前田敦子さんのポジティブな暮らし方。子育て、100円ショップ、そしてSNSのこと
AKB48を卒業後、女優としてのキャリアを着々と積み重ねている前田敦子さん。2019年には男の子を出産し、今は働くママでもあります。2歳になった息子さんとの日々は、かけがえのないものだそう。
前田敦子さんインタビュー
――「芸能活動をしながら子育て」と聞くと、どんな生活になるのか想像がしづらい部分もあります。前田さんの場合は、どうされているのでしょう。
「休みの日でも朝6時半〜7時半に起きています。息子が目覚める前に、ささっとやってしまいたいことをする“ひとり時間”をキープするには、早起きがいちばんです。
仕事の日は、あき時間に余裕があれば一度帰ります。ですが日によっては子どものなかでは“いってきます”が2回になっちゃうんですよね。『ママとはまたお別れなの?』と嫌がられてしまうこともあるので、タイミングは考えるようにしています。
寝かしつけたあとも、少しですが自分の時間をキープ。だいたい台本は夜のひとり時間に覚えて、朝のひとり時間で復習することが多いです」
――独身の頃から料理好きでも知られていた前田さん。今、食卓にはどんなメニューが上るのでしょうか?
「そうですね。冬の間は寒かったから、ずーっと味違いの鍋をつくっていました。息子は好き嫌いがあまりないタイプ。幸いなことに食物アレルギーもなくて。最近多いのが、息子の好きな野菜に魚を入れた海鮮系のお鍋ですね。私の好みの具材と息子の食べられるものを入れて一緒に煮込んで、子どもの分だけ取り出して、食べさせちゃいます。別々につくるとか、手の込んだことはしないです(笑)。鍋の具材にうどんを入れてあげると、とっても喜びますし。魚は、夕方以降にスーパーへ行き、お得に買えるものを選ぶのが喜びです(笑)」
――育児や家事を追求すると、つい自分自身に完璧を求めてしまいがちですが、前田さんの場合は、どうバランスをとっているのでしょう。
「そうですよね。どちらもキリがないですから、気持ちはわかります。私には姉がいて、その姉がかなりカジュアルに子育てをする姿を見ているので、彼女がママ友でもあり、よきお手本になっているかも。
食に関していえば、“食べるのが好きになってくれればいい”というのが、最近のテーマです。離乳食の頃は無農薬野菜にこだわったり、アレルギーのリスク回避に牛乳ではなく豆乳をあげたりしていましたが、今はもう、ほとんどのものを食べられる年齢になっているので、楽しく食事をするのがいちばんかな、と。
気にされる方もいるのかもしれないですが、お菓子も、ファストフードのポテトも、息子が興味を示したら、そのときに食べさせています。最初の頃は『今の時間にお菓子はダメ!』とか怒っていたんですけど。制限を加えると、食欲自体が落ちると気がついて。私自身も子どもの頃、お気に入りのジュースを飲みすぎて顔がぽっちゃりしたりしながらも(笑)、好きなものを食べさせてもらえたおかげで、食べることや料理が大好きな大人になりましたから。息子とも、一緒に思いきりお菓子を食べたりもして。今は食の楽しさ・豊かさに触れさせるようにしています」
――さらに育児を始めてから新しい世界にも目が向くようになったという前田さん。「100円ショップが大好きになりました!」と語ります。
「子どもが風呂で使うバスボールとか、よく買いに行きます。100均、安くてかわいいものがたくさんあって、いいですよね〜。おもに息子のものを中心に買っていますが、オモチャ入れにちょうどいいグッズもたくさんあるので助かっています」
――子どもが家にいると「散らかる」「片づかない」という問題がどうしても出てきます。
