「地方生まれは負け組」東京コンプレックスをこじらせた女性の上京生活
 地方出身の有名人はたくさんいますが、成功を目指す人からすると、もともと東京に住んでいる人のほうが有利だと思うこともあるようです。それが本当なのか、ただのコンプレックスなのかは、難しいところですがーー。

 九州北部地方出身で女優を目指しているという華さん(仮名・26歳)は、「地方に生まれただけで負け組。都会に住んでいる人は、それだけで勝ち組ですよね……私なんて、最初からハンデを背負っているので」と語り始めます。

 華さんは、目はぱっちりとしたキレイな二重。やや小柄ながら、スタイル抜群、オシャレでとても魅力的です。しかし、その魅力が半減してしまうほど、表情は暗く、雰囲気もどんよりとしています。なぜ女優を志したのか聞くと、ぽつぽつと話し出しました。

◆上京したら貯金ゼロに。夢を追いかけるどころじゃなくなった

「絶対に女優になりたいという夢は、子どもの頃からずっと持っていましたね。成長期が過ぎても小柄なままだったので諦めかけましたが、同じ九州出身の深津絵里さんに希望をもらいました。深津さんは、女優としては156cmと小柄ですけど、存在感抜群ですよね。深津さんのような女優になるために、1日でも早く上京したかったです。でも、私の両親は、『上京したいなら、自分でなんとかしろ』の一点張りで。仕方がないから、高校生の頃からバイトをしまくってお金を貯めて、大学卒業後にやっと上京することができたんです」

 上京費用を自分で工面した華さんは、素直にすごいですよね。ところが、華さんは「上京したこと自体を今は少し後悔している」と嘆きます。

◆上京するのが遅すぎた……「26歳なんてオバサンです」

「上京したら貯金はすっからかんになりました。それから数年間、バイトを掛け持ちして毎日毎日休みなく働いても、生きていくだけで精一杯なんです。地道に努力していけば、いつかは報われると信じていたいです。でも、オーディションの年齢制限に引っかかってしまうことも、年々増えてきてしまって。

 成人してから上京し、女優を本格的に目指すというのは、あまりにも遅すぎたんですね……。憧れの深津さんは、10代前半のうちに東京で開催されたオーディションに合格。その後芸能界入りしていたと知り、『結局、早いうちに上京していないとダメだったんだ』と絶望しました」

 まだ華さんも充分若いのでは、と筆者が言うと、「もう全然若くない。オバサンです」と、華さんはますます暗い表情になりました。

◆東京生まれ東京育ちがねたましい

「私の周りの女優を目指している人たちは、それこそ幼少期からレッスンを本格的にしていたり、なんらかのチャンスに恵まれてきたりしている人ばかりなんです。有名なドラマや舞台の出演経験が何度もある、なんていう人もザラで。

『オバサンになってから夢を追いかけるとか、恥ずかしくないの?』だなんて、自分よりずっと年下の子に言われたこともあります。ひどい言葉をかけられたのは、一度や二度のことじゃないんです。言ってくる人たちは、まず間違いなく東京生まれ東京育ちですね。私と立場を交換してほしいですよ」

 しばし無言の時間が続いてから、「でも最近、いいこともあったんですよ」と、目に見えて明るい表情になって、華さんは改めて話し出しました。

◆憧れの深津さんと共演するまでは頑張りたい

「上京してから知り合った方の小劇団のオーディションを受けたら、とある役に合格したんです。正直、知り合いだから甘く審査してくれたのかと思っていました。そうしたら先日主宰に、『華のことは実力で選んだんだから、死ぬ気で役を演じろ』と、激励されたんです。うれしかったですね。舞台稽古がはじまってさらに忙しくなり、生活自体はよけいに大変になってしまいました。だけど、舞台が終わるまでは、まだ東京で頑張るつもりです」

 そう一気に話してから、少し考えた様子で、「せめて、憧れの深津さんと共演するまでは、頑張りたいですね」と笑って、華さんは話を終えました。芸能界で成功するということは、地方出身であろうと、元々都心住まいであろうと、困難な道のりであることは間違いありません。都会へのコンプレックスをこじらせず、華さんの夢が叶うことを応援するばかりです。

―シリーズ「地方の闇/都会の闇」―

<文/女子SPA!編集部・イラスト/カツオ>

【女子SPA!編集部】
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