左から鈴木義宜、原輝綺、指宿洋史、ディサロ燦シルヴァーノ、権田修一、中山克広、片山瑛一、成岡輝瑠、永井堅梧。(C)S-PULSE

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 1月15日、J1の清水エスパルスが新体制発表記者会見を行なった。

 2020年シーズンを16位で終えたチームは、セレッソ大阪からロティーナ監督を招聘し、14人の新戦力(うち3人は期限付き移籍から復帰)を迎えて再出発を図る。

 まず冒頭で大熊清GMが「清水エスパルスは過去も今も未来もACL出場やタイトルを狙わなければいけないチームだと思っています。この未曽有の苦しくて厳しいシーズンをチームだけでなく、ファン・サポーター、スポンサーの方々とともに喜べるように1試合1試合、戦っていきたいと思います」と2021年シーズンの意気込みを語った。

 4チームがJ2へ降格する新シーズンのポイントは、2年連続でリーグ最多失点を喫している守備面の改善だろう。大熊GMも「給水や集中しなければいけない時間帯に失点していた」と課題を述べていた。
 
 そこで、白羽の矢が立ったのが、堅守を武器に東京ヴェルディやC大阪を上位へ導いたロティーナ監督だ。ただ、守備的なイメージがあるスペイン人指揮官も、大熊GMに言わせれば、「守備のために守備をするのではなく、良い攻撃をするために守備をしている」哲学の持ち主だという。

 ロティーナ監督も「私たちのサッカーをこれから築きますが、もちろん良い守備をするというのはあります。ただ、それは守備的という意味ではない。我々のトレーニングの大半は攻撃に割かれます。攻撃のほうが構築に時間がかかるからです。良い攻撃ができれば守備の時間は短くなりますし、それが一番良い守備だと認識しています」と自らの考えを明かした。

 ちなみにロティーナ監督は海外へ移る可能性もあったが、「日本の生活を気に入り、Jリーグでプレーしている選手たちもよく知っていること」を理由に日本に残った。そして清水を選んだのは「エスパルスの評判はとてもポジティブで、また(GMの)大熊さんをはじめ、強化部が示してくれた信頼の大きさにワクワクした気持ちになった」からだという。
 
 選手に目を向けると、大分の主将・鈴木義宜、東京五輪代表候補の原、C大阪でロティーナ監督に重宝された片山瑛一、昨季のJ2得点ランキング2位のディサロ燦シルヴァーノらを積極補強。なかでも注目は現役日本代表のGK権田修一だろう。

 権田は「必要としてもらったのが一番」と移籍の理由を語り、「自分はGKなので、シュートを止めることが仕事かもしれないですが、普段の練習からどれだけ良い関係を作って、シュートを打たせない守備をするのかを、今年はこだわりたいと思っています」と活躍を誓った。
 
 また、新型コロナウイルスの影響で海外からの新規入国が一時停止され、新戦力のウィリアム・マテウスは入国時期が未定。一方、同じく新加入のチアゴ・サンタナは隔離期間中ではあるが、すでに来日している。

 新しいスローガンは『PENETRATE』(ペネトレイト)。「突き進む、突破、貫く」を意味する言葉で、サポーターとクラブが一体となって自力で壁を突き破り、次のステージへ進む想いが込められている。
 
取材・文●古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)