アンドリュー・マロニー(右)とジェイソン・マロニー【写真:Getty Images】

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偶然のバッティングの判定で無効試合「5か月の努力が奪われた」

 ボクシングの前WBA世界スーパーフライ級正規王者アンドリュー・マロニー(オーストラリア)は14日(日本時間15日)、同級タイトルマッチで王者ジョシュア・フランコ(米国)に挑戦したが、相手の負傷により無効試合となった。6月に判定負けし、王座奪取を許した相手とのダイレクトリマッチ。フランコの右目付近の負傷により、長い映像判定が行われた末に偶然のバッティングと判断された。

 マロニーの世界挑戦は予期せぬ形で終わった。アクシデントが起きたのは初回だった。フランコが右目付近を負傷。ラウンド途中から顔が腫れあがり、視界がふさがれる状況となった。マロニーが手数を増やす中、2回途中にはドクターチェックで中断。3回途中に再び中断され、ドクターがフランコの視野を確認した末に続行できないと判断されて試合終了となった。

 偶然のバッティングなら決着がつかず、有効打ならマロニーの勝利という状況。20分を超える異例の長さのビデオ判定が行われたが、どの瞬間からフランコの顔が腫れ始めたかわからないようで、マロニーの肩や頭が接近したシーンが何度も確認された。結局は偶然のバッティングで無効試合とアナウンスされた。しかし、微妙な判定でファンの間でも物議を醸しているが、戦った本人は納得がいかない様子だ。

 試合後、リングサイドで応じた米スポーツ専門局「ESPN」のインタビューで「彼は自分に触れてない。理由はジャブだ。1回にジャブを入れた後、彼の目が腫れるのを見た。だからジャブを打ち続け、彼の目は腫れあがったんだ。ヘッドバットなんかじゃない」と頭突きではなく有効打だったと主張。その上で「5か月頑張ってきたのに、これを自分から奪ったことが信じられない。家族とも離れてやっているんだ」と涙ぐみながら語った。

「このような状況のためにインスタントリプレーがあるのに、自分に(勝利が)与えられなかったことが信じられない」とも語り、判定に怒りを露わにしていた。2週間前には、双子の兄・ジェイソンがWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)に7回KO負けで王座奪取に失敗。弟が“リベンジ”を目指したが、マロニー一家にチャンピオンベルトを取り戻すことができず。兄弟にとっては悲運の2週間となった。(THE ANSWER編集部)