『デイリー新潮』が報じた、元関脇の嘉風(38、現・中村親方)の3歳年上妻がおこなっていた、長女虐待問題。同サイトでは証拠音声が公開され、娘の目にかゆみ止め薬のボトルをねじ込むなど、凄惨な状況が伺い知れた。さらに『女性セブン』が、2020年7月に夫婦げんかが高じて警察沙汰になり、嘉風の体にだけ複数の引っ掻き傷ができていたと続報した。現在、嘉風夫妻は、離婚調停中だという。

 一般にDV報道は、「被害者が女性、加害者は男性」というケースが多い。今回のように、妻が夫と娘に対して暴力を振るうケースは、どれぐらいあるものか。DV問題に詳しい、あおば法律事務所の橋本智子弁護士が、実情を語る。

「男性被害者からのDVの相談は、私の感覚として、10件に1件ぐらいでしょうか。女性に比べ、男性が被害を受けるケースはあまり一般的ではないので、当事者も『DVを受けている』と認識できていない可能性が考えられます。我々専門家に相談に来るとなると、さらに数は減るものと思われます」

 一般的に腕力で劣る女性から、男性が受けるDVとは、どのようなものなのか。

「女性から男性へのケースでは、DVは “肉体的暴力” とは限りません。言葉の暴力や束縛などの “精神的暴力”、また経済的支配など、様々なケースがあります」(橋本弁護士・以下同)

 加害者となる女性には、いくつか共通点があるという。

「思考・行動のパターンをあげると、(1)相手を支配しようとする、(2)自分の間違い・誤りは認めない、といったタイプが多いですね。あとは、(3)気位が高いといいますか、周囲の評価や実情よりも自己評価が高い傾向の方が、加害者になりやすいと感じます」

 一方で被害者男性にも、似通ったパターンがみられるという。

「女性加害者にDVの対象として選ばれやすい男性の性格として、(A)性格が優しくて穏やかで常に他者を気遣い、(B)責任感が強く、(C)罪悪感を感じやすい、などがあげられます。そうした方は、たとえば相手に怒られたときに、まず『自分に問題がなかったか』と考えてしまう傾向にあります。もちろん女性加害者・男性被害者の特徴ともに、一概には言えませんが」

 嘉風夫妻のケースを見て、橋本弁護士には思うところがある。

「私が実際に担当した事例でも、妻によるDVがあったケースでは、男性側が親権を得やすいですね。ただ、加害者であるはずの妻に対して、『これ以上は追い詰められない』と、養育費を免除してしまったりすることも多いんです。

 そうした状況を目の当たりにすると、担当弁護士としては、『この人はパートナーさえ間違えなければ、もっと幸せな家庭を築けていたでしょうに』と思ってしまいますね」