更年期をラクにする日々のプチ習慣。寝室の見直しに基礎体温計測も
女性の人生のなかでも、体や心に大きな変化をもたらす「更年期」。女性ホルモンの影響から心身にさまざまな不調が現れやすい時期です。
「更年期は女性にとって忙しい時期。だからこそ、生活習慣の見直しをしたいタイミングでもあります」と話すのは、メノポーズカウンセラーの資格をもち、更年期にまつわる記事や書籍制作にも携わる編集・ライターの満留礼子さん。
更年期に気軽にできる生活習慣の見直し方や、基礎体温の測り方、自身の更年期体験とおして実感したことについて教えてもらいました。
更年期の不調、どう乗り切る?
閉経の前後10年(おおむね45〜55歳)を指す更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少によって、自律神経のバランスが乱れやすくなります。そうすると、心身にさまざまな不調があらわれやすくなります。
加えて、生活習慣にかたよりがあると、自律神経の乱れに拍車がかかりやすくなります。これまでの生活を振り返って、今までちょっと無理をしてきたかも…という人は、いきなり変えることは難しいので、食事、運動、睡眠を軸に、少しずつ生活習慣を見直すのがおすすめです。また、規則正しい生活習慣は継続することが大切。ストレスがたまらないように、ときには自分にご褒美をあげたり、リフレッシュをしたりしながら楽しく取りみましょう。
栄養バランスがかたよると、体調もかたむきやすくなります。五大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)をまんべんなくとり、1日3回、量は腹八分目を心がけましょう。食事を抜くと空腹になり、次の食事で食べすぎてしまうことも…。食事の時間を毎日同じ時間帯にすることで、生活リズムも整います。
<なにをどれだけ食べたらいいの?>
1日に「なにを」「どれだけ」食べたらいいのか、その目安を知りたいときは、厚生労働省・農林水産省のホームページで紹介されている「食事バランスガイド
」が役立ちます。
また、エストロゲンには骨量を保つ働きがあるので、更年期を迎えてエストロゲンの分泌量が減少すると、骨量が減少し骨が折れやすくなる「骨粗しょう症」にかかりやすくなります。乳製品、小魚、大豆製品などをおいしく食べて、カルシウムを意識してとりましょう。
更年期は、加齢の影響で関節がかたくなりやすく、筋肉量も少なくなって基礎代謝も低下しがち。柔軟性、持久力、筋力を保つことを心がけましょう。
まずは、ストレッチを日課にして体のやわらかさをキープすることから始めるのがおすすめ。そして、ウォーキングやダンスなど、少し息がはずむ程度の運動を、週に2〜3回、15分程度を目安に行ってみましょう。加齢の影響で下半身の筋力が衰えがちなので、スクワットなど、自分の体重を負荷にする筋トレ(1セット10回程度が目安)も効果的です。
<忙しくて運動する時間がとれないときは>
適度な運動習慣は、肥満を予防し、骨を丈夫にし、ストレスの発散にもなり、更年期の不調もやわらげてくれます。忙しくて運動する時間がとれない…という人は、生活のなかで意識して体を動かしてみましょう。家事などをするときに、足踏みをしたり、いつもより大きく体を動かすのもおすすめです。
更年期は睡眠の質が落ちたり、睡眠不足なったりすることがあります。エストロゲンの減少による不調で、寝汗をたくさんかいたり、体が冷えたりして目が覚めたり、不安が高まって寝つけなったりすることがあります。
睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなりますので、自分が心地よく眠れる環境を積極的に整えていくことも大切です。部屋の温度や明るさ、香りなどを調節し、寝具や寝間着なども好きな肌触りのものを選んでみましょう。
<寝つきをよくするには>
日中に運動をしたり、眠る前に軽いストレッチをしたりすると入眠しやすくなります。また、眠る1時間ほど前に入浴すると、温かいお湯につかってリラックスできることに加え、入浴で一度上がった体温が下がるときに、自然に眠気を感じやすくなります。
不調の背景に大きな病気が隠れていないか、また、今感じている不調が更年期によるものだと見極めるためにも、婦人科検診や健康診断など、定期的に検査を受けることが大切です。
その上で、実践したいのが基礎体温の測定です。
「性成熟期」の20〜30代は、排卵を境に基礎体温が「低温相」と「高温相」にきれいに分かれ、月経も28日(25〜38)周期でおとずれます。「更年期」の40代半ばを迎えると、「低温相」と「高温相」が短くなり、月経周期も短くなって、きれいな二相に分かれなくなっていきます。そして、50歳頃に閉経を迎えると、「低温相」だけになっていきます。
月経不順は、閉経が近づいていることのひとつの目安になりますから、月経周期や基礎体温によってエストロゲンの変化を把握しておくことは、更年期を迎えるための心の準備にもつながります。
基礎体温は、朝目を覚ました時に、体を動かさずに、ベッドに横になったまま、口の中で測ります。体温計は、基礎体温を記録する機能がついている婦人体温計が便利です。
