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ファーウェイが海外で10月に発表したフラッグシップモデルのうち、Mate 20 Xは7.2インチという巨大なディスプレイを搭載した製品です。スマートフォンの画面サイズは2017年後半から縦横の比率がワイドサイズに変わり始めてから急激に大型化していますが、ここまで大きい製品はなかなかありません。

このMate 20 Xは大きい画面が使えるスマートフォンであるだけではなく、別売のスタイラスペンを使って文字入力などが可能です。またゲームパッドも用意されゲームマシンとしても使えるのです。特に最近のゲームは4本指操作するものも増えていることから、画面サイズの大きいMate 20 Xはゲーム端末にも向いていそうです。

10月にロンドンで行われたMate 20シリーズ(Mate 20、Mate 20 Pro、Mate 20 RS、Mate 20X)の発表会では、Mate 20 Xの比較としてなんとNintendo Switchが取り上げられました。子供から大人までが楽しめるSwitchと、スマートフォン単体でも高スペックなMate 20 Xではターゲットユーザーも違いますし、価格も倍以上違います。しかしファーウェイはこのMate 20 Xをスマートフォンゲームユーザーに使ってほしい、そう考えているのでしょう。

それではMate 20 Xは今までのスマートフォンにはない新しい使い方がどの程度できるのでしょうか? まずはペンが使えるスマートフォンとして有名な、Galaxy Note9との比較をしてみましょう。果たしてMate 20 XはGalaxy Noteシリーズに取って代わる製品になれるのでしょうか?

Galaxy Note9のディスプレイサイズは6.4インチで、Mate 20 Xの7.2インチと比べると一回り以上小型です。ペンでメモを書くときはNote9のサイズでも十分でしょうが。より広いMate 20 Xのほうが多くの情報を一画面に書き込めそうです。CPUのスペックはどちらもハイエンドなので互角とみていいでしょう。

Galaxy Note9はペンを本体に収納できるため、ペンを紛失する恐れがありません。またペンは充電しなくても使えますし、充電すればBluetoothリモコンにもなります。充電は本体にさすだけと簡単。このあたりはペン付きスマートフォンを長年作り続けてきたサムスンだけに多くのノウハウが詰まっています。

Mate 20 Xはペンにクリップがあり、胸ポケットなどに留めておけます。充電が必要ですが、一般的なペンとほぼ同じ太さのため握りやすく、細かい文字も書きやすそうです。

実際にMate 20 Xを手にしてこのM-Penで書いてみると、Galaxy Note9よりも広い画面を隅々まで有効利用でき、メモとしての使い勝手は高いと感じられます。その反面、ペン先が固いために、ペンで書いているというよりも、先のとがった固いピンをガラスの上で滑らせているような感覚です。

Note9のペン「S-Pen」はワコムの技術を使ったもので、もともとペンタブレット用に開発されたこともあり、ペン先は柔らかく書き味に不満はありません。Mate 20 XのM-Penはファーウェイのタブレット用のペンを流用したもののようで、手書きよりも画面タッチ操作を考えたものかもしれません。なおファーウェイのノートPC「Mate Book」シリーズに使われているペンとM-Penは異なるものです。

比較してみると、手書きできるスマートフォンとしての使い勝手はGalaxy Note9のほうが高いと感じられます。Mate 20 Xは今後ペン先を柔らかくし本物のペンのような書き味が体験できるペンを開発すべきでしょう。Mate 20 Xを片手で持ってノートとして使ってみると決してサイズが大きいとは感じられません。ペンが改善されればGalaxy Noteシリーズの最強のライバルとなりそうです。

それでは次に、Mate 20 XがSwitchのライバルになるかどうかを考察してみます。Mate 20 Xには純正扱い(製造は他社)のゲームパッドも用意されています。こちらはMate 20 Xの片側に刺して使用します。そのためよく使う左側のゲームコントロールを専用パッドで操作し、右側は指先で操作する形となります。

スマートフォンのヘビーゲーム(バトルロイヤル系)をするのは適していそうですが、ライトゲームをするのにMate 20 Xを使うのはオーバースペックともいえます。今後Mate 20 Xを左右から挟むコントローラーが出てくればスイッチと似た感覚で操作できますが、そうなると全体のサイズが左右により長くなってしまいます。このあたりは初めから左右のコントローラーを取り付けることを考えていたゲーム専用機であるSwitchに敵わないところでしょう。

とはいえ「PUBG」などの対戦ゲームはいまや世界中でブームになっています。Mate 20 Xの大きい画面と高速CPUは、そんな高性能なゲームをプレイするのに適しています。つまりMate 20 Xの目指す方向はSwitchではなく、むしろ他社から出てきているゲーミングスマートフォンと言えます。もしかすると将来、Mate 20 Xゲーミングエディション、なんてゲームに特化したスペシャル版が出てくるかもしれません。