高値安定のフレンチブルドッグ

 日本最大級のペットオークション「関東ペットパーク」(埼玉県)。ブリーダーが持ち込んだ1日800頭ものペットたちが、1秒あたり約10秒ほどで競り落とされている。

 今回本誌は、複数のペット業者に取材し、人気が集まりやすい種類の犬ネコについて、「卸値」つまり “ペットの原価” を入手した。それが以下だ。

【犬ネコ人気10種の “原価”】

《犬》
●トイプードル:10万円〜20万円/1番人気
 賢く、しつけをしやすいことから人気。無駄吠えも少ない

●チワワ:6万円〜20万円/2番人気
 テレビCMに登場して以来、人気に。飼い主に忠実な性格

●フレンチブルドッグ:20万円〜35万円/高値安定
 つぶれた鼻と立ち耳が特徴。いびきもオナラもご愛嬌

●ウェルシュ・コーギー・ペンブローク:8万円〜17万円
 牧羊犬だがのんびりした性格。英国・エリザベス女王の愛犬

●マルチーズ:6万円〜10万円
 穏やかで従順な性格で、セラピー犬としても活躍する

●パグ:3万円〜20万円
 しわくちゃの顔で、明るく陽気で人懐っこい性格

●柴犬:4万円〜9万円
 最近は海外での評価が高い日本産犬種。小さな豆柴も人気

《ネコ》

●アメリカンショートヘアー:4万円〜7万円
人懐っこい性格で俊敏に動く。アーモンドアイが特徴

●スコティッシュフォールド:5万円〜15万円
 丸い顔と体が特徴。垂れ耳が独特だが、立ち耳タイプも

●マンチカン:5万円〜15万円
 短い脚で走る姿が人気。個体により毛の色や長さはいろいろ

 では、実際の販売価格は、どれくらいになるのだろう。2月中旬、まずは首都圏に40店舗以上を展開する大手A社を訪問した。

 こちらでは、生後3カ月のアメリカンショートヘアーが14万8000円。生後3カ月のトイプードルが13万8000円。それが生後2カ月だと、29万8000円になる。

「より小さな個体が好まれるため、生後ひと月たつごとに、値段を下げています。同血統の同月生まれでも、小さいほど、高くなります」(販売員)

 続いて訪れたのは全国に約150店舗を展開する新興B社。訪問時は、ちょうど「半額キャンペーン中」で、生後2カ月のトイプードルは8万円前後だった。

 生後3カ月のアメリカンショートヘアーは10万円だ。このネコの見積もりを取ると「安心パック料金5万7000円」、「生命保障料金3万9000円」などが加わり、実際は21万7000円になった。

 関東ペットパークにいた、業界関係者が語る。

ペットショップでの価格は、人件費やブリーダーへの手数料などがかかり、卸値の4、5倍になることもあります」

 ペットを「原価・販売価格」というお金の切り口で見てきたが、東京・田園調布にある「田園調布動物病院」の田向健一院長は、こう語る。

「ペットの値段は、動物そのものの価値や、命の重さを反映したものではありません。ペットから幸せや喜びをもらい、家族と同様に愛情を注ぐ対象となると考えると、その値段は安すぎるくらいだと思います」

(週刊FLASH 2020年3月10日号)