痛恨のミスで失点を献上すれば、カバーニ(左)と丁々発止のバトルも。三浦にとってウルグアイ戦は実に出入りの激しい90分間だった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンチャレンジカップ2018]日本 4-3 ウルグアイ/10月16日/埼スタ
 
 2-1で迎えた57分、埼玉スタジアムが特大の溜め息に包まれる。
 
 日本代表のCB三浦弦太がGK東口順昭に送ったバックパスをエディンソン・カバーニにかっさらわれ、なんとゴールに蹴り込まれたのだ。ガンバ大阪で十二分な連携を構築しているはずのコンビが、イケイケムードの森保ジャパンに水を差した。誰もが「なにやってんだ!」と呟いたはずだ。
 
 三浦はあの瞬間を「正直、誰かがいるとは思ってなくて出してしまった」と振り返り、「結果的に勝ったから良かったものの、試合の流れを変えていたかもしれない。あってはならないプレーでした」と猛省。「Jリーグでやるのと日本代表でやるのとではまったく大きさが違う」と付け加え、直後に勝ち越しゴールを決めた“後輩”堂安律に対しては「感謝しかありません」と苦笑した。
 
 まさかのパスを送られた東口は「コーチングできたら良かったんですけど、気づいた時には手遅れでした。あれはアカンやろ、と弦太には言うておきました」と、試合後に軽くお灸をすえた事実を明かしている。
 
 だが、三浦の切り替えは迅速だった。「みんなから気にするなって声を掛けてもらえたんで」と話し、何事もなかったかのように淡々とゲームに集中したのだ。元日本代表CBで解説者の秋田豊氏も「ミスは良くないんだけど、あのリカバリーは大したものだった。普通なら引きずるはずだけど、あそこが三浦の強さ。メンタルの強さだと思う」と感心しきりだった。

 
 90分を通してみれば、やはりあのミスは致命的と言わざるを得ない。しかし、ウルグアイ代表のターゲットマンであるカバーニとのマッチアップは見応えがあり、ほとんどの競り合いで三浦が優位に立った。ガンバが誇る守備の要は、「楽しかった」と振り返る。
 
「長いボールが入った時のカバーニのボールの受け方とか、Jリーグじゃお目にかかれないレベルだと思うんです。強さもあるし、裏に抜け出す怖さもある。たしかにミスはあったんですけど、自分としては集中を切らすことなく90分間楽しくやれた。ああいう選手と日本代表として戦った時に、どう抑えていくかが、これからの僕にとっては大事。普段から意識していく上でも、すごく良い経験をさせてもらいました。多くのチャンスを与えなかったという手応えはありますけど、実際には3失点しているわけで、その事実もしっかり受け止めたい」
 
 では、具体的にどんなところで“楽しんだ”のか?
 
「自分の良さはインターセプトにある。そこをしっかり狙いながら、(カバーニとの)駆け引きを楽しめました。ボールの収め方だったり、常に怖いポジションに入ってきたり、そうした対応をするなかで、自分の強みも出せたのかなと思います。(吉田)麻也さんとコミュニケ―ションを取りながら、好きにはさせなかったというのはあります」
 
 今シリーズでは吉田麻也が主将を務め、19歳の冨安健洋がコスタリカ戦で出色の出来を披露。槙野智章が健在ぶりを示し、今回は未招集ながら昌子源、植田直通らも控える。アジアカップに向けたCBのレギュラー争いは今後さらに激化の一途を辿るだろう。
 
 その点で、痛恨のミスを含めて三浦がウルグアイ戦で得た収穫と手応えは、決して小さくなかったはずだ。
 
取材・文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

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