婦人科検診の際も、1か月ほどの基礎体温表を持参すると、自分の体の状態を医師に伝えるときに役立ちます。
更年期を迎えて、生活のなかでいちばん変化したのは睡眠時間です。更年期を迎える前は、子育てと仕事に向き合うなかで、睡眠時間は少なめだったと思います。
体力があるうちは、そうした生活のペースでも大丈夫でしたが、更年期の不調があらわれてからは、そうわけにもいかなくなり…。睡眠の質も、ある日は、夜中に暑くなって汗びっしょりで目覚め、また別の日には寒くて何枚重ね着をしても寝つけなくなるなど、ぐっすり眠れない日が増えていきました。
そこで、それまであと回しにしがちだった「自分の睡眠時間」を、更年期は積極的にとるように心がけ、寝室に好きなラベンダーの香りを広げたり、枕カバーを肌触りのよいものに変えたり、室温をその日の自分の体調に合う温度に合わせるなど、自分に合うぐっすり眠れる工夫を実践するようにしました。
また、疲労感や倦怠感が強い日は、子どもたちが大きくなったこともあり、家族には更年期であることを伝えて協力してもらい、夕飯を食べたら早々にお風呂もすませて、自分ひとり早く眠ることにさせてもらいました。
とはいえ、私の場合は、寝つきはいいのですが、早く寝たものの途中で目が覚めてしまうこともしばしば。夜中に目が覚めて眠れなくなった日は、「今日はもう眠れないな」と割り切って、好きな落語の話を聞いてひと笑いし、気分だけでもリフレッシュするように心がけました。
個人的には、眠れない日が続くと、心身ともに疲労感が増すのですが、家族の理解と協力を得てからは、体力的にずいぶんとラクになりました。更年期は、更年期以降の暮らし方を考えるうえでもよいタイミングです。私の場合は、睡眠の変化で悩んだことが、自分がライフサイクルのなかで更年期を迎えていることを実感させてくれましたし、これからの生活のペースをどうしていきたいかを深く考えるきっかけにもなったと思います。
●教えてくれた人
ライター、編集者。暮らしをテーマにした書籍、雑誌記事、広告の制作に携わる傍ら、メノポーズ(更年期)に関して適切な情報を持ち、更年期のヘルスケアについて医療・患者の間に立って考えるメノポーズカウンセラー(「NPO法人更年期と加齢のヘルスケア」認定)の資格を取得。更年期に関する記事、書籍制作にも多く関わる。
「更年期は女性にとって忙しい時期。だからこそ、生活習慣の見直しをしたいタイミングでもあります」と話すのは、メノポーズカウンセラーの資格をもち、更年期にまつわる記事や書籍制作にも携わる編集・ライターの満留礼子さん。
更年期に気軽にできる生活習慣の見直し方や、基礎体温の測り方、自身の更年期体験とおして実感したことについて教えてもらいました。
更年期の不調、どう乗り切る?
とにかく無理をしない!生活習慣を見直し更年期を穏やかに乗りきって
閉経の前後10年(おおむね45〜55歳)を指す更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少によって、自律神経のバランスが乱れやすくなります。そうすると、心身にさまざまな不調があらわれやすくなります。
加えて、生活習慣にかたよりがあると、自律神経の乱れに拍車がかかりやすくなります。これまでの生活を振り返って、今までちょっと無理をしてきたかも…という人は、いきなり変えることは難しいので、食事、運動、睡眠を軸に、少しずつ生活習慣を見直すのがおすすめです。また、規則正しい生活習慣は継続することが大切。ストレスがたまらないように、ときには自分にご褒美をあげたり、リフレッシュをしたりしながら楽しく取りみましょう。
●食事はなるべく時間帯を統一して
栄養バランスがかたよると、体調もかたむきやすくなります。五大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)をまんべんなくとり、1日3回、量は腹八分目を心がけましょう。食事を抜くと空腹になり、次の食事で食べすぎてしまうことも…。食事の時間を毎日同じ時間帯にすることで、生活リズムも整います。
<なにをどれだけ食べたらいいの?>
1日に「なにを」「どれだけ」食べたらいいのか、その目安を知りたいときは、厚生労働省・農林水産省のホームページで紹介されている「食事バランスガイド
」が役立ちます。
また、エストロゲンには骨量を保つ働きがあるので、更年期を迎えてエストロゲンの分泌量が減少すると、骨量が減少し骨が折れやすくなる「骨粗しょう症」にかかりやすくなります。乳製品、小魚、大豆製品などをおいしく食べて、カルシウムを意識してとりましょう。
●運動は体が気持ちいいと思うものを。家事をしながらもOK
更年期は、加齢の影響で関節がかたくなりやすく、筋肉量も少なくなって基礎代謝も低下しがち。柔軟性、持久力、筋力を保つことを心がけましょう。
まずは、ストレッチを日課にして体のやわらかさをキープすることから始めるのがおすすめ。そして、ウォーキングやダンスなど、少し息がはずむ程度の運動を、週に2〜3回、15分程度を目安に行ってみましょう。加齢の影響で下半身の筋力が衰えがちなので、スクワットなど、自分の体重を負荷にする筋トレ(1セット10回程度が目安)も効果的です。
