人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、峯尾太郎社長)がまとめた「DODA 転職求人倍率レポート」によると、5月の転職求人数は前年同月比11.2%増、転職希望者数は同14.2%増となった。求人数は調査開始(2008年1月)以来の最高値を2カ月ぶりに更新した。

 求人数は前月比2.2%増、前年同月比11.2%増、転職希望者数は前月比0.4%増、前年同月比14.2%増だった。

 中途採用に力を入れる企業が多かったため、求人数が増加して転職希望者数の増加幅を上回ったため、求人倍率は前月から0.04ポイント増の2.40倍だった。

 業種別にみると、求人数は8業種(その他を含まない)のうち「メディア」、「金融」、「メディカル」、「メーカー」、「小売・外食」、「サービス」の6業種で前月から増加した。特に伸びたのは、「金融」(前月比11.6%増)、「メディカル」(同6.0%増)。

 「金融」では、生保、損保、保険代理店など保険関連の企業の採用が活発で、今年度に採用予定のポジションの募集を5月から始める企業が多かったことが増加の要因となった。また企業が設備投資に積極的なため、リースの求人数も増えている。

 「メディカル」では、医療機器メーカーや医療機器卸で求人数が増えており、シェア拡大のために営業や技術サポートの人員を増やす動きがみられる。

【業種別 求人数増加率(前月比)】
金融    11.6%増
メディカル 6.0%増
メーカー  3.7%増
サービス  2.6%増
小売・外食 1.9%増
メディア  0.4%増
商社・流通 0.5%減
IT・通信  0.7%減

その他   0.7%増 職種別では、求人数は11職種のうち「営業系」、「企画・管理系」、「技術系(IT・通信)」、「技術系(電気・機械)」、「技術系(メディカル)」、「技術系(化学・食品)」、「技術系(建築・土木)」、「販売・サービス系」、「事務・アシスタント系」の9職種で前月から増加した。

 特に伸びたのは「販売・サービス系」(前月比6.4%増)、「技術系(建築・土木」(同5.1%増)だった。

 「販売・サービス系」では、小売・外食のほか携帯電話ショップや医療機器に関する店舗スタッフや販売スタッフの募集が活発だった。残業時間の短さや休日の多さを求人に明記し、働きやすい環境が整っていることをアピールする企業もみられた。

 「技術系(建築・土木)」では、施工管理のポジションで建築、土木の両分野ともに求人の伸びが顕著となった。また、既存設備の更新需要が高まっており、プラントエンジニアの求人数も増加している。

【職種別 求人数増加率(前月比)】
販売・サービス系  6.4%増
技術系(建築・土木)5.1%増
事務・アシスタント系4.9%増
企画・管理系    4.0%増
技術系(電気・機械)2.3%増
営業系       2.0%増
技術系(化学・食品)2.0%増
技術系(メディカル)1.4%増
技術系(IT・通信) 0.8%増
専門職       0.1%減
クリエイティブ系  5.3%減

 転職市場の現状についてパーソルキャリアでは、「5月は、新卒採用がひと段落する6月以降に、今年度の中途採用活動を本格化させる企業が多いため、求人数が増加した」と分析。

 また、「4〜6月にかけて、今年度に採用を予定しているポジションの募集を一斉に開始する企業が多く、かつ新卒採用がひと段落する時期でもあるため、第二新卒を歓迎する企業も増えおり、いまは求人のバリエーションが豊富な時期」と指摘している。

 今後の動向については「6月以降も求人数、転職希望者ともに多い状況が続く」とした。