名良橋氏は自らが背負ってきた2番を着ける内田に対し、近年は怪我に悩まされているが「再び輝いてほしい」と期待を込める。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 リーグ中断中にお届けする特別企画「名良橋晃の右SB番付」。現役時代には平塚や鹿島などで活躍した元日本代表の右SBで、現在は解説業を務める名良橋氏に右SB限定の番付を作ってもらった。前編では、リーグ再開に向けて、現役日本人Jリーガーを対象に選んだランキングを紹介する。

歴代日本人Jリーガー編はこちら

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 良い選手がたくさんいるので、どの右SBも甲乙つけがたく、かなり迷いましたね。見る人によってはいろんな意見があると思いますが、今回はあくまでも“個人的な見解”で選ばせてもらいました。

10位 石原広教(湘南/21歳)
昨季成績:37試合・0得点(福岡[J2])
選出理由
 積極果敢なプレーが魅力的で、疲れ知らずな良い選手。湘南ではウイングバックでの起用ですが、SBもできて、しかも左にも対応できます。昨季は5月から6月にかけて開催されたU−20ワールドカップのメンバーに、最後の最後で落選したなか、レンタル先の福岡で悔しさを糧に奮闘していた。湘南に復帰した今季は、さらに期するものがあると思います。ポテンシャルも十分ですし、今後への期待も加味して選びました。

9位 内田篤人(鹿島/32歳)
昨季成績:10試合・0得点
選出理由
 10年と14年の2度もワールドカップに出場と日本代表の実績があって、欧州クラブではシャルケ(ドイツ)などで活躍してきた。説明不要のレジェンドですね。昨季は怪我もありましたが、コンディションを取り戻せば、まだまだスタメンでプレーできるはず。円熟味が増し、賢い右SBなので、クレバーなプレーで“今までと違う内田篤人”も見せてほしいですね。そうして再び輝き、レギュラーを取り返してほしい想いも込めて。

8位 田中隼磨(松本[J2]/37歳)
昨季成績:31試合・0得点(J1)
選出理由
 鉄人ですね。スタミナがあってハードワークできる点が主な選出理由です。印象に残っているのが2年前、シーズン前のキャンプを見に行ったのですが、体力トレーニングの走力テストで前田大然選手(現マリティモ)とトップを争っていました。しかも平然とした様子だったので「タフだなあ」と。その走力での衰えはまだまだ感じないですね。布啓一郎監督が就任し、4バックとなったなかでも、好プレーを期待しています。
7位 小池龍太(横浜/24歳)
昨季成績:21試合・0得点(柏[J2])→27試合・2得点(ロケレン[ベルギー2部])※シーズン途中に移籍
選出理由
 169センチと小柄ですけど、走力とスピードがあって、守備での1対1の強さを評価しました。柏では主に下平隆宏監督(現・横浜FC)の下で、J1で64試合に出場してきましたけど、横浜では柏とはチームとしてのコンセプトが違うので、どうフィットするか楽しみですね。戦術理解度を高め、横浜の独特な戦い方をいち早く理解して、ポジションを取れるのか、注目していきたいプレーヤーです。

6位 橋岡大樹(浦和/21歳)
昨季成績:18試合・2得点
選出理由
 もともとはCBだったので、空中戦や地上での1対1の守備の強さがありますし、SBで起用されてもバランスを取りながら前へ行く推進力がある良い選手だなと。昨季は3−4−2−1の右ウイングバックでしたけど、今季は4バックの右SBで、よりやりやすそうにプレーしている印象を受けますね。サイドプレーヤーとしては、これからもっともっと攻撃の引き出しを増やしていければ、より優れた右SBになるんじゃないかと思います。
5位 松田 陸(C大阪/28歳)
昨季成績:33試合・1得点
選出理由
 メディアなどで取り上げられることが少ないようですが、個人的にはもっと注目するべきだと。何より魅力は負けん気の強さ。以前はプレーにムラがある印象でしたが、年々、そのムラも減ってきて、クロス精度も上がっていると思います。昨季にロティーナ監督が就任し、守備もディテールまでこだわってできています。しかも僕の好きなタイプの「強気な攻撃的SB」。攻守に優れていて、是非もっと評価が高まってほしい選手です。

4位 松原 健(横浜/27歳)
昨季成績:14試合・1得点
選出理由
 中盤から供給するラストパスに独特な感覚を持っていて魅力的なので選びました。僕が現役の頃は、インナーラップとかはありましたけど、松原選手ほど極端に中盤に入るのは稀なので、新鮮ですよ。変則的な横浜のスタイルのなかで、攻撃的なプレーをそつなくこなしているのは、素晴らしいです。昨季はシーズン途中からスタメンを奪取したので、今季は小池選手というライバルが増えたなかでも、1年を通した活躍に期待したいです。
3位 蜂須賀孝治(仙台/29歳)
昨季成績:32試合・0得点
選出理由
 松田選手と同じく、もっと評価が高まってほしくて、もっと注目してほしい選手です。左もこなせて、どちらでもクロス精度が良い。SBのベースとなる守備力があって、加えて献身的。動きに無駄がなくて、効果的なオーバーラップもできる。良いところがたくさんあって、ミスも少ない計算できる選手ですね。チーム戦術も考慮するべきだとは思いますが、個人的には、ゴールにも貪欲になって自らの力で注目度を上げてほしいなと。

2位 西 大伍(神戸/32歳)
昨季成績:29試合・0得点
選出理由
 ひと言で言うなら、“センスの塊”。頭が良くて器用だから、いろんなプレーをできる。攻撃の引き出しが多いですよね。サイドからゲームを作れるので、素晴らしいですよ。守備ではポジショニングの良さで上手く守っている印象があります。攻撃センスがあって、イニエスタとプレーしてどんどん進化していっているように見えますし、その面で、これからもっと面白いプレーを見せてくれそうな伸びしろも感じます。

1位 室屋 成(FC東京/26歳)
昨季成績:30試合・0得点
選出理由
 走力、スピード、クロス精度、得点への意欲、攻守ともに「目の前の相手に絶対負けない」という負けん気の強さ。右SBに必要なスキルをハイレベルで兼備している選手です。代表にも選ばれて自信を付けているようで、昨季はベストイレブンに選ばれた実績もあります。FC東京のサポーターの気持ちを考えると申し訳ないので言いづらいですが……、海外でも活躍できる可能性を感じるので、個人的には世界でも勝負してみてほしいなと。それくらい、実力や実績があり、総合的に考えて“ナンバーワン”の右SBです。

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取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)