「私も、片づけた空間に息子がオモチャを広げる、片づける、またオモチャが広がっている、の繰り返しです(笑)。塗り絵が好きな子だから、家具とテレビにはクレヨンの跡も…。こればかりはもう、仕方ないなと思っています。でも最近、『あれ、なんか汚れちゃったよ。ふいてきて〜』っていうと、ふいてくれるようになったんですよ。
幸いなことに、まだ壁に絵を描かれるのは体験していませんが、周りにいる子育ての先輩にアドバイスをいただきました。壁に大きな紙をはって、キャンバスに見立てて描かせてあげればいい、って。そうやって、仕事の現場で育児のヒントをいただきながら、私も息子もストレスにならない暮らし方を楽しんでいます。お母さんがギスギスしていると、その感情は子どもに伝わってしまう。母親の私たちが笑っていなくて、どうやって子どもが笑えるの? と思うので、なるべく笑顔で過ごすようにしていますね」
――ESSEonlineでは、子育て中の親の、インターネットやSNSとのつき合い方がたびたび話題に上がります。便利な一方で、これまでにはなかった感情の摩擦を引き起こす要因にもなり得るツールです。前田さんの場合はどう向き合っているのでしょうか。
「難しいですよね。私の場合、心ない書き込みなどは一切スルーしています。余計な情報を知り得る可能性もあるので、人のSNSも基本的に見ないですね。こういうお仕事ですから、自分のことが書かれていることもありますが、それ自体もまったく知らないことの方が多いです。たまにお友だちが心配して『大丈夫?』と連絡をくれて、そこで初めて『へ〜、私、そうなんだね』って、客観的な自分がいます。でも、嘘や憶測を好き勝手に書かれるのは嫌ですね。
SNSやネットの炎上騒動について思うのは、みんな、他人よりも、もっと自分に目を向けたほうがいいんじゃないかなって。だれがどうした、ああした、ということに時間を割くよりも、自分の毎日が充実できる方向に努力した方が、ずっと豊かな人生になると思うんです。
どんな環境にいる人にも踏み出せる一歩ってあるでしょうし。もしも予想していたのとは別の答えが出たとしても、幸せに向かってがんばった経験は、糧になると思いますしね。私も後悔するのが嫌なので、いつでも自分の人生に一生懸命集中しています」
<撮影/サトウノブタカ 取材・文/石井絵里>
1991年生まれ、千葉県出身。AKB48の1期生として活動。現在は舞台や映画を中心に女優として活動する。今年は映画『劇場版 奥様は、取り扱い注意』(3月19日公開予定)、『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』(4月9日公開予定)、『くれなずめ』(4月29日公開予定)の出演、舞台NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』(5月24日〜7月11日、7月15日〜25日)などが控えている。
前田敦子さんインタビュー
前田敦子さんインタビュー。「後悔するのが嫌なので、いつでも自分の人生に一生懸命集中しています」
――「芸能活動をしながら子育て」と聞くと、どんな生活になるのか想像がしづらい部分もあります。前田さんの場合は、どうされているのでしょう。
仕事の日は、あき時間に余裕があれば一度帰ります。ですが日によっては子どものなかでは“いってきます”が2回になっちゃうんですよね。『ママとはまたお別れなの?』と嫌がられてしまうこともあるので、タイミングは考えるようにしています。
寝かしつけたあとも、少しですが自分の時間をキープ。だいたい台本は夜のひとり時間に覚えて、朝のひとり時間で復習することが多いです」
●スーパーや100円ショップでお得に買い物するのが楽しみ
――独身の頃から料理好きでも知られていた前田さん。今、食卓にはどんなメニューが上るのでしょうか?
