加藤清史郎、子役時代から変化した主演への意識「押しつぶされそう」
子役として活躍した加藤清史郎が18歳を迎え、映画『#ハンド全力』で『忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段』(2013)以来、7年ぶりに長編映画の主演を務める。本作で感じたプレッシャーや、主演として意識の変化があったことを加藤が明かした。
本作は、熊本地震をきっかけにハンドボールをやめた高校生・マサオが主人公。SNSに投稿した写真が思いがけずバズったことをきっかけに、マサオと仲間たちは、一生懸命頑張る姿を作り上げたねつ造写真で人気者となっていく。マサオを加藤が演じ、マサオの通う学校の生徒役に醍醐虎汰朗、蒔田彩珠、芋生悠、佐藤緋美、坂東龍汰、鈴木福ら若手実力派が名を連ねる。マサオの家族役には、ふせえり、田口トモロヲ、仲野太賀、学校の先生役には、安達祐実がふんする。
久しぶりの主演作に加藤は、「プレッシャーに押しつぶされそうでした。先輩の方々も多いですし、そんななかで『主役をやるんだ』と気負いすぎてしまった」と明かす。また、『忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段』のときは「主演ということについて、良い意味でも悪い意味でもなにも考えていなかったと思います。でもこうして歳を重ね、撮影を常に引っ張りあげなくちゃ、とか、ムードを作らなきゃ、と考えるようになったみたいで。その結果たくさん悩みました(笑)」と主演としての自覚が芽生えたからこその苦労も。
そんななか、プレッシャーから加藤を救ったのは松居大悟監督や共演者の言葉だった。松居監督からは撮影前に「清史郎が殻を破って、楽しむことが1番重要」と連絡を受け、撮影に入ってからは醍醐に「あんまり気にしすぎなくていいと思うよ!」と声を掛けてもらったことで、純粋に楽しんで撮影に臨めたという。
撮影現場では、醍醐ら同世代との共演にも毎日刺激を受けた。「最近になるまではどうしても年上の方とご一緒することが多かったのですが、年の近い同年代のみんなと一緒に一つ一つのシーンを作っていくことが新鮮でした。だからこそ、お芝居のなかに生まれる駆け引きがとても楽しかったです」
本作では、熊本地震によって心に傷を負った人たちが描かれる。マサオもその一人だ。加藤は、「どう表現しようか、どう表現するべきなのか。とても悩みました」と葛藤を語る。
「複雑な思いに葛藤するというよりも、素直な気持ちをぶつけ合う方がマサオっぽいんじゃないかと思うようになりました。震災の影響で自分が大好きだったハンドボールができなくなり、頑張ることの意味を見失ってしまった。けれどハンドボール自体を嫌いになってしまったわけではなく、ハンドボールを思う存分にできない環境を嫌いになった。つまり本当はまだハンドボールが大好きなんです。だから、そこをぶつけ合えば良いのかな、と。」
加藤自身はマサオとの共通点はあまりないようで、「僕は大好きなことはとことん大好きですし、頑張りたいと思うことはとことん頑張りたいです。自分に素直です!」と笑う。そんな加藤がいま夢中になっていることは、お芝居と体を動かすことだそうで、「もともと運動は大好きだったのですが、高校の3年間でサッカーと向き合って、もっと好きになりました。ふとした時のストレス発散方法だったり。僕にとっての娯楽の一つです」と明かしていた。(編集部・梅山富美子)
映画『#ハンド全力』は7月31日よりシネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国ロードショー、7月24日より熊本先行公開