香取慎吾の「プロフェッショナルな姿勢とあたたかい言葉」 愛を叫んで、元気をくれる“慎吾ちゃん”は健在

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「#アイシテマース !!!!!」のメッセージ


2020年元旦にソロとして初のアルバム『20200101(ニワニワワイワイ)』をリリースした香取慎吾。今月末にはアルバムを携えたソロライブ「20200429 PARTY!」を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大防止により中止が決定した。

香取はTwitterで「NAKAMAの皆さんに下を向かせてしまったと思うと申し訳ない思いでいっぱいです」と綴り、「笑顔でワイワイ歌って踊れる その日まで上を向いて」と、共に頑張ろうと伝えた。最後に「#アイシテマース !!!!!」のハッシュタグを添えた。昔から変わらず、愛を叫んで、元気をくれる“慎吾ちゃん”は健在だ。


11歳で芸能界入りした芸能一筋の半生


2017年9月22日、朝日新聞朝刊の広告で香取、稲垣吾郎、草なぎ剛と共に「新しい地図」としての活動を発表して以降、公式サイトの開設にファンクラブの発足、11月にはインターネット生放送番組『72時間ホンネテレビ』(Abema TV)に出演。

この番組でSNSを開設。事前にレクチャーを受けて挑んだものの、たどたどしい様子で投稿をする彼らに、ファンがサポートしていたのが印象に残る。Instagramのフォロワーも増え続け、現在171万フォロワーを数える。

レギュラー番組が終了し、地上波でお目にかかる機会は減ったが、2018年2月には、サントリー「オールフリー」のCMキャラクターに稲垣吾郎と共に起用され、同年4月には3人で出演した映画「クソ野郎と美しき世界」が公開。その後も、芝居にアート、ファッション、音楽と活動の幅は広い。

そんな中、放送開始から26年目を迎えたのが、草なぎと出演するラジオ番組『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)。新曲や映画、舞台などのお知らせを嬉しそうに発表し、折に触れてはファンへの感謝を伝えてきた。何年経っても変わらない姿だ。

新しいスタートを切りインターネットに軸足を置いたことを当時は少し寂しく思えた。しかし、SNSをうまく活用し、年数を重ねるごとに活躍の場を広げ、いまとなっては(特にこの自粛期間はさらに)的確な判断だったと言える。

事務所を離れ、レギュラー番組の終了と、それでも萩本欽一との「全日本仮装大賞」に出演、欽ちゃんとの司会は18回を数えた。また、10代の頃から俳優としても活躍していた香取。『ドク』や『西遊記』(共にフジテレビ系)では国籍を越えた役やファンタジー作品など難しい役どころにも挑戦。2018年には白石和彌監督とのタッグでヒューマンサスペンス『凪待ち』で主演を務めた。特に三谷幸喜(脚本・監督)作品への出演が多く、今秋公開予定の三谷作品、Amazon Original ドラマシリーズ『誰かが、見ている』への出演が決定している。付き合いの長さからも香取の人柄や俳優としての実力を感じる。


番組で語った原点


4年ぶりの地上波音楽番組の出演となった「SONGS」(NHK総合/4月4日放送)では、ロングインタビューに応じ、自分の原点について語った。

2019年2月に行ったファンミーティング「新しい地図 NAKAMA to MEETING vol.1」が大きかったという。「今回こうやって一人でソロでアルバムを出させてもらったり、歌いたいな踊りたいなっていう最後のスイッチを入れてくれたのがファンミーティング」。

そして、マイケル・ジャクソンに影響を受けてきた過去を振り返った。小学生の頃にマイケルのコンサートを最前列で見た香取。「その時に“こうなりたい”って子どもながらに思った」と明かし、初の東京ドームでのライブではリハーサルでステージの床に手をつき「やっとここまできたよ、マイケル」、グループでの最後のステージでも「1回ステージ降ります、マイケル」と告げたという。「ファンミーティングの時に……必死だったんで、本番始まるなって時だったんだけど、『あれ? ステージ帰ってきてる』って思って、『マイケル、また戻ってきました』って言いましたね(笑)」。

2018年、一足早く草なぎがソロのステージに立ったが、それを観た香取は「“何が正解かは、人それぞれ違う”ことにあらためて気づかされた」(週刊文春WOMAN2020年春号/文春ムック)と語った。これまで培ってきたルールとはまた違う価値観に気が付いたという。

これまではドームクラスのステージで披露することを軸に考えていただろう。メンバーと歌う曲からソロ曲への導入、たくさんのダンサーと共にステージを縦に横にと使った魅せるステージ、遠くの客席からの見え方、全体の流れ……。

吐露した本音「本当は全部泣きそう、いまも踏ん張っている」


アルバム「20200101」には、様々なテイストの楽曲が収録されている。MVには香取がデザインを手がける「JANTJE_ONTEMBAAR」の衣装に袖を通し、リズムをとりながら軽やかに歌う姿があった。たくさんの人に受け入れられる経験を経た上で、個人としてのパフォーマンス。特にSMAP時代のソロ曲「SKINAIRO」からの系譜。歌いたい楽曲に、アートとファッションを重ねる、好きなものや挑戦したいことを突き詰めた感じが伝わってきた。

「なんて言うんですか……必死ですよね。それは今も変わらないけれど。そうだな、必死ですよ今も」。「SONGS」で、再出発した頃に撮影した写真を見て言った。スタッフから写真を見た感想を聞かれると、本当は全部泣きそう、いまも踏ん張っていると。

そんな胸中なんて億尾にも出さず、口角をキュッと上げて太陽のような明るい表情をみせていた。プロフェッショナルな姿勢とあたたかい言葉にどれだけ元気をもらったか。

香取慎吾は今も昔もネガティブな気持ちに押し潰されてしまいそうな時に、前を向こうと導いてくれる存在だ。
(文/柚月裕実、イラスト/おうか)