・「市況」を味方につける―あまり知られていない決定的要素
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・転職は何歳までにすればいいのか? ―年齢の都市伝説 人事の皆さんも強く感じていらっしゃる通り、高度化するビジネスに対応できる人材とそうでない人材の差がとても大きくなっています。入社後の成長にも大きな差が生じています。全員を同じ初任給で新卒採用し、年功序列で給料が上がっていく仕組みは合理的ではなくなってきました。

 また、近年の人材市場の発達で、採用戦略は大きく変化しています。新卒や正社員にこだわらず、必要とする人材とタイミングを見極めて、中途採用、派遣、クラウドソーシングなどの手段を活用する合理的な企業も増えてきています。このような環境下においては、人材を横並びで扱わず、一人一人が生み出す付加価値に応じた処遇が必要です。 そして、人材市場を活用した採用を行なう際の注意事項として、外部から入社する人材の処遇が不利にならないようにすることが大切です。いまだに中途入社の社員は、新卒入社の社員より不利になるという大手企業が少なくありませんが、優秀なリーダー人材からは関心を持ってもらえません。「社内都合」ではなく、「人材市場」と向き合っている企業が採用に成功しています。 「自社でも既に成果主義の人事制度を導入している」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし大切なのは、活躍する人材にどのくらいの報酬を用意できるかです。成長意欲の高い若手を次世代リーダー候補として獲得したいのであれば、彼らが求めている処遇や働く環境を用意しなければなりません。

 例えば、東大生の人気が高い外資系コンサルは30歳で1200〜1500万円程度の年収は当たり前となっています。優秀な人材を求めるということは、こうした企業と競っているという意識を持ち、採用力を高めることが必要があります。

 そして、そのための取り組みは、採用のみならず、企業の中核を担ってくれている中堅・若手幹部候補のリテンションのためにも不可欠なものとなるでしょう。