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 100円ショップの代表格・ダイソーに行くと、“痒いところに手が届く”便利でユニークな日用雑貨に出くわします。先日も、面白いスプーンやフォークを見つけました。

 パッケージには「職人の町、燕の匠の技」とのコピーが。商品名は、「カレーを美味しく食べるスプーン」、「パスタを美味しく食べるフォーク」、「スープを美味しく食べるスプーン」というもの。

ダイソーで見つけた匠の技シリーズの「パスタを美味しく食べるフォーク」100円

 ちなみに “燕”とは、カトラリーの国内生産90%を誇る金属加工が盛んな職人の町・新潟県燕市のこと。

 つまり、この商品は、日本を代表するカトラリーの町で、匠の職人によって作られたアイテムであり、なおかつ“料理が美味しく食べられるぞ!”と断言しているわけです。なんという自信。100円なのにすごくないですか? 話半分だとしても、なかなか面白そうです。

「料理が美味しく食べられるとは一体どういうこと? どれどれ…」とパッケージを読むと、このフォークやスプーンの形状に、職人が非常に細かい工夫を施しているというのです。何度も言いますが、1個100円ですし、つい試してみたくなりますよね。というわけで、さっそく購入して使ってみたんです。そしたら、これが本当に衝撃的だったので、そのスゴさをご紹介したいと思います。

職人ワザで料理が本当に美味しくなる!

 最初に「カレーを美味しく食べるスプーン」から試してみます。このスプーン、どのあたりがカレーを美味しくしてくれるポイントになっているのかというと、「フチを通常の2/3まで薄くし、最後まですくいやすくしている」という点です。え、それだけ? と思うなかれ。これがスゴいのです。

同じくダイソーで見つけ、異常なまでの可愛さに惹かれて思わず衝動買いしたパンダの箸置きに置いてみます

 このスプーンでカレーライスを食べ始めてみると、最初は特に何も変わったことはありません。まあ、食べやすいけど、普通じゃない? くらいの感じなのですが…。食べ進んでいくと、最後に「おお!」と声を出して感激することになりました。

食べ始めはピンとこないが、食べ終わり頃に真価を発揮

 いつも使っている一般的なスプーンは、最後のほうに残るカレールウやご飯がすくいにくいものです。だから、お皿を持ち上げて、スプーンと皿を限りなく平行にしてカレーをすくい取るか、あるいは誰もいなければ口を近づけて、かき込むことになります。

 しかし、このダイソーのスプーンなら、そんなはしたない真似をする必要なし。テーブルにお皿を置いたままカレーを上品にすくうことができるのです。

お皿の端まで綺麗にカレーライスをすくうことができます

 これ、地味かもしれませんが、素晴らしいアイデアだと思いました。カレーソースをきっちりライスにからめて、最後までしっかりと味わうことができるというのは、想像以上にストレスフリー。お見事です。

 続いて「パスタを美味しく食べるフォーク」を試してみます。

たらこパスタにダイソーのフォークをさしてクルクルと巻き取ると、みるみる絡まる!

 上の写真をご覧ください。この時点で、一般的なフォークとの差は歴然です。パスタにフォークを差し入れ、軽く巻いてみると、クルクルとパスタが勝手に巻きついてくるのです。「え、何これ?」とつい笑ってしまうほど。実はこのフォーク、サイドが波状に加工されているおかげでパスタが途中で落下しにくくなっており、だから巻きつきやすいのです。

カトラリーの町・燕市の職人さんが施した波型の側面が、パスタを一本も逃さない

 ただ、疑り深いみなさんの中には、こうおっしゃる方もいるかもしれません。「だからって、パスタが美味しくなるの?」と。気持ちはわかります。でも、そんな疑問には「間違いなく美味しくなります」と答えるほかありません。

 理屈が合っているかは分かりませんが、筆者が考えるに、しっかりと巻きついた状態の麺を口に運び入れると、麺と麺との間に入った適度な空気のおかげか、より弾力を感じられ、モチモチ感もアップします。その弾力&モチモチ効果により、小麦の旨みもさらにしっかり感じられるのです。

 いずれにしても、麺がフォークにしっかり巻けるのは、想像以上に素晴らしいことだとわかりました。当然、カレースプーンと同じく、口に運ぶ途中でパラパラと麺が落下するストレスからも解放されます。「これ、魔法のカトラリーだよ?」と大げさに誰かに言いたくなるくらい便利なフォークです。

 さて、最後は、「スープが美味しくなる」スプーンです。これも期待以上の効果があるんでしょうか。

「スープが美味しくなる」スプーン

 このスプーンの特徴は、正円に近い形をしていること。つまり、どの角度からでもスープが飲みやすくなっているのです。実際にコーンスープをすくって飲んで見ると、横からスルッと飲めます。ちょっと角度を変えてもスルッと飲める。口を大きく開けなくても、適量が口にスルッと入るので口の端につくこともないし、溢れることもありません。

スープやラーメンなどを食べるときに嬉しい、地味ながら素晴らしいアイデアに感動

 さらに柄の部分と先端の部分につながる角度にもひと工夫あり、サラッとした液体もすくいやすいし、小さな粒コーンも逃しません。上品に飲めて、いつも以上に美味しく感じる…。「匠の技」のカトラリーに心酔しきり。

 というわけで、ダイソーで買ったこのシリーズのカトラリーは、めちゃくちゃ優秀です。しつこいようですが1本100円。これまで「料理ごとに専用のフォークやスプーンを揃えるとか、意識高すぎて引くわ」などと失礼なことを思っていましたが、これならためらうことなく何本も購入可能です。皆さんもぜひ、試してみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●DATA

ダイソー

https://www.daiso-sangyo.co.jp/