愛知県東郷町に『ららぽーと愛知東郷』がオープンしました。約200店入るという大型商業施設です。9月14日放送の『多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N』では、withコロナの時代の消費活動はどうなっていくのか、郊外に大規模店が次々とできるのはなぜかを取り上げました。また、「都心部から郊外へ」の流れは消費活動以外にも起こっているようです。中京大学経済学部客員教授でエコノミストの内田俊宏さんに電話で伺いました。

人口増の名古屋市周辺

全国的に人口減が問題となっていますが、名古屋市と豊田市周辺の自治体では人口が急増しています。特に若いファミリー層が増えています。

多田「名古屋市と豊田市の間はそんなに人口が増えているんですか」

内田先生「全国的にも珍しいのですが、特に長久手町は前回の国勢調査(2015年)で平均年齢38.6歳と、とても若いです。

名古屋の都心部に通勤するサラリーマン家庭、西三河のトヨタグループにマイカーで通勤するようなファミリー層もいます。
そういったマーケットを狙って、大型店がどんどん進出しているという状況です」
 

非接触型の社会に適応

多田「withコロナで日常生活を送らないといけない時に、大型ショッピングセンターの出店はタイミングが悪いと思いがちですが、どうですか?」

内田先生「このエリアはマーケットは大きいですが、むしろ出店過多が著しいです。
が、withコロナの時代になって、新しい生活様式、人と人との接触を減らすような非接触型の社会にシフトしてきてます。

密集地の都心部に立地する商業施設よりも、マイカーで直接アクセスできる。人と人との接触をなるべく避けながらアクセスできる郊外型の立地は存在感を増していると思います。

しかも後発で進出している施設は、天井高が大きく、広々と空間を使えるというメリットもあり、既存のある程度老朽化した都心の店舗より、競争力が高いです。
ただ都心の立地のいい点もあり、都心部の店舗と郊外の店舗の住み分けが進んでいるのだと思います」
 

都心部から郊外へ

多田「都心部から郊外へ、大規模商業施設以外にもそういった傾向が顕著に見られるのは、どんなところがありますか?」

内田先生「あらゆる業種、業態で試験的に郊外の方がいいのでは?といろいろ試されている状況です。

例えばオフィスに関しても、東京の丸の内など高い賃料のところにオフィスを構えている必要性があるのかということで、テレワークで郊外の地域に立地したりとか、サテライトオフィスのような形で地方に進出する企業も出てきています。

そういった形で郊外、地方の存在感が増しているのは確実だと思います」
 

ネットワークさえあれば

多田「十数年に渡って『東京一極集中は避けよう』『地方へ』と言っていて、現実はむしろ東京とか地域の都心部へ人は集中していましたが、ひょんなことから世の中の状況は変わるかもですね」

内田先生「その転換点の可能性はあると思います。特に今年の6月の東京の人口推計は1956年以来、初めて前月比でマイナスになりました。

都心の“密”をさけて、地方に本社を移転するとか、地方に移り住んで、ワークライフバランスを重視して、農業をやりながらITの仕事をするとか、ネットワークさえつながっていればどこでもいいという時代になってきました。

コロナをきっかけに、そういった東京一極集中の流れは変わる可能性は出てきていると思います」
 

テレワークの流れへ

多田「現実テレワークで十分という業種はたくさんあるんですか?」

内田先生「IT企業中心に、ということになります。特にこの地方の製造業は生産現場がありますから、なかなか難しかったです。

ですが、それでもコロナが何度も再燃するような、自宅に待機せざるをえない状況があり得ますから、そういった時に企業が事業を継続するためには、こういったネットワーク上で事業を継続するような方向性、あるいは、自宅に近いところで必要最小限の生活必需品を購入するという流れは加速していきますし、企業側もそれに対応していかざるをえないと思います」

多田「結構大きな流れになってきていると思っていいんですか?」

内田先生「今いろいろ模索している状況ですから、これが2、3年続けば、そういった流れは、かなり常態化していくと思います」

多田「そういった傾向が見られるではなく、そういう流れになってきているというレベルなんですね」
(みず)
 

多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N
2020年09月14日07時19分〜抜粋(Radikoタイムフリー)