井上尚弥【写真:Getty Images】

写真拡大

井上尚弥VSドネアを「陣営は参考にすべし」、母国記者がカシメロに助言

 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)は、4月25日(日本時間26日)に米ラスベガスでWBO王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)と3団体統一戦を行う。強気な挑発を繰り返すカシメロに苦言を呈していたフィリピン人記者は、両者の試合に向けた姿勢に言及。さらに昨年11月のワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝で井上が元5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)に苦戦した理由に触れている。

 カシメロの母国・フィリピンでも3団体統一戦は注目度を高めている。「カシメロと、ドネア対イノウエの真実」と見出しで報じたのは地元紙「マニラ・タイムズ」だった。同紙のコンラッド・カリーニョ記者は以前のコラムで、挑発を続けるWBO王者に対し「カシメロには過信した状態でイノウエに挑んでほしくない」と苦言を呈していた。改めて井上とカシメロの戦前における対照的な振る舞いに注目している。

「カシメロは自信に満ち溢れている一方、イノウエは静寂を保っている。昨年11月のドネア戦の準備期間も騒々しさのなかった彼としては驚きではない。しかし、私はカシメロの過信に懸念している」

 海外ブックメーカーなどはWBSS決勝で井上圧勝を予想していたが、ドネアはそれを覆して名勝負を演じた。カリーニョ記者は「フィリピンの閃光」の井上戦を「陣営は参考にすべし」と主張している。

 コラムではドネア善戦の理由を分析。WBSS開幕まで2階級上のフェザー級を主戦場としていたドネアについて「サイズのアドバンテージが存在した」と指摘。その上で「ドネアとイノウエが対決した際、ドネアはより体格が大きかった。少なくとも10ポンドは重かったと私は計算している」と推察している。

「イノウエにとってカシメロはリトマス試験紙」、井上の真価問われる試合と主張

 記事では、先月の世界ヘビー級タイトルマッチで約124キロのタイソン・フュリーが約110キロのデオンテイ・ワイルダーを倒した事実から、体重差がパンチ力に与える影響の大きさを分析している。一方、来月に迫る3団体統一戦について「イノウエ戦に挑む際、カシメロにはイノウエに対してサイズのアドバンテージがない」と断言。さらにこう続けている。

「強烈なパンチャーは通常ディフェンスとリング上での戦略性の拙さの同義とみなされるが、イノウエはドネア戦でリング上の賢さと、優秀なボクシングスキルを示した」

 それでも、現在31歳で脂の乗った3階級制覇王者カシメロにも勝機ありと主張するカリーニョ記者は「ドネア戦のあとで、イノウエにとって、カシメロはリトマス試験紙になる」としている。井上の真価が問われる試合だと主張。フィリピンでも注目を集める一戦まで残り1か月半だ。(THE ANSWER編集部)