南極で過去最高18.3℃・737MAXにまたバグ・SpaceXが衛星インターネット分社化を計画: #egjp 週末版202
拾いきれなかったけど気になったニュースをダイジェスト形式でお届けします。今週は「南極で18.2℃」、「737MAXにまたバグ」、「SpaceXの衛星インターネット計画が分社化?」など5つのネタをまとめました。

ニュージーランドでフライングタクシーが試験飛行を開始


2016年にGoogleの共同創業者ラリー・ペイジが出資して設立されたKitty HawkとボーイングとのジョイントベンチャーWiskが、その電動航空機に実際に人を乗せる実証試験をニュージーランドで行うことになりました。

試験に臨むのは、Googleの自動運転車開発子会社Waymoを率いたセバスチアン・スランが指揮するWiskが開発した2人乗りの電動自律飛行機Cora。この飛行機はモバイルアプリで呼び出し、自動操縦と人間による遠隔操縦を組合せたフライングタクシーサービスの提供を目標としています。

フライングタクシーは着々と現実のものになりつつあり、独Volocopterは最初の商用フライングタクシーVoloCityを2019年8月に発表しています。一方米UberもCES 2019でパートナー企業のBellとともにフライングタクシーNexusを発表し、2020年代半ばまでに実用化させると述べていました。

フライングタクシー、ドローンタクシーと呼ばれる数々のプロジェクトは、これまでにない形態の新しい交通です。それらは資金面や技術面、法規上の問題、インフラ整備の問題など数々の困難をクリアしつつも実用化に向けて進んでおり、ひとたびどこかの企業が商業運用を開始すれば、おそらく急速に業界が立ち上がることになりそうです。

Googleの成層圏インターネットプロジェクトLoonが気球からドローンに鞍替え


Googleの成層圏気球インターネットプロジェクトLoonは、2019年4月にソフトバンクの「High Altitude Platfrom Station(成層圏プラットフォーム)」、略称HAPSとの提携を発表しました。そしていま、両者はソーラー無人機HAWK30が搭載する通信システムの開発が完了したと発表しています。

この通信システムはミリ波を使用し、最大700km離れた場所との間でP2P接続を確立し、最大1Gbpsでデータ伝送が可能。HAWK30は上空を100km/h以上の速度で飛行するため、最適な通信のためには飛行中の位置に合わせてアンテナを常に最適な方向へ向ける機構と空力的に考慮されたハウジングを備える必要がありました。

このアンテナにより、HAWK30は既存の地上の基地局から遠く離れた位置に生活する大勢のスマートフォンユーザーに対して、インターネット接続を提供することが可能になります。HAWK30が正式に配備される時期についてはまだ明らかではないものの、Loonは今後このシステムについてさらに詳細を公開していく予定です。

SpaceX、衛星インターネットのStarlinkのスピンオフを計画


イーロン・マスクCEOは、火星への定期便を実現するまでSpaceXの株式を公開しないと言っていましたが、もしかするとSpaceXの一部だった企業の株式は早い段階で所有できるようになるかもしれません。SpaceXはQuartzに対し数年のうちにStarlinkを分社化、株式公開を検討中であること認めました。

Starlinkは2019年に300基の通信衛星をすでに打ち上げており、2020年半ばまでにはその数が1万2000基に達する可能性もあります。SpaceXはこの夏にも衛星インターネットを提供開始したいと述べています。

ショットウェル社長は、Starlinkのコストが安価でなおかつ高速だと述べ、高い収益性に期待を寄せています。そして、マスクCEOが以前語ったところでは、その収益は将来SpaceXが火星に居住地を建設するときの資金にするとも述べています。

ボーイング737MAXソフトウェアに新たなバグ見つかる


2度の墜落事故で合計346人もの死者を出して以来、ボーイング737MAXは再び運行できる日を目指して安全性確保に取り組んでいますが、また新たなソフトウェアの問題が見つかりました。今回発見された問題は「スタビライザー・トリム・システム」のインジケーターランプが、本来の目的と異なるタイミングで点灯するというもの。

ボーイングはすでに問題を解決しており、2020年の半ばを目標とする737MAXは飛行再開時期には変わりありません。ただ、実際には米国内外の航空当局による承認や航空会社それぞれの確認作業など様々なハードルをクリアする必要があります。

南極で過去最高気温18.3度を記録


南極大陸西部にある南極半島の北端に位置する、アルゼンチンのエスペランサ研究基地で、外気温が18.3℃を記録しました。これは2015年に記録した17.5°Cをさらに上回る、現地の過去最高気温です。

国連の世界気象機関によれば、2019年は世界が過去2番目に暑かった年でした。2020年の1月も記録が残る中ではもっとも暑い1月だったとされます。そして南極半島は地球上でもっとも温暖化が急速に進行しつつある地域のひとつであることを考えると、今回の最高気温の記録もさほど驚くほどのことではないのかもしれません。南極半島では過去50年間で平均気温が3℃も上昇し、1979年に比べると2019年に南極の氷床から消えた氷の量は6倍になりました。

南極半島における18.3℃という気温が本当に正しいかはこれから検証する必要がありますが、研究者らは「ここ最近に見たものすべてがこの記録が正当である可能性を示している」と述べ、当初の予測よりも温暖化が早くなっているとしています。
Source: 1.Wisk, 2.Loon, 3.Quartz, 4.Bloomberg, 5.World Meteorological Organization