態が長時間続くと、交感神経の作用により、やはり筋肉が緊張し、血行が悪くなるのです。

さらに、ストレスが続くと、脳内の痛みを調整する機能が低下し、筋肉が緊張していなくても頭痛が起こるようになる、とも言われています。現在、テレワークが多くなっている現状からして頭痛に悩まされている方はもしかしたら、この緊張型頭痛が原因になっているかもしれません。

さまざまな原因が考えられる、片頭痛や群発頭痛

一方、片頭痛が起こる原因については、まだ完全に明らかになってはいません。

ただ、深刻な悩みが解決されたときや、責任の重い仕事をやり終えたときなど、大きなストレスから解放されたとたんに起こることが多いため、「ストレスによって長時間収縮していた血管が一気に広がり、その周囲に炎症が起きて、痛みが発生するのではないか」とも考えられています。

寝過ぎや寝不足、低血糖、疲労、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の変化、急激な気候や気圧の変化、特定の食品(アルコールやチーズ、亜硝酸ナトリウムなど)がきっかけとなって、片頭痛が起こることもあるようです。

なお、「頭痛が治らないから」と頭痛薬を飲みすぎるのは逆効果です。

頭痛薬には体を冷やす作用があります。

実は、「冷え」も片頭痛の原因の一つだと考えられており、頭痛薬を飲むことで、かえって痛みがひどくなるケースも多いのです。

群発頭痛の原因についても、まだ明らかにされていませんが、「目の後ろを通っている血管(内頸動脈)が広がり、その周辺に炎症が起きて、痛みが発生するのではないか」と考えられています。

また、喫煙や飲酒、気圧の変化、そしてストレスなどが、群発頭痛が起こるきっかけになっているのではないか、とも言われています。

頭のマッサージで、慢性頭痛や緊張型頭痛を遠ざける

慢性頭痛に関しては、まだ解明されていないことが多く、頭痛の種類によって、予防や治療の方法は異なりますが、緊張型頭痛の人の場合は、必ず頭の筋肉がこっており、それがさらにストレスとなって、頭痛を悪化させていると考えられます。

そこで、厄介な頭痛を遠ざけるために、

・できるだけ正しい姿勢を保ち、長時間同じ姿勢をとり続けないようにする
・過度な運動や入浴により、体を温め、ほぐす

といったことを心がけつつ、頭のマッサージで頭の筋肉や筋膜を緩めましょう。

ただし、頭のマッサージをしても、あるいは頭痛薬を飲んでも痛みがとれない場合は、できれば頭痛外来を受診してみてください。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【参考文献】

『寝てもとれない疲れをとる神マッサージ』(アスコム刊)

【著者】
寺林陽介(てらばやし・ようすけ)

六本木・寺林治療院院長。
1996年にあんまマッサージ指圧師、鍼師、灸師の国家資格を取得し、父の治療院で本格的に修業を開始。
24歳のときから一人で治療院を運営し、現在に至る。
2008年には南青山でも完全紹介制・完全予約制の治療院を開設し、2014年4月、東京都港区六本木に移転。
患者に心から満足してもらえる治療院を追求している。
どこに行っても楽にならなかったという患者ほど違いを実感する「疲れとりマッサージ」を行い、多くの著名人から評判を得ている。
著書『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』(アスコム刊)は30万部のベストセラーになり、テレビ、雑誌など多数のメディアで注目を集めた。

【監修】
内野勝行(うちの・かつゆき)

帝京大学医学部医学科卒業。
都内病院の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て 現在金町脳神経内科・耳鼻咽喉科院長、帝京大学医学部附属病院神経内科非常勤医。
日本内科学会認定医。厚生労働省認定認知症サポート医。日本体育協会公認スポーツドクター。 日本神経学会会員。
専門は脳神経内科だが、鍼灸や漢方といった東洋医学も取り入れ、 患者さんの体全体の調和がとれるようアドバイスを行っている。