「新型コロナウイルス」感染者の発生 週別推移

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 帝国データバンクの調べでは、グループ会社や関連会社を含め新型コロナウイルスに感染した従業員が判明した上場企業は、4月13日午後以降の約10日間で105社が新たに公表。22日までに累計315社が判明し、1週間当たりの増加社数(+91社)は1月以降で最多を更新した。

 上場企業の従業員が新型コロナウイルスに感染したケースは、2月に初めて発生して以降増加を続け、4月は22日までに従業員の感染を公表した企業は新たに211社判明した。このうち、10社超に上った日が計9日間発生したほか、1日当たりの最多社数は26社に上った。

 各社とも在宅勤務の導入やマスクの着用、アルコール消毒の徹底など従業員の感染防止策を導入しているものの、従業員の感染が相次いで発生。特に、工場勤務など在宅での業務が難しい従業員を多く抱える製造では、複数拠点での感染が発覚している。また、緊急事態宣言発令後も営業を続ける小売やサービスでも、対面接客せざるを得ない状況から接客や窓口担当者の感染ケースが増加傾向にあり、各社とも感染防止策に頭を悩ませている。

製造は100社の大台を突破、 感染リスクの高い小売は倍増

 業種別に見ると、最も多かったのは「製造」(103社)。4月13日午後から33社増え、全業種で初めて100社の大台を突破したほか、全体の3社に1社が製造となった。製造では、伝動ベルトなどを製造する三ツ星ベルトが、本社に勤務する従業員が感染したと公表。また、食品工場に勤務する従業員の感染も目立ち、山崎製パンや総菜製造のわらべや日洋HDなどで感染者が判明したことを明らかにした。このうち、わらべや日洋HDは工場の操業を停止して消毒作業を実施。厚生労働省は食品から新型コロナウイルスに感染した事例はないとしているが、万一に備えて各社とも対応に追われている。

 次いで多かったのは「サービス」(55社)となり、「小売」(35社)が続いた。接客が中心となるB to Cの両業種で全体の3割に迫る。両業種の増加社数はいずれも17社で、製造(+33社)に次いで多かった。特に、小売では13日から公表社数が約2倍に増え、増加率は全業種中最大となるなど急増傾向にあり、特に飲食店や販売店舗における従業員の罹患が目立つ。

小売各社とも水際対策を強化するものの、 感染リスクの完全防止はなお難しく

 持ち帰り弁当事業を展開するプレナスでは、東京や大阪の店舗で相次ぎ従業員が感染。ハンバーガーショップを運営するモスフードサービスも、店舗の従業員が感染した。利用者数が増えているドラッグストアでも、サンドラッグが大阪の店舗で従業員が感染したと明らかにした。ドラッグストアやスーパーは緊急事態宣言における休業要請の対象ではなく、社会インフラとして営業を継続。店内飲食需要が大幅に落ち込んだ飲食店も、テイクアウトに限り営業を続けるケースが多くみられる。

 ただ、新型コロナウイルスに従業員が感染した場合、事業所や店舗の一時閉鎖・消毒作業の実施の必要に迫られるほか、風評被害などの懸念材料も残る。そのため、各社とも従業員へのマスク着用による接客の推進、レジなどでの飛沫防止シートの導入など、従業員の感染防止策を相次いで取り入れ、水際対策の強化を図っている。しかし、不特定多数の消費者と接触するゆえに感染リスクの高い従業員への感染を完全に防ぐことは難しく、各社とも対応に頭を悩ませている。