<忙しくて運動する時間がとれないときは>
適度な運動習慣は、肥満を予防し、骨を丈夫にし、ストレスの発散にもなり、更年期の不調もやわらげてくれます。忙しくて運動する時間がとれない…という人は、生活のなかで意識して体を動かしてみましょう。家事などをするときに、足踏みをしたり、いつもより大きく体を動かすのもおすすめです。
●快適な睡眠を得るために、環境を整えてみて
更年期は睡眠の質が落ちたり、睡眠不足なったりすることがあります。エストロゲンの減少による不調で、寝汗をたくさんかいたり、体が冷えたりして目が覚めたり、不安が高まって寝つけなったりすることがあります。
睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなりますので、自分が心地よく眠れる環境を積極的に整えていくことも大切です。部屋の温度や明るさ、香りなどを調節し、寝具や寝間着なども好きな肌触りのものを選んでみましょう。
<寝つきをよくするには>
日中に運動をしたり、眠る前に軽いストレッチをしたりすると入眠しやすくなります。また、眠る1時間ほど前に入浴すると、温かいお湯につかってリラックスできることに加え、入浴で一度上がった体温が下がるときに、自然に眠気を感じやすくなります。
更年期にも基礎体温を測る習慣を
不調の背景に大きな病気が隠れていないか、また、今感じている不調が更年期によるものだと見極めるためにも、婦人科検診や健康診断など、定期的に検査を受けることが大切です。
その上で、実践したいのが基礎体温の測定です。
●基礎体温を測ると、エストロゲンの変化がわかります
「性成熟期」の20〜30代は、排卵を境に基礎体温が「低温相」と「高温相」にきれいに分かれ、月経も28日(25〜38)周期でおとずれます。「更年期」の40代半ばを迎えると、「低温相」と「高温相」が短くなり、月経周期も短くなって、きれいな二相に分かれなくなっていきます。そして、50歳頃に閉経を迎えると、「低温相」だけになっていきます。
月経不順は、閉経が近づいていることのひとつの目安になりますから、月経周期や基礎体温によってエストロゲンの変化を把握しておくことは、更年期を迎えるための心の準備にもつながります。
●基礎体温の測り方
基礎体温は、朝目を覚ました時に、体を動かさずに、ベッドに横になったまま、口の中で測ります。体温計は、基礎体温を記録する機能がついている婦人体温計が便利です。
婦人科検診の際も、1か月ほどの基礎体温表を持参すると、自分の体の状態を医師に伝えるときに役立ちます。
実際に更年期の症状を経験して睡眠の大切さを実感
更年期を迎えて、生活のなかでいちばん変化したのは睡眠時間です。更年期を迎える前は、子育てと仕事に向き合うなかで、睡眠時間は少なめだったと思います。
体力があるうちは、そうした生活のペースでも大丈夫でしたが、更年期の不調があらわれてからは、そうわけにもいかなくなり…。睡眠の質も、ある日は、夜中に暑くなって汗びっしょりで目覚め、また別の日には寒くて何枚重ね着をしても寝つけなくなるなど、ぐっすり眠れない日が増えていきました。
●寝室の環境を見直し、家族にも協力してもらうことで体調もラクに
そこで、それまであと回しにしがちだった「自分の睡眠時間」を、更年期は積極的にとるように心がけ、寝室に好きなラベンダーの香りを広げたり、枕カバーを肌触りのよいものに変えたり、室温をその日の自分の体調に合う温度に合わせるなど、自分に合うぐっすり眠れる工夫を実践するようにしました。
また、疲労感や倦怠感が強い日は、子どもたちが大きくなったこともあり、家族には更年期であることを伝えて協力してもらい、夕飯を食べたら早々にお風呂もすませて、自分ひとり早く眠ることにさせてもらいました。
とはいえ、私の場合は、寝つきはいいのですが、早く寝たものの途中で目が覚めてしまうこともしばしば。夜中に目が覚めて眠れなくなった日は、「今日はもう眠れないな」と割り切って、好きな落語の話を聞いてひと笑いし、気分だけでもリフレッシュするように心がけました。
個人的には、眠れない日が続くと、心身ともに疲労感が増すのですが、家族の理解と協力を得てからは、体力的にずいぶんとラクになりました。更年期は、更年期以降の暮らし方を考えるうえでもよいタイミングです。私の場合は、睡眠の変化で悩んだことが、自分がライフサイクルのなかで更年期を迎えていることを実感させてくれましたし、これからの生活のペースをどうしていきたいかを深く考えるきっかけにもなったと思います。
●教えてくれた人
【満留礼子(みつどめ・れいこ)さん】
ライター、編集者。暮らしをテーマにした書籍、雑誌記事、広告の制作に携わる傍ら、メノポーズ(更年期)に関して適切な情報を持ち、更年期のヘルスケアについて医療・患者の間に立って考えるメノポーズカウンセラー(「NPO法人更年期と加齢のヘルスケア」認定)の資格を取得。更年期に関する記事、書籍制作にも多く関わる。