シンクトワイス 猪俣 知明 代表取締役

 17・18年卒の新卒採用は短期決戦が特徴的でした。当社の新卒紹介サービスに相談にくる学生は毎年約1万人いますが、ここ最近は10月を過ぎるとその数が激減し、その後は就活生自体がいなくなります。売り手市場とはいえ、3月から6月の短期間に決着しないと追加策の打ちようがない過酷な戦いを強いられます。この傾向は19年卒も同様です。

 新卒紹介を依頼いただく企業は年々増えており、その市場成長率は今年152%。企業の新卒紹介サービスの利用率は28.1%まできています。(矢野経済研究所調べ)

 就職サイトでは採りきれない分を補うというニーズから、コア人材は新卒紹介で、採れない分を就職サイトでと、そのニーズは逆転しつつあります。この新卒紹介における採用成功の要因の一つが「職種別採用」です。

 まだ全てとは言えませんが、新卒紹介求人は総合職よりも職種が限定された求人が多く、「入社したら何をやるのか」が限定的で学生にとってイメージしやすいのです。従前の総合職では「配属がどこで、何をやるのか」が不明瞭で学生はつい不安視し、リスクと捉えます。

 興味のない業界の求人でもキャリアアドバイザーがその職種の仕事内容を説明すれば興味喚起され、あっさり応募してくれます。

 また当社ではITスキルのある学生をITエンジニア職として新卒で紹介していますが、文系総合職志向の学生と大きく違うのは、企業ネームやサイズではなく、あくまで何をやるのか、という視点で企業を選び、またその内定承諾率も極めて高いことが特徴です。

 労働を提供するその代償として何を得られるのか。そういう視点で企業選びをする傾向がますます強くなってきている彼らにとって、自身の投下した労働量に応じたその代償がちゃんと等価で交換されることが大事なのです。

 内定承諾まで短期で決着させるためにも、受け入れ側の整備を含めた学生への求人情報の「差し出し方」を工夫することが肝要であると思います。