約8割の経営者は景気が拡大傾向にあると回答していることが、経済同友会が四半期ごとに実施している景気定点観測アンケート調査で分かった。しかし、前回調査と比較すると拡大傾向とする回答は減少している。

 経営者に対して景気の現状についての判断を聞いたところ、「拡大」(4.0%)、「緩やかに拡大」(77.5%)、「横ばい」(16.7%)、「緩やかに後退」(1.8%)となった。「拡大」、「緩やかに拡大」は前回の2018年3月調査から0.3ポイント減、6.4ポイント減とともに減少した。

 今後6カ月の景気見通しについては、「拡大」(3.1%)、「緩やかに拡大」(70.7%)、「横ばい」(23.1%)、「緩やかに後退」(1.8%)、「後退」(0.0%)となった。今回の調査と比較すると、「緩やかに拡大」が6.8ポイント低下し、「横ばい」が6.4ポイント上昇した。

 景気見通しの根拠を聞いたところ、「設備投資の増加」(62.6%)、「個人消費の増加」(32.0%)、「輸出の増加」(26.1%)、「生産・販売の増加」(14.9%)、「個人消費の減少」(10.4%)が多く挙がった。

 前回調査と比較すると、「設備投資の増加」、「輸出の増加」の回答割合がそれぞれ10.7ポイント、7.2ポイント低下している点が目立った。

 半年後(2018年12月末時点)の対ドル円相場の予想は「105〜110円未満」(57.3%)、株価の予想は「2万2000円台」(34.7%)が最も多い。

 各企業で持続的な「稼ぐ力」を高めるため、知識や技術、人的資本などの実体を伴わない資無形資産の中で重点的に投資を考えている分野を聞くと、最も多かったのは「デジタル関連(AI、ソフトウェア、データベース等)で72.8%となった。

 次いで、「人材開発」(70.9%)、「研究開発」(35.7%)などが続いた。

 製造業では、最も高かったのは「研究開発」で75.4%となり、次いで「人材開発」(60.9%)、「デジタル関連(AI、ソフトウェア、データベース等)(59.4%)が続いた。

 無形資産への投資にあたって重視しているのは、「収益性」(35.6%)より「特定の経営課題の解決」(64.4%)となった。

 具体的な経営課題については、「社員の高齢化に伴う知識や技術の継承」、「ワーク・ライフ・バランスのための制度改革」、「基幹システムの抜本的変更による経営効率の向上」などの回答があがった。

 調査は2018年5月29日〜6月7日に実施し、経済同友会会員ら227人の経営者から回答を得た。