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 老後資金に2千万円が必要と話題になって以来、よその家庭の貯金額が気になる人も多いはず。

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 2人以上世帯の2012〜2016年の平均値で調べたところ、貯蓄額1位は奈良で金額は2338万円。2位以下は僅差で東京、兵庫、神奈川、埼玉が続く。

 統計ジャーナリスト・久保哲朗さんいわく「大都市とその周辺が占めていて、大企業が多く給料も高いからでしょう」と驚きのない順位だ。

 ただ、県民博士の矢野新一さんによれば奈良県民は昔からお金のやりくりがうまく、多くの県民は大阪のベッドタウンとして栄えはじめた際にマイホームを購入しているので、支出のうち住居費の割合が低い。しっかりと貯め込む基盤ができているようだ。

女性の教育に力を入れてきたアノ県

 そして、家計のおもしろネタとしては世帯主(多くは夫)の小遣いがある。

 金額は年間なので月額にすると高くはないが、これは「世帯主自らが家計管理をして小遣い制ではないケースが0円となって、平均値を引き下げていると考えられる」と、前出の久保さん。

 香川が1位を獲得した要因について矢野さんはこう分析する。

「女性の教育に力を入れてきた県。“夫を立てる良き妻”が夫に多めのお小遣いを渡すのはその成果かも。貯蓄額でも全国8位と、大都市とベッドタウン以外で唯一、上位入りしています」

 2位の鹿児島は“薩摩隼人”と呼ばれる男性が強い県なので、納得の順位だそうだ。

「近年は控えめな気質の“鹿児島おごじょ”も強くなってきた。今後は薩摩隼人のお小遣いも減っていくかもしれませんね(笑)」(矢野さん)

衣服・靴代のトップは徳島!

 お次は、家計の具体的な支出に注目。気になるのは、大都市・東京、神奈川をおさえた徳島の、衣服・靴代のダントツトップである。

 この圧倒的な金額はどういうことか尋ねると、矢野さんは「阿波踊りのためです」と一発解説!

 このデータには和服なども含まれていて、特に女性の衣服・靴代がずぬけて高いのだ。

 聞けば、徳島では1年のほとんどを阿波踊りの練習に費やすほどの大切な行事。子どものころからおばあちゃんになるまで、その習慣が続くそう。

 晴れ舞台のためには散財もやむなしと、太っ腹なのだ。気っ風がいいね!

「阿波踊りの衣類だけでなく小さなころからお化粧をする習慣もついている。自然と『女らしさ』への意識が高くなって、ふだんからおしゃれな衣服も購入するようになったのでは」(矢野さん、以下同)

 そのためか、化粧品の購入費用でも全国2位だ。また徳島は美人の産地としても有名。

 江戸時代には“徳島商人”と呼ばれた徳島の男たちが全国を飛び回り、各地から美女を妻として連れ帰ってきたので美人が多いそう。

「そうした“徳島美人”としての装いが現在も継承されている側面もあるのでしょう」

 ちなみに徳島美人をおさえての化粧品代1位は広島県。

 個々のデータ数値のバラツキが少なく、西日本の新商品マーケティングのメッカとなっているのが広島だ。出身者によれば、広島女子は新し物好きで好奇心旺盛。

 限定カラーや新色、個数限定にはついつい飛びついてしまうそうなので、この順位も自然な結果なのかもしれない。

(※)この特集の消費量、店舗数、金額などは原則として人口(世帯)比です

《PROFILE》
矢野新一さん ●(株)ナンバーワン戦略研究所所長。神奈川県出身。マーケティング販売戦略指導者。“県民性博士”として著書多数。県民性スマホアプリの解説も担う

久保哲朗さん ●統計ジャーナリスト。佐賀県出身。人口あたり統計で比較する都道府県ランキングサイトの草分け的存在。著書に『47都道府県の偏差値 』(小学館)など

出典/『統計から読み解く47都道府県ランキング』(日東書院)、ウェブサイト『都道府県別統計とランキングで見る県民性』https://todo-ran.com/ 、総務省統計局ホームページ『なるほど統計学園』https://www.stat.go.jp/naruhodo/ 、『社会生活基本調査から分かる47都道府県ランキング