不動産投資会社の選び方のポイントは? 情報収集に必要な2つのアプローチ
まずは不動産投資会社のサービス内容を確認
不動産投資は「不動産を購入」することから始まりますが、取引される不動産にはさまざまなタイプがあります。不動産会社によって、それぞれ扱う不動産には傾向があります。投資の大まかな方向性を定めると、不動産会社を選びやすくなります。
扱う投資用不動産の種類
会社がどのようなタイプの不動産投資を得意とするかを把握するために、どのような物件を扱っているのか、サービス内容を確認します。
住居用の不動産の場合は、次のようなタイプがあります。
物件の種類
区分マンション:マンション1室単位で購入 一棟マンション:マンション1棟を購入資 アパート投資:アパート1棟を購入 戸建て投資:戸建てを購入投資さらに、各不動産は以下のように特徴が分かれます。
築年数の違い 新築 中古 立地の違い 都市部の不動産 郊外部の不動産 決算手段の違い 現金で購入 ローンで購入立地は、日本ではなく、海外不動産への投資を得意とする会社もあります。また同じ日本でも、価格の安いエリアの不動産に投資するか、価格の高い都市部の不動産に投資するかなどの選択肢があります。
現金購入かローンを利用するかを含め、資産状況に応じても、購入可能な不動産が定まってきます。
不動産の価格帯
不動産は高額です。東京23区の新築ワンルームマンションは4,000万円前後、中古ワンルームマンションは2,000万円前後、1棟マンションは建物の規模に大きく左右されますが新築2億円以上・中古1億円以上、そして23区から離れるにつれて価格帯は下がっていく傾向があります。
投資用不動産は、日本では「不動産投資ローン」というローンを利用して購入することができます。年収や勤務先によって条件は異なりますが、年収500万円以上の上場企業勤務の人はローンが通りやすいといわれています。
ただ、例えば不動産投資をこれから始めようとする年収500万円の人が、「品川区にできる不動産価格4億円の新築マンション1棟」に興味を持ったとして、この人がローンを組めるかというと、不動産投資の実績もないのでほぼ不可能です。
また一棟マンションは、購入時にかかる費用も、運用中に発生する費用も高いので、不動産投資初心者の人にとっては、ハードルは高くなります。不動産投資初心者には、価格も抑えられる区分マンションが取り組みやすいといわれています。アパート1棟と比較しても、区分マンションの方が安くなります。
ご自身の資産状況や職業と年収によって、どのタイプの不動産投資が向いているのかは定まってきます。そして投資の方向性が定まれば、会社を絞りやすくなります。
立地と利回りの傾向
不動産投資の物件情報が掲載されたサイトを検索すると、不動産価格とともに利回りも確認できます。
利回りは、不動産価格とその不動産から得られる家賃の関係で決まります(インカムゲイン)が、利回りだけを見て不動産を選ぶのは得策ではありません。
同時に、物件があるエリアなど、確認する要素がほかにもあるからです。一般的に不動産の価格と家賃は比例はしないため、価格が安いエリアも家賃は極端に安くならず、価格の安いエリアの物件は利回りが高くなる傾向もあります。
そのため、「利回りが高い物件が良い」と飛びつくのではなく、そのエリアに賃貸ニーズがあるかどうかを確かめる必要があります。利回りが高いというのは、リスクの振れ幅が大きいことを意味します。
例えば、大きな会社の工場勤務者の需要が見込める郊外の土地にアパートを建設して、数年間は満室で運用できていたとします。しかし主なターゲット層と見込んでいた会社が移転してしまったとしたら、多様なニーズが見込めない土地の場合、急に空室率が上がり想定していた利回りを確保できなくなることも起きます。
2021年時点では、東京23区ならば利回り4%台前後が相場となっています。利回りの高い物件を扱う会社を選ぼうとすると、築年数がかなり経過した郊外の不動産が中心となるなど、不動産の立地が決まってきます。
不動産会社によって、扱う不動産物件のエリアの傾向があります。東京都の物件のみを扱う会社もあれば、地方都市に特化した会社もあります。地元に根付いた不動産会社が存在する地域もあります。
不動産投資会社が提供するサービス範囲
不動産投資は、物件を買って終わりではなく、物件を購入してから運用がスタートします。「途切れることなく入居者がいる状態」をいかに保つかが運用のポイントとなります。
入居者が長く快適に住めるよう建物を維持すること、退去後すばやく次の入居者を探すこと、家賃の入金がないとき入居者に催促することなど、実際の不動産事業における業務は多岐にわたります。
