エンジンオイルなど油脂類の交換はケチるべからず!

 クルマを所有するには、何かとお金がかかる。貧窮生活を送るなかでカーライフを充実させるのは大変なことだ。しかし、たとえ貧乏でも、好きなクルマにはいつまでも調子よく乗り続けたい。そんな人にカーライフの「ケチってもいいところとダメなところ」について説明しよう。貧窮カーライフ歴26年の筆者の経験に基づき、ポイントを挙げてみた。今回紹介するのは、1台のクルマに長く乗ることを前提とした節約ポイントである。

 まず、絶対にケチってはいけないのは、クルマのメンテナンス費用だ。具体的には消耗品の交換。とくに油脂類はケチらずに定期的な交換を励行してほしい。今も昔も、エンジンオイルは”最低でも”5000kmごと、もしくは半年に1回は交換すべきである。

 BMWなど最近の欧州車はエンジンオイルの推奨交換サイクルがかなり長くなっており、オイルの質をクルマがチェックをして劣化を知らせてくれたりするが、そういう例外を除くほとんどすべてのクルマは、やはり”最低でも”5000kmごと、もしくは半年に1回は交換すべきなのだ。

 今の新世代エンジンもエンジンオイルを無交換のまま走り続けると、確実に内部の汚れが増えたり摺動部分の摩耗や損傷を進めることになってしまう。オイル交換をケチった結果、エンジンの不調を招いたり、本来の性能が発揮されない状態に陥って、運転する楽しさを損ねることになっては元も子もない。

 サーキット走行を楽しんだり、過走行気味だったりするなど、クルマを酷使しがちな場合はエンジンオイルに気を遣いたくなるものだが、街乗りしかしなかったり、年間の走行距離が少ない場合はエンジンの負担も小さいだろうと想像しがち。また低スペックの実用車でもオイル交換は先送りにしたくなるところだが、それは大間違いだ。

 特殊な溶剤を使ったエンジン内部洗浄で定評のある埼玉県の整備ショップ、金谷オートサービスの金谷氏によると、「チョイ乗りが多い人のクルマはエンジンオイルが汚れやすい傾向がある」という。

 さらに、ハイブリッド車をはじめとするエコカーのドライバーは、全般的にエンジンオイル管理意識が低い傾向があるとも語る。とくにトヨタのハイブリッド車はエンジンがOFFになる状態が多いので、いかにもエンジンの負担は小さそうに思えるが、これが落とし穴になっているとのこと。

 エンジンの始動と停止を短時間に頻繁に繰り返すと、エンジンオイルも熱くなったり冷めたりを繰り返すことになるので、意外とオイルの劣化を招きやすいという。エコカーで大人しく走っているからといって、エンジンオイルが痛まないわけではないので、エコなカーライフを送っている人はご注意を。

 ちなみに、筆者が26年前に買った愛車の初代インプレッサWRXは、ボディ各部が腐りかけた今もエンジン本体は調子の良さを維持しているが、その秘訣のひとつは、エンジンオイルのマメな交換だといえる。新車で買ってから10年ぐらいの期間は、2000kmもしくは2カ月に1回のペースという、やや過剰なほどマメにエンジンオイルを交換してきたが、それが奏功した。そういうケースはほかにもよく聞かれるので、20年に1度しか新車が買えない人、または20年以上同じクルマに乗り続けたい場合は、エンジンオイルをはじめ、油脂類の交換をケチるべきではない。

少ない量の給油は消耗品が劣化しやすくクルマにとって悪い結果に

 油脂類以外の消耗品も、常に寿命が尽きる前に交換するのが鉄則。先送りにすると、走行中にエンコしてレッカー代や修理代など余分な費用がかかるハメになりやすい。タイヤも、磨り減ったまま走り続けるのは絶対にNG。スリップサインが出たら安物でもいいから新品、もしくは状態の良い中古品に履き替えよう。

 また、貧窮生活を送っていると、ついやってしまうのが「常に少ない量での給油」だ。エンプティランプ点灯から満タンにすると、乗用車では少なくとも5000円はかかる。ハイオクで燃料タンクが大きめのクルマでは7000〜8000円にも達してしまうので、その現実が怖くて燃料が減ったまま無理をして走り続けたり、給油しても10リットルとか1000円分とか、常に少ない量しか給油しない状況を続けてしまう気持ちはよくわかるが、それはクルマに良くないことだと認識しよう。

 古めのクルマでは燃料タンク内のたび重なる結露により錆びやすくなったり、車種によっては燃料が少ないと燃料ポンプの負担が高くなる場合もあるなど、燃料タンクや消耗品の寿命を早めてしまうことになる。

 燃料が少ないと車重は軽くなるので、燃費や運動性能の向上に繋がると言えなくもないが、消耗品が劣化しやすくなることや、災害などで突如給油できない状況が陥ったときにガソリンがなくなるリスクを思うと、できるだけ燃料は常に満タンに近い状態にしておくことが望ましい。

 筆者の経験上、節約志向のカーライフを送るにあたり第一にケチるべきは、購入時の装備や仕様だ。最近のクルマはどれだけ安いグレードでも必要最低限の装備はついてくるので、最廉価グレードの簡素な仕様でも必要にして十分な場合が多い。

 たとえばスバルの先代インプレッサG4では、最廉価の「1.6i」の上に装備がやや充実する「1.6i-L」が設定され、その価格差は15万円。新車を買うときは金銭感覚が多少マヒするので、「たかが15万円高くなる程度なら上級グレードにしよう」などと思ってしまいがちだが、15万円というお金は、冷静になって考えれば結構な大金だ。筆者が20歳代の頃の平均手取り月収に相当するし、15万円あればそこそこ立派な海外旅行が楽しめる。

 オートエアコンがマニュアルエアコンに、6スピーカーが4スピーカーに、インナードアハンドルのメッキやカップホルダーのスライドカバーがなくなるなど、そんな程度のことで15万円も安くなるなら最廉価グレードで全然OK。

 クルマで見栄を張りたい場合や、少しでも上質感を味わいたい場合はともかく、節約志向を極めたいのなら、クルマの基本性能に関係しない装備はどんどん省こう。筆者は購入後「やはり15万円余分に払って、ひとつ上のグレードにすべきだった」とは微塵も後悔しなかった。

 あと、青空駐車を前提とする場合、新車時のボディコーティングはなるべく実施したい。コーティングをすれば汚れても水洗いで済むなど洗車が楽になるし、回数も減らせるので、長い目で見たらお金と時間の節約につながる。

 手先が器用でDIYが得意な人なら、ボディコーティングは自分で作業しても良い。当然プロよりも仕上がりは落ちるが、最近のコーティング剤は作業しやすく、Web動画などでコツやノウハウが得られるので、10万円ほどの節約になると思えば自分でやる価値は高い。