人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、峯尾太郎社長)がまとめた「DODA 転職求人倍率レポート」によると、7月の転職求人数は前年同月比7.7%増、転職希望者数は同10.6%増となった。

 求人数は前月比0.5%減、前年同月比7.7%増、転職希望者数は前月比7.1%増、前年同月比10.6%増だった。

 求人倍率は前月から0.18ポイント減の2.25倍だった。

 求人数は4〜6月にかけて多くの企業が今年度の募集を開始したため、7月はわずかに減り、前月比99.5%となった。一方、転職希望者数は前月比107.1%と大幅に増加したため、求人倍率は下降した。

 業種別にみると、求人数は8業種(その他を含まない)のうち「IT・通信」、「金融」、「メーカー」の3業種で前月から増加した。特に伸びたのは、「IT・通信」(前月比2.0%増)、「金融」(同1.7%増)。

 「IT・通信」では、AI・IoT化の推進などのために各社がIT投資を強化しているため、システムインテグレータで特に採用が活発となっている。業界の大手や事業会社のIT子会社などの求人も増えている。

 「金融」では、損害保険や信託銀行で求人数が増加した。ITシステム部門の人員強化を図る動きが強まっており、金融系のシステムの経験者は特に求人の選択肢が増えている。

【業種別 求人数増加率(前月比)】
IT・通信  2.0%増
金融    1.7%増
メーカー  1.3%増
小売・外食 2.0%減
メディア  2.5%減
メディカル 3.3%減
サービス  3.5%減
商社・流通 4.1%減

その他   13.2%増 職種別では、求人数は11職種のうち「企画・管理系」、「技術系(IT・通信)」、「技術系(電気・機械)」、「技術系(メディカル)」、「事務・アシスタント系」の5職種で前月から増加した。

 特に伸びたのは「技術系(メディカル)」(前月比1.9%増)、「企画・管理系」(同1.4%増)だった。

 「技術系(メディカル)」では受託業務を拡大させようと、CSO(医薬品販売業務受託機関)やCRO(医薬品開発業務受託機関)の求人数が増加した。

 「企画・管理系」では、自社で新たなサービスや新規事業の立ち上げを行う企業が増えているため、経営企画・事業企画・営業企画の求人が特に増えている。また事業会社の業容拡大に伴い購買・物流の職種の採用も活発化している。

【職種別 求人数増加率(前月比)】
技術系(メディカル)1.9%増
企画・管理系    1.4%増
技術系(IT・通信) 1.3%増
技術系(電気・機械)0.6%増
事務・アシスタント系0.4%増
専門職       0.4%減
技術系(建築・土木)0.7%減
営業系       1.7%減
クリエイティブ系  1.7%減
技術系(化学・食品)1.9%減
販売・サービス系  6.1%減

 今後の転職市場についてパーソルキャリアでは、「8月以降も注力事業への増員や欠員補充などで求人数は緩やかに増加する見込み」と分析する。

 「例年8月は、夏季休暇などの影響で7月に比べて転職希望者が減少する傾向があるが、転職を通じて年収や就業環境などの条件を改善できる市況となっているため、夏季休暇を利用して活動を始める人も多いと予想され、今年は大きく減少しない見通し」だという。

 また、「多くの企業では上半期に募集を開始したポジションを9月末までに採用充足させたいと考えているので、8月下旬から9月にかけては中途採用のヤマ場となる」としている。