そこで、候補となる会社が不動産を販売する以外にどのようなサービスを提供しているかも、会社選びのポイントとなります。
サービスラインナップ
不動産投資は、購入から売却までの間、日々不動産業務が続きます。
不動産投資事業に関わる業務の一例
不動産の購入 入居者を見つける(入居づけ) 入居者とのやりとり 建物の維持管理 部屋のリフォーム 不動産の売却不動産業に詳しくなく、これから不動産投資を始める方にとっては、不動産経営に関するサービス全般を幅広く提供する会社に任せるのが、手間のかからない効率の良い方法となります。
会社選びの際、その会社が物件の購入・賃貸管理・建物の維持管理・売却までの範囲で、どの部分のサービスを提供しているかを確認しましょう。例えば、賃貸管理のサービスがあっても、部屋が古くなった際、物件の価値を高めるためにリフォームやリノベーションをしたいと思ったときに、対応していない会社だとすると、別途リフォームができる会社を探すことになります。
リスク回避策
どのような投資でも100%確実に儲かるという商品はなく、不動産投資においても収益の振れ幅であるリスクはあります。
不動産投資を長期で安定した運用に導くためのノウハウを蓄積し、長期の関係性を築こうとしている会社かどうかを判断するために、不動産投資におけるリスクに対してどのような対策を考えているかを確認することも重要です。
不動産投資会社が提供するサービスの価格
不動産投資は、物件購入時以外にも、運用を続けるうえでは費用が発生します。
運用中に費用が発生する一例
退去時のクリーニング費 入居づけの際の広告費 入居者管理業務の費用 設備の交換費用 リフォームやリノベーションの費用 空室時の対応を考慮したサービス 固定資産税 など長期間にわたって不動産事業を営むうえでは、不動産購入時の価格以外にどういう場面で費用がかかるのか、ランニングコストも確認ポイントとなります。
不動産投資会社によって費用が発生する場合とそうでない場合、また同じ内容に対しても会社によって価格が異なることもあります。
例えば、売主の物件を売却サポートする不動産会社から購入する場合は、仲介手数料がかかります。仲介手数料は、宅地建物取引業法という法律で手数料の上限が決められています。一方、不動産会社が直接の売主となる場合には、仲介手数料は発生しません。このときの不動産価格の値づけは、法律によるルールはありません。
「賃貸管理サービス」が提供される場合も、どんなプランと費用で、そして費用に含まれるサービス内容は何か、各社によってさまざまです。例えばエアコンなどの設備交換費用はオーナー負担なのかどうかなどが、細かく設定されています。入居者募集の際の広告料は地域によっても差がありますので、どの地域の不動産を所有するかによっても変わってきます。
不動産投資オーナーから家を一括借り上げして、すべて不動産投資会社に任せ、オーナーは家賃を受け取るだけというサービスを利用する場合、その手数料がいくらで設定されているか、解約条件なども確認することになります。
会社の実績
不動産投資会社の実績を調べることで、会社の将来の安定性や成長性などを判断することができます。不動産投資は物件を長期間保有し運用するため、会社が継続できるかは重要なポイントです。
また、「入居率」「管理戸数」などのデータを見比べることで、賃貸管理業務が強い会社だと判断することもできます。サービス内容に関する実績を見ることで、満足するサービスが受けられるかを判断する材料になります。販売数の多い会社だとわかると、金利など金融機関からの融資条件が他社より良い場合もあります。
会社の信頼性や口コミ・評判
その会社で不動産投資物件を購入した人たちが、その会社をどう評価しているか、第三者の視点から会社を比較することも、参考材料になります。
口コミ情報などを通して、どういう点が評価されているのか、また評価されていない点も把握できます。購入までのやりとりやサービス担当者の様子などもうかがうことも可能です。
情報収集は2つのアプローチで
インターネット上に知りたい情報があるかというと、必ずしもそうとは限りません。情報があったとしても古い情報だったり正確性を欠くこともあります。ある程度ネットで調べたうえで、気になる不動産会社に資料請求をしたり、ウェビナー(オンラインセミナー)に参加する、またはWEB面談などで直接話を聞いて疑問点を解消することをおすすめします。
ご自身の目的や条件に合う不動産投資会社を選択するため、直接担当者と話すことで会社の姿勢や方針を知ることもでき、長期運用をする会社を決めるうえでは安心材料になるのではないでしょうか。