タイトル奪取はほぼ確定!? 月間MVP複数回受賞選手のその後

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◆ 今季2度目の月間MVPが2人

 巨人に移籍して3年目を迎えた、山口俊の勢いが止まらない。

 背番号を、横浜・DeNAから慣れ親しんだ「11」に変更した今季は、本拠地開幕戦となった4月2日の阪神戦で初勝利を飾ると、4月だけで4勝1敗、防御率1.59という好投を見せ、3・4月の月間MVPを受賞。その後も巨人の先発ローテーションを守り抜き、6月30日のヤクルト戦は7回を投げて無失点、被安打3という内容でシーズン8勝目を飾った(その後、7月5日のDeNA戦で9勝目をマーク)。

 この日の投球を含め、6月は4勝0敗、防御率は驚異の0.77という圧倒的な成績を残し、山口が今季2度目の月間MVPを受賞。自身2度目となる1シーズン2度の月間MVP受賞を果たした。

 また、パ・リーグでもソフトバンクの千賀滉大投手が先月に続いて2カ月連続の受賞。6月14日のDeNA戦でソトに満塁ホームランを打たれ、6回5失点で敗戦投手となったが、今季は15試合中14試合でクオリティスタートを達成するなど、自身の好不調に関わらず試合を作ってきた。

 1シーズンの中で月間MVPを複数回受賞するということは、高いレベルを一定期間に渡って維持しているということ。今回は、過去にそういった選手たちが、どのようなシーズンを送ってきたのかを振り返ってみたい。

◆ 山口は初の主要タイトルも?!

 ちなみに直近5シーズン(2014年〜2018年)を振り返ると、8選手が1シーズン中に月間MVPを複数回受賞している。該当選手選手たちの受賞月と、シーズン終了時の成績は以下のとおり。

<2014年>

▼ 山口 俊(DeNA)

月間MVP:6月、8月

シーズン成績:33登板 8勝5敗3ホールド 防御率2.90

獲得タイトル:なし

▼ 金子千尋(オリックス)

月間MVP:8月、9月

シーズン成績:26登板 16勝5敗 防御率1.98

獲得タイトル:最多勝、最優秀防御率、沢村賞、リーグMVP

<2015年>

▼ 山田哲人(ヤクルト)

月間MVP:7月、8月、9月

シーズン成績:143試合 打率.329 38本塁打 100打点 34盗塁

獲得タイトル:本塁打王、盗塁王、最高出塁率、リーグMVP

※トリプルスリー達成

▼ 秋山翔吾(西武)

月間MVP:3・4月、6月

シーズン成績:143試合 打率.359 14本塁打 55打点

獲得タイトル:最多安打獲得

※シーズン最多安打記録更新

▼ 柳田悠岐(ソフトバンク)

月間MVP:8月、9月

シーズン成績:138試合 打率.363 34本塁打 99打点 32盗塁

獲得タイトル:首位打者、リーグMVP

※トリプルスリー達成

<2016年>

該当者なし

<2017年>

▼ 菅野智之(巨人)

月間MVP:5月、7月

シーズン成績:25登板 17勝5敗 防御率1.59

獲得タイトル:最多勝、最優秀防御率、沢村賞獲得

▼ 山川穂高(西武)

月間MVP:8月、9月

シーズン成績:78試合 打率.298 23本塁打 61打点

獲得タイトル:なし

<2018年>

▼ 多和田真三郎(西武)

月間MVP:3・4月、9月

シーズン成績:26登板 16勝5敗 防御率3.81

獲得タイトル:最多勝獲得

▼ 山川穂高(西武)

月間MVP:3・4月、9月

シーズン成績:143試合 打率.281 47本塁打 124打点

獲得タイトル:本塁打王、リーグMVP

 主要タイトルを獲得したケースは9回中7度。さらに4人がシーズンを通じたリーグMVPを受賞しており、シーズンを通して好成績を残しているケースが多い。ちなみに山口は、前述したようにDeNA時代の2014年にも月間MVPを2度受賞しているが、タイトル獲得はならなかった。

 この年の山口は、開幕直後はクローザーとして起用されながらも、セーブ失敗が続いたことで6月から先発に転向。それが功を奏して、6月と8月に月間MVPを受賞するという浮き沈みの激しい年だった。また、2017年の山川もシーズン途中からスタメンに定着しており、タイトル獲得には至っていない。

 しかし、今季の山口は序盤から先発として結果を残し続けており、この後も一定の結果を残していくことができれば、プロ14年目にして初となる投手主要タイトルの獲得も現実味を帯びてくる。

<セ主要タイトルの現状>

▼ セ防御率トップ3

2.01 山口 俊(巨人)

2.66 今永昇太(DeNA)

2.73 柳 裕也(中日)

▼ セ勝利数トップ3

9勝 山口 俊(巨人)

9勝 柳 裕也(中日)

8勝 今永昇太(DeNA)

8勝 菅野智之(巨人)

▼ セ勝率トップ3

.818 山口 俊(巨人)

.818 柳 裕也(中日)

.667 今永昇太(DeNA)

.667 菅野智之(巨人)

▼ セ奪三振トップ3

118個 今永昇太(DeNA)

106個 山口 俊(巨人)

103個 大野雄大(中日)

<パ主要タイトルの現状>

▼ パ防御率トップ3

1.92 山本由伸(オリックス)

1.97 千賀滉大(ソフトバンク)

2.23 有原航平(日本ハム)

▼ パ勝利数トップ3

9勝 千賀滉大(ソフトバンク)

9勝 有原航平(日本ハム)

8勝 高橋 礼(ソフトバンク)

▼ パ勝率トップ3

.818 千賀滉大(ソフトバンク)

.750 山岡泰輔(オリックス)

.714 大竹耕太郎(ソフトバンク)

▼ パ奪三振トップ3

138個 千賀滉大(ソフトバンク)

102個 有原航平(日本ハム)

86個 山本由伸(オリックス)

86個 二木康太(ロッテ)

文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)