「米国の北朝鮮分析サイト『38ノース』は、9月初旬から首都・平壌近郊の美林飛行場一帯で、閲兵式や軍事パレードの準備をしていると伝えている。与正氏は7月10日、米国に対し『米独立記念日の行事を収録したDVDをぜひ欲しい』とのメッセージを発していますから、パレードの準備や当日の仕切りを担当しているようです」(北朝鮮ウオッチャー)

 台風による災害復興やコロナ禍のさなかでも、正恩氏には軍事パレードを強行したい理由がある。

「正恩氏は、各国による経済制裁や新型コロナが、党と精強な朝鮮人民軍になんら影響を及ぼしておらず、国家は盤石であるということを内外に誇示したいのです。同時に日米韓に対して最新兵器を顕示し、核抑止力をアピールする狙いもある。おそらくパレードの目玉として、台風で試射実験中止を余儀なくされた潜水艦発射弾道ミサイル『北極星3号』を公開するでしょう」(国際ジャーナリスト)

 しかし、これは正恩氏の弱気の裏返しでもある。他国と違い北朝鮮の場合、民間人(朝鮮労働党員)もパレードに動員する。本来ならコロナへの感染防止を優先して、大掛かりなイベントは中止すべきだが、もはや正恩氏には度量を示す余裕がないのだ。それだけ現在の北朝鮮は、追い詰められているとも言える。

 新政権の発足にあたって南北両国が打ち上げた“祝砲”に、菅首相はどう返答するのか――。