人種差別的だとして配信停止になった『風と共に去りぬ』、背景説明付きで配信再開
[ロサンゼルス 24日 ロイター] - AT&T傘下のワーナーメディアが展開する動画配信サービス「HBO Max」は24日、アカデミー賞受賞作『風と共に去りぬ』(1939)の配信を再開した。再開にあたっては、南北戦争当時の人種描写に関する背景説明を行う動画2本を添付した。
米ミネソタ州で黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官による暴行で死亡した事件を契機として広がった抗議活動を受け、同作に人種差別的な表現が含まれているとして配信を一時停止していた。
添付された説明動画のうち1本は、2019年に開催されたターナー・クラシック・ムービーズ(TCM)フェスティバルでの同作を巡るパネルディスカッション。司会を務めたジャクリーン・スチュワート・シカゴ大教授(映画研究)はその冒頭で「奴隷制度の残虐性を認識させることなく当時の南部を美化している」と批判している。
その上で「発表から80年を経ても『風と共に去りぬ』の持つ文化的な重要性は否定できない。過去のハリウッドの人種差別的慣行を描いただけでなく、現代社会およびメディア業界にも根強く残る人種間の不平等を伝える不朽の作品だ」とした。
同作品はジョージア州のプランテーションを舞台に、ヒロインであるスカーレット・オハラの半生を描き、第12回アカデミー賞では作品賞など8部門を受賞。召使い役を演じたハティ・マクダニエルは黒人として初めてオスカー(助演女優賞)に輝いた。
スチュワート教授はまた、アカデミー賞の授賞式では当時の慣行に基づき、マクダニエルには白人の共演者から遠く離れた席が用意された点も指摘した。