「そうですね。冬の間は寒かったから、ずーっと味違いの鍋をつくっていました。息子は好き嫌いがあまりないタイプ。幸いなことに食物アレルギーもなくて。最近多いのが、息子の好きな野菜に魚を入れた海鮮系のお鍋ですね。私の好みの具材と息子の食べられるものを入れて一緒に煮込んで、子どもの分だけ取り出して、食べさせちゃいます。別々につくるとか、手の込んだことはしないです(笑)。鍋の具材にうどんを入れてあげると、とっても喜びますし。魚は、夕方以降にスーパーへ行き、お得に買えるものを選ぶのが喜びです(笑)」
――育児や家事を追求すると、つい自分自身に完璧を求めてしまいがちですが、前田さんの場合は、どうバランスをとっているのでしょう。
「そうですよね。どちらもキリがないですから、気持ちはわかります。私には姉がいて、その姉がかなりカジュアルに子育てをする姿を見ているので、彼女がママ友でもあり、よきお手本になっているかも。
食に関していえば、“食べるのが好きになってくれればいい”というのが、最近のテーマです。離乳食の頃は無農薬野菜にこだわったり、アレルギーのリスク回避に牛乳ではなく豆乳をあげたりしていましたが、今はもう、ほとんどのものを食べられる年齢になっているので、楽しく食事をするのがいちばんかな、と。
気にされる方もいるのかもしれないですが、お菓子も、ファストフードのポテトも、息子が興味を示したら、そのときに食べさせています。最初の頃は『今の時間にお菓子はダメ!』とか怒っていたんですけど。制限を加えると、食欲自体が落ちると気がついて。私自身も子どもの頃、お気に入りのジュースを飲みすぎて顔がぽっちゃりしたりしながらも(笑)、好きなものを食べさせてもらえたおかげで、食べることや料理が大好きな大人になりましたから。息子とも、一緒に思いきりお菓子を食べたりもして。今は食の楽しさ・豊かさに触れさせるようにしています」
――さらに育児を始めてから新しい世界にも目が向くようになったという前田さん。「100円ショップが大好きになりました!」と語ります。
「子どもが風呂で使うバスボールとか、よく買いに行きます。100均、安くてかわいいものがたくさんあって、いいですよね〜。おもに息子のものを中心に買っていますが、オモチャ入れにちょうどいいグッズもたくさんあるので助かっています」
――子どもが家にいると「散らかる」「片づかない」という問題がどうしても出てきます。
「私も、片づけた空間に息子がオモチャを広げる、片づける、またオモチャが広がっている、の繰り返しです(笑)。塗り絵が好きな子だから、家具とテレビにはクレヨンの跡も…。こればかりはもう、仕方ないなと思っています。でも最近、『あれ、なんか汚れちゃったよ。ふいてきて〜』っていうと、ふいてくれるようになったんですよ。
幸いなことに、まだ壁に絵を描かれるのは体験していませんが、周りにいる子育ての先輩にアドバイスをいただきました。壁に大きな紙をはって、キャンバスに見立てて描かせてあげればいい、って。そうやって、仕事の現場で育児のヒントをいただきながら、私も息子もストレスにならない暮らし方を楽しんでいます。お母さんがギスギスしていると、その感情は子どもに伝わってしまう。母親の私たちが笑っていなくて、どうやって子どもが笑えるの? と思うので、なるべく笑顔で過ごすようにしていますね」
●インターネット、SNSとの向き合い方
――ESSEonlineでは、子育て中の親の、インターネットやSNSとのつき合い方がたびたび話題に上がります。便利な一方で、これまでにはなかった感情の摩擦を引き起こす要因にもなり得るツールです。前田さんの場合はどう向き合っているのでしょうか。
「難しいですよね。私の場合、心ない書き込みなどは一切スルーしています。余計な情報を知り得る可能性もあるので、人のSNSも基本的に見ないですね。こういうお仕事ですから、自分のことが書かれていることもありますが、それ自体もまったく知らないことの方が多いです。たまにお友だちが心配して『大丈夫?』と連絡をくれて、そこで初めて『へ〜、私、そうなんだね』って、客観的な自分がいます。でも、嘘や憶測を好き勝手に書かれるのは嫌ですね。
SNSやネットの炎上騒動について思うのは、みんな、他人よりも、もっと自分に目を向けたほうがいいんじゃないかなって。だれがどうした、ああした、ということに時間を割くよりも、自分の毎日が充実できる方向に努力した方が、ずっと豊かな人生になると思うんです。
どんな環境にいる人にも踏み出せる一歩ってあるでしょうし。もしも予想していたのとは別の答えが出たとしても、幸せに向かってがんばった経験は、糧になると思いますしね。私も後悔するのが嫌なので、いつでも自分の人生に一生懸命集中しています」
<撮影/サトウノブタカ 取材・文/石井絵里>
【前田敦子さん】
1991年生まれ、千葉県出身。AKB48の1期生として活動。現在は舞台や映画を中心に女優として活動する。今年は映画『劇場版 奥様は、取り扱い注意』(3月19日公開予定)、『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』(4月9日公開予定)、『くれなずめ』(4月29日公開予定)の出演、舞台NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』(5月24日〜7月11日、7月15日〜25日)などが控えている。