Microsoftは米国時間2020年8月17日の公式ブログにて、Internet Explorer 11およびMicrosoft Edgeレガシー版のサポートを段階的に終了することを明らかにした。

Microsoft Teams内から呼び出すWebアプリは米国時間2020年11月30日、Microsoft 365アプリは米国時間2021年8月17日で、Internet Explorer(以下、IE)11への対応を終了する。Microsoft Edgeレガシー版に対しては、米国時間2021年3月9日をもってサポートを終了。サポート終了後は、これらのWebブラウザーから、Microsoft TeamsのWebアプリやMicrosoft 365アプリへアクセスできなくなる(もしくは、IE 11では各種の機能が正常に動作しなくなる可能性がある)。

Microsoftの公式ブログから


IE 11は2013年10月にリリースされた。米国時間2019年2月の時点で「既定WebブラウザーとしてIEを使うことはリスクがある」と公式ブログで公言しているため、2021年までサポートを継続するほうが驚きだ。後方互換性についてMicrosoftは、新Microsoft EdgeのIEモードを推奨している。

Microsoft Edgeレガシー版は2015年7月のリリース。現在はChromiumベースのMicrosoft Edgeがあるため、Microsoft Edgeレガシー版は不要だ。

IEはNCSA MosaicベースのWebブラウザーとして1994年に産声を上げたが、少なくとも筆者の周りは、それまで使っていたNCSA Mosaicや同年に登場したNetscape Navigatorを利用する人ばかり。筆者も同様だったが、IEをメインのWebブラウザーとして使い始めたのはIE 3.0(1996年8月)あたりから。当時はアナログモデムからダイヤルアップでISPに接続し、Windows 95でWebページの閲覧やオンラインソフトのダウンロードに利用していた。

Windows 95で動作するIE 3.0


一昔前には、Webブラウザーのシェアを争う「ブラウザー戦争」も起こり、それまでトップランナーだったIEは、IE 6.0(2001年8月)あたりから他のWebブラウザーに追いつかれ、シェアを少しずつ落としていく。筆者も当時はMozilla FirefoxをメインのWebブラウザーとして使っていた。さらにGoogle Chromeの台頭に伴い、IEのシェアは下落する一方だった。

Windows 2000で動作するIE 6.0


Windows 10では、「つぎはぎ」のように建て増しされたコードを捨て、Microsoft Edgeレガシー版をゼロから開発したものの、2018年12月にChromiumベースのMicrosoft Edgeを開発することを公式ブログで表明し、現在に至っている。一連の流れを振り返ると、プロプライエタリ(私有)ソフトウェアの没落とOSS(オープンソースソフトウェア)の勃興という関係が透けて見えるようだ。

ただし、IE 11自体がなくなるわけではない。今回、Microsoftが発表したのは「IE 11を使ったMicrosoft 365へのアクセスが不可能」になるという意味である。さらにライフサイクルポリシーに基づき、Windows 10のIE 11はセキュリティ更新プログラムの配信対象だ。IE 11を必要とする古い基幹業務アプリやイントラネットが存在することは重々承知の上で、企業の情報システム担当者はIEモードを活用し、我々エンドユーザーはIEに「さよなら」を告げよう。

著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。ご連絡は以下のサイト内設置したフォームからお願いいたします。https://www.cactus.ne.jp/ この著者の記事一覧はこちら