人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、峯尾太郎社長)がまとめた「転職市場予測2018下半期」によると、2018年下半期(7月〜12月)の転職市場全体における求人数は増加する見込みで、企業の採用意欲も旺盛な状況が続くとみている。

 2018年下半期(7月〜12月)の転職市場全11分野のうち求人数が「増加」が5分野、「緩やかに増加」が4分野、「ほぼ変わらない」が1分野、「やや減少」が1分野と見込まれている。

 下半期の状況についてパーソルキャリアでは「ITエンジニアや販売・サービス職を中心に求人ニーズが非常に強い状況が続く」としており、求人ニーズの背景には「直接的にも間接的にも、IT化がますます推進されていることがある」と指摘する。

【職種別 求人数動向】
営業……求人数は増加
人事・経理・法務……求人数は増加
企画・マーケティング……求人数は増加
クリエイティブ……求人数は緩やかに増加
IT・通信……求人数は増加
電気・機械……求人数は増加
化学・素材……求人数はほぼ変わらない
建築・土木……求人数は緩やかに増加
販売・サービス……求人数は緩やかに増加
金融……求人数はやや減少
メディカル……求人数は緩やかに増加

 業界別にみると、全11分野のうち「増加」が見込まれるのは「営業」、「人事・経理・法務」、「企画・マーケテイング」、「IT・通信」、「電気・機械」の5分野。 「営業」では、先々の労働力人口の減少を見据えて人材確保する必要があることと、依然として好調な景況感が続いていることから、多くの業界で求人ニーズが増えている。特にWeb広告ではニーズが高く、未経験でもチャンスがある。

 「人事・経理・法務」では、労働人口の減少に伴う採用難、働き方改革、ガバナンス強化、新規事業参入や事業再編といったニーズに対応できるスペシャリスト系人材の採用を強化する企業が増えているほか、定型業務を担当するスタッフ系求人まで幅広い求人ニーズが見込まれる。

 「企画・マーケテイング」では、マーケティング活動や営業活動を通じて集まった膨大なデータを分析し、会社全体の成長や新しい商品・サービスの企画に活用しようとする動きが強まっており、データサイエンティストやデータアナリスト経験者のニーズが高まっている。

 「IT・通信」では、特に金融や製造業、自動車メーカーといった業界で、自社のIT事業部門や研究開発部門でのエンジニア採用を活発化させている。背景には、フィンテック、IoT、さらにはディープラーニングに代表されるAI領域での開発プロジェクトが本格的に増えてきたことがある。

 「電気・機械」では、業界によって強弱はあるものの、製造業全般でエンジニアの採用熱が高い状況が続いている。特に自動車業界の好調、IoTの広がりでソフトウェア、センサー関連の採用ニーズ高まっている。

 一方、唯一「やや減少」が見込まれるのは「金融」。主要な銀行では店舗集約とITによる効率化で業務量を大幅に削減する方針を打ち出しており、一部の専門部署以外は採用は欠員補充などに限定されている。データ活用やM&Aなど専門職は金融業界“外”からの採用が広がっている。