過酷な荷降ろし、長距離運転、睡眠不足、トイレ不足……ドライバーの健康管理は自己責任だけに任せてはあまりに重荷になってしまう (写真/ドライバー提供)

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「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。

 前回は、「ETCの深夜割引がトラックドライバーにもたらす弊害」について紹介したが、今回は、不規則な生活や肉体労働に対峙するトラックドライバーの「職業病」について述べていきたい。

◆ドライバー自身が語る、身体の悩みとは?

 これまでにも紹介した通り、トラックドライバーの仕事は拘束時間が長いうえ、運転以外にも実質的に「手積み・降ろし」などの力仕事が業務として含まれることがある。

 そうなると、どうしても避けられないのが「肉体疲労」や「体調不良」だ。

 今回、SNSや高速道路のサービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)で出会った現役のトラックドライバーに、自身が抱える「職業病」について聞いてみたところ、さまざまな病名・症状が返ってきたので、一部を紹介しよう。

1.腰痛

 中でも、「もはや抱えていない人はいないのでは」、と思うほど多かったのが、腰痛だ。
「座りっぱなしでの長時間運転」からの「荷物の積み降ろし作業」。凝り固まった体をいきなり動かせば、普段どれほど体を鍛えている人でも腰を悪くする。

 現役時代、筆者が積んでいたのは金型だったゆえ、手荷役(手での積み降ろし)はほとんどなかったが、それでも突然の相対する動作に体が追い付かず、やはりこの腰痛には悩まされた。

 ちなみに、女性である筆者は、周囲の男性ドライバーと骨格の造りが違うのか、ただただ純粋に自身の足が短いからなのかは謎だが、大型トラックの運転席に腰を掛けると、どうしても足がアクセルやクラッチペダルに届かず、背もたれを常時「ほぼ垂直」にして着席。15分も走れば、すでにストレッチが必要な状態だった。

2.歯のトラブル

 トラックドライバーには、歯が悪い人が非常に多い。

 現役当時、同じ時間、同じSA・PAに行くと、筆者の到着を待ってくれているおっちゃんトラックドライバーが数名いたのだが、その中に、前歯が全部ない先輩ドライバーがいた。すごく優しい人だったのだが、正直、彼が何を言ってるのか最後まで分からなかった。

 歯のトラブルは、不規則な生活ゆえに歯を磨くタイミングがなかったり、歯を食いしばって重いモノを持ち上げたりすることが多いトラックドライバーにとっては、口の中の「隠れた職業病」だといえる。

 それでも早めに治療できればいいのだが、長距離ドライバーなどは労働時間の都合上、定期的に歯医者に通いにくく、その結果、重症化するケースも少なくない。

 前出の先輩ドライバーに前歯がないことは、決して笑い話なだけではないのだ。

◆トイレに行けず便秘になる人も

3.肥満

 手荷役などの肉体労働も多いトラックドライバーだが、それでも職業病に「肥満」を挙げる人が少なくないのは、やはり走行中でも「口」が唯一自由に動かせるパーツだからだろう。

 以前にも紹介した通り、「眠気対策」として食べすぎないようにするドライバーがいる一方、運転しながらスナック菓子や軽食などを食べることで「こめかみ」を動かし、居眠り運転を防ぐ「食べる派」もいるのだ。

 また、「この仕事の唯一の特権は、各地のご当地グルメを食べられること」とするドライバーが多いことに鑑みると、「食べること」がいわば、仕事のストレスのはけ口になりやすい環境にあるとも言えるだろう。

4.便秘

 一般的には女性に多い症状である「便秘」だが、今回のアンケートでは、男性トラックドライバーにも同症状に悩まされている人が意外に多いことが分かった。

 以前にも言及したが、トラックは「走る」よりも「停まる」ほうが難しい。