中国恒大ショックで株価暴落の危機か!?

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●中国恒大の債務問題を懸念

 中国不動産開発大手・中国恒大集団が資金繰り難に陥り、経営悪化している問題を受けて20日、欧米共に株価は大幅に下落した。20日が休場だった日経平均株価も21日に660円下落し、3万円を割り込んだ。

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 好調と見られていた中国経済にも大きな影響を与えることが警戒されており、世界経済にも波及することが懸念される。テーパリングなどの出口戦略が語られ、世界が正常化に向かおうとしている中で浮上した中国恒大の問題。振り出しに戻ってしまうどころか未曽有の危機に発展するのだろうか?

●中国恒大集団

 恒大集団は、中国最大の不動産会社だ。「広州の皇帝」と言われる許家印前董事長が1996年にわずか数人から会社を興して発展させ、20年間中国経済をけん引してきた。

 北京五輪が開催された2008年に年商118億元(約2000億円)に達し、翌2009年11月に香港証券取引所に上場した。その後も事業拡大を続け、不動産以外にも、電気自動車、ネットメディア、プロサッカーチームの経営など多岐にわたる。

 2020年の売上高は、日本最大の不動産会社である三井不動産の約6倍となる7732億元(約12兆3000億円)。純利益は314億元(約5300億円)、総資産2兆3000億元(約39兆円)という、世界的な大企業である。

●何が原因?今後考えられるリスク

 許氏は、「最も暗い時期から早く抜け出すと固く信じている」と従業員に伝えたそうだが、見通しは決して明るくない。

 恒大集団は積極的な投資で成長してきた企業であるが、5700億元(約9兆円)を超える有利子負債をかかえる。中国での不動産投資は衰えておらず、むしろ不動産に流れる投資マネーは増加している。不動産バブルの崩壊と結び付けがちだが、幅広い事業での経営拡大のツケという指摘も多い。

 中国政府は、恒大の支援について明言していない。だが仮にデフォルトしたとしても、多くの投資家は、金融システム全体まで影響を及ぼす可能性は低いと見ている。

 ただ、日本でも年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、恒大関連の株や債券に96億円(2021年3月時点)の投資をしているなど、決して中国だけのローカルイシューで終わるとも言いきれない。また恒大の問題が、他の中国の不動産会社や下流の建設会社などにまで波及すれば、話は変わってくる。

 恒大のデフォルトよりもその先の影響を見極めなければならない。