ふと休日に浅草を歩いてみると、そこには数多くの外国人が歩いているのが目に留まる。いわゆる訪日外国人なのだろう、大きなカバンを持ちながら写真をパシャリ、頼まれてこちらもファインダーをのぞいてパシャリ。ほかにも道を聞かれることもあったりと、浅草では日本人と話すより外国人と話す機会の方が多いのではないかと思うほどだ。

「2020年までに4000万人の訪日外国人を」――人口減少が叫ばれる中、インバウンド需要の取り込みは観光産業上きわめて大きな課題となっている。その一方で、日本とは異なる文化を有する人々への配慮が必要になっているのもまた事実だ。

そんな中で富山県は独自の取り組みを行っている。それは、イスラム教徒(ムスリム)やベジタリアンのためのレストラン紹介サイトの運営だ。


ムスリムは豚肉厳禁......!(画像はイメージ)

礼拝の場所があるかないかまでアイコンで表示

富山県観光・交通・地域振興局観光振興室の担当者は、2018年4月9日のJタウンネット編集部の取材に対し、

「富山県に限らない話ではあるのですが、日本で様々なバックグラウンドを持った方々が増えてきております。その中で、『様々なところで支障が出ている』という声が多く寄せられておりまして、それに対応したものです」

と取り組みの経緯を語った。公式サイト「 TOYAMA MUSLIM FRIENDLY RESTAURANTS」の制作も2017年度に行われ、富山県内のムスリム・ベジタリアン向けのレストランを紹介している。

ハラール認証(ハラールとは、「イスラム教で許されたもの」を意味し、イスラーム法で定められた通りに食べ物の処理を行ったことを意味する)があるかないかといったことや、アルコール飲料の取り扱いがあるかないか、さらには店内に礼拝場所があるかないか、キブラマーク(「キブラ」とは聖地メッカへの方向を示す矢印マーク)がついているかどうかまでアイコンで記載されており、子細に述べられている。ただ、

「実際、『ハラール認証』となるとかなり厳密で敷居が高くなってしまうので、サイトではそれ以外にも『ハラールフレンドリー』という表現も用いています。豚肉やアルコールの提供をしていない店、という、一般的なムスリムの禁忌のイメージに即した食事、とでもいえばいいでしょうか」

と担当者は続ける。

ほかにも飲食店に向けて、ムスリムやベジタリアンの人に向けた食事を提供するノウハウを伝える研修を行い、取り組みに協力してもらえる店舗を増やしているところだという。

「単発のイベントでハラール認証などについて周知活動を行うものはありますが、ゼロベースでサイトまで立ち上げ、情報をまとめているのは富山県が初めてではないかと思います」

と語る。

今後については、

「サイトで紹介をしているのが県内12事業者のみと、取り組みの認知度が低いのが現状です。今後も研修などを通してPRを行いながら、店舗の数を増やすことで、旅行者にとってよりよい選択肢が増えるように取り組んでいきたいと思います」

とした。