キャンプ人気が高まっています。アメリカに暮らすライターのNorikoさんは、日本とアメリカのキャンプが全然違うことに驚いたそう。
ここではアメリカ流キャンプの楽しみ方をレポートしてもらいました。


アメリカのキャンプはシンプル主義

アメリカ流のキャンプを楽しむ。大自然の中でシンプル&イージーに



●日本でのキャンピング体験にビックリ!

アメリカ・シアトルに住む私は、毎年のように家族でキャンプに出かけます。
日本でたまたまキャンプに誘われて参加することがあったのですが、アメリカのキャンプとは全然種類が違うことに驚きました。


1回は、キャビンに泊まり、敷地内にある施設でジンギスカンを食べました。材料から道具まで全部用意されていて、私たちはただ焼くだけのスタイルです。
もう1回は、やはりキャビンに泊まり、持参したグリルやコンロ、鍋、炊飯器で、バーベキューからカレーライスまでのフルコースをがっつり料理して、お酒を飲みながら楽しみました。

お風呂まである至れりつくせりのキャンプ場は、コストにもはね返っているようです。キャンプなのに、いろいろ経費がかかってお値段はビジネスホテル以上!? かなりのカルチャーショックを受けました。

●シンプル&イージーがアメリカ流


アメリカでのキャンプは簡単でシンプルです。多くの公共キャンプ場で個々に提供されているのは、テントを張ったり、キャンピングカーを停めたりできる、広々とした平らな空間。そこには大抵、薪をくべて調理が可能なファイヤーピットと、大きなピクニックテーブルがあります。

近くに設置された水栓、ゴミ捨て場、トイレ、トークン式のシャワーは共用ですが、きちんと管理されているので清潔です。基本、これだけ。それでも、木々に囲まれたセミプライベート空間で、ゆったりのんびりと過ごせるのが、アメリカのキャンプの醍醐味です。

キャンプ場使用料は1ユニットにつき、ひと晩20ドル前後と、あらゆる宿泊手段のなかでも低コストのため、長期、各地を転々とするバケーション、大家族にも向いています。
もちろん、日本でもはやっている豪華キャンプ施設「グランピング」もありですし、ほぼ「移動する家」というなにからなにまでそろったキャンピングトレーラーで寝泊まりする人もいるのですが、あくまで一部の話。

庶民は、自然豊かな国立公園や州立公園、あるいは全国チェーンのキャンプ場でファミリーキャンプ、カップルキャンプ、あるいはソロキャンプを手軽に楽しむわけです。

●大自然の中で、特別なことはいらない


自然の中で寝泊まりするというだけで、すでに非日常なのですから、いろいろ欲張らなくても、それだけで楽しい。とくに子どもはそうですね。
ビーチで遊んだり、切り株に登ってみたり、自転車やスクーターでキャンプ場内の車道をぐるぐる走ったり。電話もWi-Fiも届かない環境で、スマホやゲームのない生活を満喫しています。

私も最初の頃は日本人的発想(?)で、「せっかくだからパエリアをつくろう。材料もそろえて、家で切って持っていくと便利かも」とか、「キャンプはやっぱりカレーライスが食べたいな。野外でのご飯の炊き方をメモしておこう」とか、いろいろはりきって準備していたのですが、最近は収納にしまってある、昨年使ったキャンプ用品をそのまま車に積むだけ。

料理も、基本「焼くだけ」に徹しています。


キャンプ場は大抵、人里離れた森の中にありますが、車で30分圏内にはさすがにスーパーマーケットや食料品店はあるものです。
そこで、肉、野菜、スモア用のマシュマロ、クラッカー、チョコレート、朝食用の卵とハム、ジュース、冷えたビールと氷をみつくろって買い出しは終了。今年のキャンプでは、家から冷蔵庫に入っていた残り物の野菜も持っていきました。

ジャガイモは、アルミホイルにくるんで焼くとホクホクに。ニンニクは、味のアクセントとして投入。アボカドは切るだけで、サラダになります。
シンプルな料理でも、薪の直火で焼いて、自然の中でアツアツを食べれば、なんでもごちそうに。

●節約できて荷物にならないから、わが家ではこれを活用!


キャンプを重ねていくうちに、意外とかさばるのが調味料の類だと気づきました。そのため、わが家では、毎年のキャンプに向けて、持ち帰りの食事や宅配ミールキットについてくる調味料の小袋、試供品などをためておきます。

本当は塩・コショウだけでも十分なのでしょうが、やっぱりしょうゆもあればいいな、マヨネーズも欲しいな、というところはありますので。買い出し時にわざわざ買うにはボトルも大きいし、余計な出費になるので躊躇しますが、これなら思う存分使えます。

料理は子どもと一緒に。クッキング・クラスに参加した息子は、さすが、野菜を切るのも、卵を割るのも上手で感心しました。ニンニクはナイフの背で潰してから輪切りにするなど、7歳にしては渋いテクニックも見せてくれました。

いつもは苦手なのに、自分で切ったピーマンも食べられた! 定点観測ではありませんが、こうした子どもの成長を毎年のキャンプで見られるのは、楽しみのひとつですね。



【Norikoさん】
アメリカ・シアトル在住。現地の日系タウン誌編集長職を経てフリーランス・エディター/ライターとなり、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『アメリカ西海岸ママ〜日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産〜
』(海外書き人クラブ刊)、共著書に『ビックリ!!世界の小学生』
(角川つばさ文庫)