東京五輪世代で最注目は堂安。かつての本田のように、オランダリーグで名声を高める。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップではベスト16に進出したとはいえ、ベルギーに2点のリードをひっくり返されて敗戦。世界の強国との差を痛感させられた。しかし、そんな日本代表に新しい風が吹き込まれるかもしれない。

 変革の予感を抱かせるのが、東京五輪世代と呼ばれる1997年以降生まれのタレントたち。とりわけ、森保一体制の初陣メンバーに選出された3人は個性派揃い。類稀な攻撃センスとカリスマ性を備える堂安律(フローニンヘン)、ドイツで大きな存在感を示している技巧派ドリブラー伊藤達哉(ハンブルク)、身長188センチでドッシリとしたスケール感を漂わせるCB冨安健洋(シント=トロイデン)だ。

 いずれも海外で揉まれ、現在進行形で飛躍的に成長し続けているキラ星のごとき逸材たち。本田圭佑や長谷部誠など、シンボル的な存在がいなくなった代表の新たな旗手になる可能性は十分にあるだろう。
 
 特筆すべきは、そのメンタリティ。年上ばかりの代表チームに入っても、堂々と振る舞い、自分の持ち味を打ち出そうと意欲的だ。
 
 伊藤が「団体の中で自分の色をどれだけ出せるか。そういう意味では、個人スポーツのメンタリティみたいな、ちょっとエゴイストになるところも必要になってくることもあるかもしれない」と語れば、堂安も9月9日のコスタリカ戦に向けたトレーニング後こんなことを言っていた。
 
「今日の練習では、周りに合わせてもらうようなプレーをしようと意識していました。自分がチームメイトに合わすのではなくて、自分から動き出す。たとえズレても良いから、『俺の動きはこうだよ』と。それがチームメイトともすごく合っていたし、フィーリングも良かった。コンビネーションからの得点も期待してもらっていいです」
 
 さらにDFの冨安も「初めて組ませてもらう方ばかり。ただ先輩の感覚もあれば、僕の感覚もある。そういうところは意見を聞きながら、僕からもこうしたいと主張していかないといけないと思っています」と語っている。
 若くして海外でプレーしているからか、主張する重要性を身に染みて感じているのだろう。チームというものは、こうしたアピールに長け、勢いのある若手が加わり、雰囲気をガラリと変えることが往々にしてある。
 
 日本代表で言えば、20歳でフル代表デビューを飾った中田英寿、22歳で初出場して以降、歯に衣着せぬ言動で代表を牽引してきた本田などは、まさにその象徴だった。
 
 さらにフランス代表が18歳のキリアン・エムバペを招集し、ロシア・ワールドカップでは20歳になったばかりのこの新星に10番を託したのも、代表チームを変える大きな期待を感じたからに他ならない。
 
 個性派揃いの東京五輪世代――彼らの“エゴイズム”が、日本代表を変えるか。世界と伍するための鍵はこのヤングスターたちが握っているかもしれない。9月11日のコスタリカ戦は、こうした若手の台頭にも注目したい。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)

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