安全に関する配布物や年4回の交通安全運動などに使われている

 免許更新時に誰もが加入を勧誘される「交通安全協会」。

 かつては、免許センターや運転免許試験場において、免許更新の事務窓口と同一の窓口があり、加入はあくまで任意であるにもかかわらず、そのことをろくに説明せず、あたかも加入が義務であるように装って、その手法が批判を浴びたこともある団体だ。(交通安全協会費の集め方に問題があるとして、詐欺として名古屋地裁に提訴され話題となった)

 ルーツは大正時代にまで遡り、民間の交通安全活動を組織的に推進するため、警察の指導により、広島、静岡、岐阜、福岡、愛知などの府県で「交通安全協会」が結成されたのがはじまり。

 現在は、全国組織の一般財団法人全日本交通安全協会と、都道府県単位の交通安全協会(公益財団法人、一般財団法人、一般社団法人など)が設置されている。

 その主な事業内容は下記の通り。(例:千葉県交通安全協会)

・交通事故防止のための広報・啓発活動

・各地区交通安全協会との連携協力

・優良運転者等の表彰

・交通事故相談

・千葉県交通安全活動推進センターに関する事業

・千葉県等からの委託事業

・その他交通安全のために必要な事業

 このうちメインとなるのは、各都道府県警から委託されている運転免許証の更新時講習で、都道府県警から支払われる委託費用が主な財源となっている。違反者講習や処分者講習も委託されていて、これらの受託料も大事な収入だ。

 また、これらに加えて免許更新時に加入を勧められ、入会者が支払う交通安全協力費(300〜500円/年)があるわけだが、これらの使途はどうなっているのだろうか???

 沖縄県交通安全協会連合会がその交通安全活動協力費の使途について説明しているので、その資料を見てみよう。

 まず、平成29年度の会費収入は、約1億262万円。

 支出は、県内14地区の交通安全協会に交通安全対策費として4580万円を分配。ボランティアなどの功労者表彰に約108万円。交通安全活動推進運営費が約846万円。小学校の新入生へのランドセルカバーや交通事故防止広報、DVD、ポスター・ポスターの制作、横断旗、年4回の交通安全運動など、交通安全活動費として約4728万円となっている。

 これ以上細かいことはわからないし(財団法人の決算書類などは、評議員・債権者以外への開示義務はない)、これらの活動がどれだけ交通安全に寄与し、加入者にメリットがあるかは疑問が残るところ。

 交通安全協会はその職員の大半が退職警察官、いわゆる天下りであることが知られていて、会員から集めた会費も、その人件費や退職金に当てられているのでは、と思っている人も多いかもしれないが、一応人件費は別会計のようだ。

 また、都道府県ごとに違いはあるが、会員に交通事故時の入院時見舞金を出したり、協賛店舗の割引サービスが受けられたり、チャイルドシートの無料レンタル(クリーニング代は必要)といった会員特典がある地域もある。

 最近では、自転車会員や自転車保険・自転車向け保険の勧誘にも力を入れているようだが、交通安全協会に入会する・しないは、あくまで任意。活動内容に納得できれば協力費を払って加入すればいいし、そうでなければ入会しなくてもOK。

 いずれにせよ、ドライバーとは何かと関わりのある団体なので、目的や活動内容はひと通り知っておいたほうがいいだろう。