新生活が始まる時季。職場や子どもの学校など、新しい出会いが増える頃です。
人間関係を始めやすい一方、「大人になってからの方が友達づくりが難しい」と感じる人も。


大人になってからの友達づくり

大人になってからの友達のつくり方が知りたい



「大人になってからの友達のつくり方がわからない」という読者の悩みに、漫画家、エッセイストの瀧波ユカリさんに答えてもらいました。

【お悩み】大人になってからの友達のつくり方がわからない



私は子どものいない専業主婦で、夫が人間関係のすべてのような生活をしています。どんなことでも話せる友達がほしくて、パートを始めたり趣味をもったりしようと思うのですが、なかなか最初の一歩を踏み出す勇気が出ません。自分の実家との折り合いも悪く、夫とケンカなどをして関係が悪くなると、孤独感を感じてとてもつらくなります。なんとか自分の世界を広げたいので、こんな私でもできることや、心のもち方を教えてください。(Uさん・36歳、夫42歳)

●「何でも話せる友達」は幻想



何でも話せる友達って、昔はいましたか? 学生時代のことをよく思い返してください。言いたいことを言えなかったり、親しい間柄でも話せないことがあったりすることが日常ではありませんでしたか。いずれにしても「何でも話せる友達」は幻想だと思った方がいいでしょう。

パートや趣味については、思いきって始めてみるのもいいと思います。しかし既存のコミュニティはすでに輪ができ上がっていたり、新参者として気をつかう側になったり、「これ以上は入ってこないでね」と線引きをされたりと、難しい展開になることもあるでしょう。

では、そういった人間関係の苦労もやむを得ないのかというと、そんなことはありません。ほとんど苦労なく友達をつくる方法もあります。非常に逆説的ですが、友達がいなくても人生を楽しめる人になればいいのです。

●友達がいなくても人生を楽しめる人に




今のあなたに、ひとりで楽しめるくらい好きなものはありますか? 漫画、ドラマ、ラジオ、映画、本、ファッション、旅行、楽器、アイドル…何でもいいです。そういったなにかを「好き」と思う気持ちがあって、それを発信していくこと。それがそのまま「友活」(友達をつくる活動)になります。

どうしてそんなことが、友達づくりにつながるのか? それは、「好き」の発信をしている人は、だれの目から見ても楽しそうだからです。楽しそうな人のところには、自然と人が集まってきますよね。だれだって、楽しそうに生きている人と仲よくしたいのですから!

というわけで、あなたもぜひ自分の「好き」を見つけて、楽しみ、SNSなどで積極的に発信しましょう。好きなものがないなら、好きなものをつくりましょう。そのために大切なのは、覚悟を決めてしっかりお金を使うこと! 少しでも気になるものを買い、興味がある場所に行き、気分が上がるものを身に着けるのです。自由にできるお金がないなら、そのためにパートを始めましょう。「これは好きだし、買えるけど、お金がもったいないからやめておこう」と過度な節約をするのはやめた方がいいです。せっかく芽生えた大事な「好き」が、しぼみやすくなってしまいます。

同じ「好き」をもっている人と仲よくなるのは簡単ですし、万が一その人とうまくいかなくても、発信を続けていればまた次の人が現れます。「何でも話せる」とまではいかなくとも、話題に困ることはないでしょう。
「好き」を楽しむ日々のなかで、すばらしい出会いが見つかりますように。応援しています!

<取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人
【瀧波ユカリさん】



1980年、北海道生まれ。漫画家、エッセイスト。アニメ化もされた『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社刊)でデビュー。著書に『30と40のあいだ
』(幻冬舎刊)『ありがとうって言えたなら
』(文藝春秋刊)など。